IGDA日本おすすめ9セッション
■インディ
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「SCALE」とKickstarterにおけるモラルに関して
SCALE and the Ethics of Kickstarter
Steve Swink | Creative Director, CubeHeart Games
「SCALE」のKickstarterでのキャンペーンは10月18日に始まり、そして11月16日には無事資金調達が可能となりました。
このセッションでは「SCALE」のクリエーターでありCubehead Gamesの社長でもあるSteve Swinkが、キャンペーンが成功となるまでの非常に厳しい日々について、そしてKickstarterで資金を調達する際に発生する複雑な倫理的問題に関してストレートに語ります。
得られる情報:
Kickstarterでゲーム開発資金を調達する際に起こる複雑な倫理的問題に関する見解、そして、今後ゲーム関連のキャンペーンを立ち上げる際に有用となる知識やデータなど。
■Advocacy(主張)
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IGDAの20年間:不可能とは違う何か
Herding Cats Doesn't Begin to Describe It: Reflections on 20 Years of the IGDA
Ernest Adams | Consultant, Independent
20年前、「Mortal Kombat」の登場でビデオゲームが批判の嵐にさらされていた頃、Ernest Adamsは当時社会的影響力を持っていた友人たちに、ゲーム開発者向けのプロフェッショナルな交流会を立ち上げるための協力を仰いでいました。
労働者組合や販売組合にするつもりはありませんでしたが、それが大変困難であることは容易に想像できました。というのも、当時のゲーム開発者と言うのは自由主義者で、あまのじゃくで、独立していて、社交嫌いな人間たちだったからです。
今回、ErnestはIGDA(International Game Developers Association)の20年間の歴史、良かった事、悪かった事、そしてある意味当初の想像を遥かに超える存在に育ったこの団体が今日担う重要性について、皮肉とユーモア交じりに振り返ります。
■デザイン
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無の重要性:ステージデザインにおけるネガティブスペースの使い方
The Importance of Nothing: Using Negative Space in Level Design
Jim Brown | Senior Designer, Epic Games
そこに存在しないことが、存在する事よりも重要になる局面とは何でしょう? このセッションでは、何もないネガティブスペース(空白、間)の役割、そしてそれをどのようにゲーム/ステージデザインに応用していくかを解説します。
このネガティブスペースを用いた設計は、ゲーム開発のほぼ全てのフェーズに、そしてプレイヤーがどのようにゲームを遊ぶのか、にまで影響を与えるのです。
得られる情報:
参加者はネガティブスペースの意味を理解し、ゲーム/ステージデザインにどのように応用するかを学びます。ネガティブスペースが正しく使われているゲームでは、整然と、そして効率の良いステージデザインが生まれるだけでなく、上達するための道筋がプレイヤーに見えやすくなるというメリットがあります。
こんな聴講者におすすめ:
メインターゲットはステージデザイナーやアーティスト、そしてゲームデザイナーやプロデューサー(ある意味)向けです。
■プロダクション
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運営のデザイン:年中無休の運営サービスを通じて学んだ事
Service Design: Lessons Learned from Running 24/7 Game Services
Aaron Loeb | VP/Group GM of Mobile Development, Electronic Arts
「The Simpsons: Tapped Out」などのタイトルで知られるEA Mobileの部長兼ジェネラルマネージャーのAaron Loebは、運営企画はゲームの開発それ自体と同じくらいの熱意で設計されるべきだ、と主張。
EA gamesの「The Simpsons」や「The Sims Freeplay」といった実例を通じ、年中無休の運営サービスとは、ユーザーのためだけでは無く、開発チーム自身のために、困難な決断を常に行い続けていく事なのだ、と解説します。時として、何をしないのか、という決断がゲームデザインそのものと同じくらい成功への重要なファクターとなり得るのです。
