このトピックでは、サミットのうち以下の日本語訳を掲載しています。
- AI
- GameIT
- ローカリゼーション
- チェンジのためのゲーム
- GDC エデュケーション
- インディペンデントゲーム
下記については、それぞれのトピックをご覧ください
AI
開催日:3月5日(月)-3月6日(火) 10am-5:30pm
AI サミット では業界トップクラスのゲーム AI プログラマ 20 名以上がパネルディスカッションとレクチャーを行います。AI Game Programmers Guild が総力を結集してお届けするこのイベントでは、商業的に成功したゲームの主要アーキテクチャや問題点に関する掘り下げた考察を、今後のゲーム AI の進化をめぐる様々な意見や議論、苦労話も交えて聞くことができます。ゲーム AI の世界に理解を深めたいプログラマ中級者から上級者を対象とした内容ですが、それ以外で AI が次世代のゲームへ何をもたらすかに関心のある方にも広くおすすめです。
講演者:
Richard Evans (Little Text People)
Emily Short(Independent)
Stephane Bura (Namaste)
Michael Treanor(カリフォルニア大学サンタクルーズ校 Expressive Intelligence Studio)
Emily Short(Independent)
Stephane Bura (Namaste)
Michael Treanor(カリフォルニア大学サンタクルーズ校 Expressive Intelligence Studio)
Josh McCoy (カリフォルニア大学サンタクルーズ校 Expressive Intelligence Studio)
ゲーム AI 分野の最先端における課題の一つが、プレイヤーと深いレベルでダイナミックに社会的交流のできるエージェントの創造です。一定規則に従ってふるまいを選択する従来の手法は通用しません。あらかじめスクリプトで仕込む手法では融通がきかず、しばしばひどいボロが出ます。AI が社会的交流や対話の対象たりうるには、関心、動機、感情、ひいては社会常識の観念をも包括する、より高度なモデリングが必要です。このレクチャーでは『Storybricks』『Prom Week』など 3 つのゲーム製品におけるアーキテクチャを実例に、より人間らしく、柔軟に、意味のある交流をプレイヤーと行うキャラクターを作りあげるための新しい手法を紹介します。
講演者:
Michael Dawe (38 Studios)
Daniel Brewer (Digital Extremes)
Michael Pfeifer (Plush Apocalypse Productions)
最近リリースされた(または近日予定の)ゲーム 3 製品において、それぞれの開発者が直面した(そして克服した!)問題をとりあげ、詳細な分析を行います。オープンワールドRPG大作『Reckoning』が何百体ものNPCのスケジュールをどう処理し、各種のふるまいをデザイナー/プログラマがどのように組み込んだのか。ストーリー指向の超常アクションシューター『Darkness II』で、現実味のある敵を実現するために、エージェントの連携、衝突回避、知覚に基づく反応といった各システムがどう作用しているのか。また、ハイテンポなターン制ストラテジーゲーム『Skulls of the Shogun』開発中に発生した問題とその解決方法についても紹介します。
開催日:3月5日(月) 10am - 5:30pm
ゲームITサミットは1日プログラムで、企業向けゲーム開発を通じ、組織が目標達成に取り組むうえでのビデオゲームの利用について考えます。現在、ビデオゲームにならったUI・交流・協力作業を用いて、組織の生産性を高め顧客とのコミュニケーションを向上する、新しい手法が模索されています。こうした近年の「ゲーミフィケーション」の流れはしかし、まだまだごく皮相的なものにとどまっています。口先ではビデオゲームの強みを喧伝しても、結局のところフィードバックループと十年前の業界思想から抜け出せないのです。当サミットでは、ゲームとテクノロジーの融合点をめぐる新鮮なディスカッションを行い、また先進的組織による示唆に富んだ成功例に学びます。
■すべてのサミットセッションへのリンク
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■ハイライトセッション
講演者:Paulina Bozek (INENSU)
このプレゼンテーションでは、持続的ファッションアプリ『Closet Swap』を実例にソーシャル/ゲームメカニクスを考えます。『Closet Swap』はティーンユーザーが友人と服を交換するオンラインファッションコミュニティです。このアプリは現実のファッション世界にゲームおよびソーシャルレイヤーを重ねるものです。自然な形でユーザーの習慣に影響を及ぼすという点で見逃せないファッションアプリです――服のやりとりが互いの個性の称賛につながるうえ、ユーザーに服を買わせるのではなく交換させるのがポイントです。このトークでは『Closet Swap』のデザイン過程、ユーザー調査、テスト、そして楽しくかつ健全に目的を達するエクスペリエンスを創造するために採用したゲーム/ソーシャルメカニクスを紹介していきます。
開催日:3月6日(火)10am - 5:30pm
ローカライズはゲーム産業の大黒柱で、業界全体の収益の約半分を占めます。ゲームパブリッシャーやディベロッパーは自社製品のローカライズ版が利益につながるだけでなく、ローカライズの出来不出来は収益や製品の魅力の向上にも大きくかかわってくるという認識が急速に広まってきました。ローカライズ需要は従来のゲーム市場内にとどまらず、世界各国に広がりつつあるマーケットでも高まっています。ここに至って、パブリッシャーの ROI を高めるために、部分的ないし完全にローカライズされる製品の数も対応言語も増加してきました。