大きなポイントとなるのは、現在主流のフリーミアムゲームで良く議論される「クリエイティビティ」と「ビジネス」の二元論は誤りであるという事です。限られた日々の売り上げの範囲であっても、クオリティと楽しさを通じチームとプレイヤーの長期に渡る関係を築く事が重要なのであり、「全ての要素を作り込む事」が必ずしもビジネスの成功にはつながるとは限らないのです。
得られる情報:
Aaron Loebが、「The Simpsons: Tapped Out」や「The Sims Freeplay」といったタイトルの実例を用い、運営の企画がどれほど慎重に設計されているか、そして時として何かをしない、と決断する事が今日の開発チームにとって、ゲームデザインそのものと同じくらい重要な意味を持つのか、を解説します。
こんな聴講者におすすめ:
年中無休の運営サービスを始めようとされている方、既に始めている方、そしてEA Mobileにおけるいくつかの大型タイトルでの成功と失敗に興味がある方。DAUとDARPUといった用語やその違いが分かる方向けですが、データアナリストである必要はありません。
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インディーズで行こう:適性を計る10の質問
Going Indie: 10 Questions to Help You Decide if It's Right for You
Don Daglow | CEO, Daglow Entertainment LLC
時として、どうやって生計を立てていくかをきちんと考えずにインディーズに参入する人たちがいます。一方でリスクが高すぎる、という人もいます。インディーズの開発者になるには何が必要なのでしょうか? やる事をまとめたチェックリストがあるのでしょうか? インディーズのつもりが、実は見た目が新しいだけでやっているのは今までと同じだったりしませんか? 何をあきらめ、何を手に入れますか? 自分の夢のゲームを作るつもりが、長い悪夢に変わるきっかけは? 準備が整ったと確信できるのはいつ?
Don Daglowはその40年以上の業界歴のうち過去5年間をインディーズ開発チームと共に過ごしてきました。このセッションでは、自分の船での旅立ちを考える皆さんの「もし」「いつ」「どうやって」といった質問に答えていきます。
得られる情報:
インディーズゲーム開発における財務と人的資源の問題を、全く異なる2つの切り口で見ていきます。成功した企業家が1年目に学ぶ3つの事とは何か。必要以上のリスクを負う事無く、夢に向けた仕事を生み出す方法とは。
こんな聴講者におすすめ:
小さなインディーズゲーム開発チームをを自分で立ち上げようとしている方、あるいはその立上げに参加しようと考えている方、また、そういった開発チームと一緒に仕事をしていて、彼らの挑戦、チャンスにどういったものがあるのかに興味のある方。
■ビジネス
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ビデオゲームデータ解説 2014年版
Awesome Video Game Data 2014
Geoffrey Zatkin | President & CPO, EEDAR
EEDARの共同設立者の1人、Geoffrey Zatkinが家庭用次世代機から成熟しつつあるモバイルゲーム市場まで、ゲーム業界の様々なデータ、パターン、トレンドを分析、レビューのスコアによって印象がどのように変わるのか、などを幅広く解説、ゲーム業界への理解が確実に高まります。
昨今のゲーム業界におけるミクロからマクロまでの様々なトレンドを、主観では無く客観的に定量化できるデータとして紹介します。
得られる情報:
プロフェッショナルによる、ビジネス的な観点からの評価に基づくゲーム業界の展望を聞く事ができます。
こんな聴講者におすすめ:
ミクロからマクロまでのトレンドによってゲーム業界全体がどのように動いていくのか、に興味のある方。プロモーション、ユーザーからの評価、売り上げの推移、マネタイジングなどに関心のある方向けです。
■プログラム
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「BROKEN AGE」の技術:モバイルからハイエンドPCへ
Scaling from Mobile to High-End PCs: The Tech of Broken Age
Oliver Franzke | Lead Programmer, Double Fine Productions
やや古めのモバイルデバイスから最新の高性能PCまで、5つの異なるプラットホームで「BROKEN AGE」の美しく生き生きとした世界を作り上げるのには大変な苦労がありました。このセッションでは、必要なスケーリングを行うために下された重要な決断の数々、柔軟に動く2Dキャラクターや背景に使われたパララックス効果をどのようにオーサリングしたか、データ制作パイプライン、ランタイム時の2Dライティングやシャドーイング技術などを解説していきます。