GDC のローカライゼーションサミットは IGDA Game Localization SIG が支援・運営します。対象者はローカライズプロフェッショナルおよびゲームディベロッパーで、ゲームのライフサイクルの一部としてローカライズを企画実施する上で具体的要点を理解している方です。担当部署・専門分野を問わずあらゆるプロの参加を歓迎します。レクチャー、パネルディスカッション、ゲーム事例分析からなる 1 日プログラムです。
■ハイライトセッション
講演者:William Barnes (Blizzard Entertainment)
Blizzard が 2010 年 7 月にラウンチした『StarCraft II』は、史上類を見ないほど徹底的にローカライズされたゲームとして世界各国の称賛を浴びました。Jim Raynor の韓国語発音は完璧で、Dr. Hanson のフランス語は気品にあふれ、Tychus Findlay は流暢なロシア語を喋りました。マルチプレイヤーユニットのボイスオーバーは、イタリア語でも英語に少しも劣らず楽しめました。マルチプレイヤーマップで様々な種族が入り乱れる街並みは、リドリー・スコット描く 2019 年のロサンゼルスを彷彿とします。インゲームのカットシーンやプリレンダリングされたシーケンスは、11 カ国語に合わせて完璧に調整されました。さらに、マップエディタさえラウンチ当初から 11 カ国語にローカライズ済みだったのです。Blizzard が『StarCraft II』にこれほど徹底したローカライズを行った理由と手段を明かします。
講演者:Hikaru Taniyama, Masaharu Shibayama (Square Enix)
最近は多国語での同時開発が業界標準となりつつありますが、ローカライズやサウンドにとってはこれが大きな難題となっています。音声および翻訳担当は、ますます多くのオーディオデータやテキストリソースを同時進行で処理しなければならず、しかも言語により品質にばらつきが出ることは許されません。日本語からのローカライズはただでさえ複雑です。そこでサウンドエンジニア、ローカライズ翻訳者、サウンドスタジオや開発者チームの間で工程に混乱が生じないような、効率的な作業環境が強く求められます。このセッションでは、自社開発のローカライズツールにより音声スクリプト翻訳および多国語吹き替え収録を効率的に同時進行するソリューションを紹介します。リソース実装(テキスト/音声)、翻訳者や録音スタジオへのハンドオフ、アセット管理について論じます。
開催日:3月6日(火) 10am - 5:30pm
Games for Change は人道支援や教育活動に取り組むうえで画期的道具となる、社会変革のためのゲームの制作と配布を支援しています。今回のGDCでは、社会啓発にエンターテイメントの魅力を活用しようと考える資金提供者・NGO・諸官庁・教育機関と、商業ベースで活躍する独立系の代表的ゲーム開発者に出会いの場を提供する、初の試みとなります。ケーススタディやラウンドテーブル、レクチャー、デモを通じて、ゲームデザインにおける様々な協力モデルをとりあげ、商業的ゲームと問題解決的ゲームの開発、流通、販売その他もろもろの違いを埋めてゆきます。
■ハイライトセッション
講演者:Phil Stuart (Preloaded)
Raph Koster はかつて、「優れたゲームには必ず中心となる何かがあり、テーマとメカニックが共にそれを見せるレンズの役割をする」と述べました。ゲームには単に人を楽しませる以上の力があることに世界が気づきはじめた今、このトークでは啓発やコミュニケーションを目的としたゲーム制作における各種の課題をとりあげます。特に「何のためのゲームか」を念頭においたゲームデザイン過程について考えていきます。
講演者:Jan L. Plass (NYU/Games for Learning Institute)
ゲームメカニクスはゲームを活かしも殺しもします。魅力的なメカニクスは映像や音楽、レベルデザイン面の欠点を埋め合わせてくれますが、メカニクス自体に魅力が乏しいのは救いようがありません。とりわけ学習目的のゲームではこれが顕著で、学習メカニクス(知識の習得を助ける仕組み)および評価メカニクス(学習進度を測定する仕組み)の設計を難しくする要因となっています。そこで参考になるのが商業的に成功した AAA タイトルのゲームメカニクスです。これらを応用して学習ゲームをデザインする手法を、過去に収集した学習/評価メカニクスとその基盤のデモンストレーションをまじえつつ解説します。
開催日:3月5日(月) 10am - 5:30pm
2012年の GDC 教育サミットでは、現場で活躍中のゲーム教育カリキュラム作成者が学科や教室に持ち帰って使えるような、先進的で創意に富んだ教育手法を追求します。このプログラムは、既存課程・新設学科を問わずゲーム開発者育成に携わる教育者向けに、今後数年間に現場が直面するであろう問題について解説します。研究者や実践教育者にとっても新しいアイデアや研究成果に触れ、共有する場となることでしょう。またプロ開発者にとっても、協力は学校教室の中だけでなく仕事や生活のあらゆる面で成功への鍵となることを知る貴重な機会となります。
講演者:Brian Moriarty (Worcester Polytechnic Institute)
デジタルゲームデザインを教えるには実際どうしたらいいのか。適切かつ効果的な課題の出し方とは。どのツールを採用し、どのような教育目標を立てればよいのか。教育者なら誰しも直面する数々の難題……しかし想像してみてください、その全てにたった一つの、悪の天才の名で答えられるとしたら? 「モリアーティ教授に聞け」と!
このレクチャーでは、学生をゲームデザインのるつぼに投げ込む邪悪な手法を教授自ら開陳します。ヘルマン・ヘッセの小説『ガラス玉演戯』に着想を得、30 年にわたる業界経験にもとづいた、この簡潔で楽しくも容赦ない計画は、業界標準の開発システムと言語を用いて一から完全なゲーム作品を作りあげる作業を通じて、罪のない学生を実践ゲームデザイナーに変えてしまう恐るべきしろものなのです。いっぺんに 5 人を、わずか 7 週間で!
講演者:
Noah Wardrip-Fruin (カリフォルニア大学サンタクルーズ校)
Tracy Fullerton(Electronic Arts Game Innovation Lab、南カリフォルニア大学),
Michael Mateas (Center for Games and Playable Media
Michael Mateas (Center for Games and Playable Media
カリフォルニア大学サンタクルーズ校)
Zoran Popovic(Center for Game Science、ワシントン大学)
研究は高等教育に欠かせない活動です。しかし、そこにゲームがどう関わってくるのでしょう? ゲームとは他分野の研究成果を応用する場、あるいはそれ自体が新たな問題や改善の余地のある手法をはらむ研究分野だったのでは? このパネルディスカッションには、3つのまったく異なるゲーム研究グループの指導者が参加します。それぞれが最近のプロジェクトと、一般公開できるようなゲーム作品を一から作りあげる作業が自分たちの研究に欠かせない理由について語ります。全体の討議は、研究の一環としてのゲーム制作を検討している、あるいは懐疑的な学部長を説得したいという人に、恰好の弾薬庫を提供してくれることでしょう。
3月5日(月)-3月6日(火) 10am-5:30pm
インディペンデントゲームサミットは、GDC に集う独立系ゲーム開発者の声を代表します。業界を代表する独立系ゲームクリエイター(歴代の Independent Games Festival 入賞者や最終選考入選者も多数)によるレクチャー、事例分析、ラウンドテーブルを行います。今年は特に、インディーズの中でも傑出した作品に脚光を当て、ゲームデザイン哲学から流通、ビジネス、マーケティングなど幅広い切り口からのディスカッションを目ざします。
■ハイライトセッション
講演者:Ryan Henson Creighton (Untold Entertainment)
Ponycorns 誕生のファンファーレは 1 週間で絶えてもおかしくありませんでしたが、Untold はどうせ最初で最後なら精一杯華々しくやろうと決めたのです。Ponycorns のようにグッズストアで副収入ルートを開き、プレスキットを準備し、主流メディアの関心を惹きつけ、コンテストに参加し、ほぼ予算ゼロでマーケティングを行い、フランチャイズやブランドを展開し、かつプロジェクトの目的を見失わないためにはどうしたらいいのでしょうか。自らの成功談を語る講演者は数あれど、Untoldが語るのは「落雷のように降ってきたチャンスをものにする方法」です。聞いた人にも落雷ならぬ偶然のチャンスが降ってくるかもしれませんよ。
独立系ゲームディベロッパー Untold Entertainment Inc. にとってのチャンスは、彼らのゲーム『Sissy's Magical Ponycorn Adventure』が話題になり、世界的な注目と称賛を浴びたことでした――それは主に、5歳の女の子が共同開発者だったという点が大きいのですが。この興奮と驚きに満ちたセッションでは、いかにしてゲームプロジェクトを幸運を引き寄せる避雷針に変え、火花ひとつも逃さず成功をものにしたかを、UntoldのRyan Henson Creighton 自ら披露します。
講演者:Douglas Wilson (Die Gute Fabrik)
開発者(特に独立系開発者)を対象に、モーションコントロール技術の限界に抗わず受け容れる利点を語るトークです。自ら手がけた『B.U.T.T.O.N.』や『Johann Sebastian Joust』といったパーティゲームを始め、多くの風変わりなケーススタディをとりあげつつ、研究者にして開発者である Douglas Wilson が、祝祭の雰囲気を再現するゲームデザインについて話します。祝祭は昔から遊び文化と切っても切れない関係にあります。伝承的ゲームには体を使ったゲームを作る開発者の参考になる点が少なからず存在するのです。モーションコントロールゲームをスラップスティック劇の視点から考える意義についても解説します。
【メインカンファレンス】IGDA日本 推薦10セッション(3月7〜9日より) |
GDC2012 日本語情報 |