モバイルデバイスのGPUでのレンダリングパフォーマンスを最大化する手法、その他モバイル/PCのクロスプラットホーム向け開発で得られた様々な知見も詳しく紹介します。
得られる情報:
モバイル向け、PC向けに同時開発をしている場合に、高品質なグラフィックを実現するためのオーサリング、レンダリング技術について、また「BROKEN AGE」のキャラクターや背景が、異なるプラットホームを想定してどのように作られたのかを解説します。
こんな聴講者におすすめ:
モバイル向け、PC向けの開発をしているグラフィック系プログラマー、テクニカルアーティスト向けです。リアルタイムレンダリングについての基本的な知識が必要になります。
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プロシージャル技術でFPS用のオープンワールドを生成する
Creating FPS Open Worlds Using Procedural Techniques
Tom Betts | Lead Programmer, Big Robot
このセッションでは、「Sir, You Are Being Hunted」に使われたオープンワールドがプロシージャル技術によってどのように生成されたのかを解説します。プロトタイピング時やデータの構造、格納、見た目の美しさ、最適化といった要素が決められるタイミング、具体的には道路や建造物の生成、仕掛けの配置、生態系の決定などといった場面でプロシージャル技術がどのように使われたかを説明します。
技術説明のためにビデオや実際のソースコードの一部も使用します。小規模チームであっても、Unityレベルのエンジンがあれば、データのアルゴリズム生成によってFPSなどの野心的なタイトルが開発出来るのです。
得られる情報:
3Dのオープンワールドを使用するゲームデザイン向けに、ディテールの細かい、複雑なステージを作るためにはどのようにプロシージャル生成技術を取り入れるかのヒント、知見が得られます。ワールド作成時に発生するボトルネックをプログラム的に解決する手法を説明します。
こんな聴講者におすすめ:
プロシージャル生成の手法に興味のあるプログラマー向けです。特に人数の少ないチームには、ワールドデータ作成のアルゴリズムによる効率化が役に立つと思われます。Unity、C#、プロシージャル技術の知識のある方向けです。
■ビジュアルアート
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「Assassin's Creed IV: Black Flag」:次世代グラフィックへの道
Assassin's Creed IV: Black Flag - Road to Next-Gen Graphics
Bartlomiej Wronski | 3D Programmer, Ubisoft Montreal
このセッションでは、「Assassin's Creed IV」のビジュアルを次世代機レベルに高めるための新しい技術、そして実装しやすいエフェクトについて説明します。既存のGPU用エフェクトを次世代機向けに移植するための基本的な情報もあります。
セッションは4つのパートに分けられます。まずはdeferred normalized irradiance probesに関する解説、FarCry 3のdeferred radiance transfer volumesをベースにしたグローバルイルミネーション技術です。続いてvolumetric fog、シェーダー計算とvolumetric texturesのライティングを合成し、霧の中で複数の光源が動く様子を再現します。3番目は、既存のコンテンツやパイプラインを大きく変化させること無しにビジュアルを次世代機レベルに高める技術、GPUで演算された雨粒を使ったraymarchによる画面空間内のリフレクションなど、空気中や物質へのエフェクトについてです。最後に、AMD Southern Islandsアーキテクチャの簡単な説明、そしてPS4やXbox One向けにこれらのGPU用エフェクトを開発/移植/最適化する際に学んだ事について説明します。
得られる情報:
このセッションで説明されるエフェクトの基礎知識、実装に関する情報です。PS4やXbox One用にGPUのアルゴリズムをどのように開発、最適化するかの解説も行います。実際のソースコードの一部を使って、実装の分かりづらい部分もデモンストレーションします。
こんな聴講者におすすめ:
経験のあるグラフィック系プログラマー、テクニカルアートディレクター向けです。リアルタイムグラフィック、一般的なレンダリング手法、DirectX 11のフィーチャーセットとプログラミングのパイプラインについての知識が必要となります。
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