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2021-1-14 14:59 |
IGDA日本アカデミック・ブログ
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ゲームデザイン大学教科書の到来 (付録: 『ゲームデザインバイブル』正誤表案)
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アカデミック・ブログ主筆の山根です.
ジェシー・シェルによるThe Art of Game Designが今年の夏に『ゲームデザインバイブル 第2版』として、オライリージャパンから翻訳出版された.これはゲームデザインを学ぶ大学生のための教科書として執筆されて改版を重ね、現時点でのゲームデザインの最強の定番教科書である.これまで大学で使えるレベルのゲームデザイン教科書が入手困難だった日本のゲーム教育界にとって、本書の翻訳は江戸時代に『解体新書』が訳されたのと同様に、専門家だけでなく多くの人が新しい学問体系を知るきっかけになるだろう.本稿ではこの教科書(以下、本書)の紹介と今後の展望について述べ、末尾には付録として正誤表案を示す. 著者について著者のジェシー・シェルは、数々の職を経験したあと、ゲーム産業とコラボレーションをする大学のパイオニアだったカーネギーメロン大学ETC(エンタテインメントテクノロジーセンター)に教育専門教員としてスカウトされ、全米トップの大学でゲームデザインを教えてきた.その他にも、過去にはIGDAチェアマンをつとめたり、自らのゲームスタジオSchell Gamesもたちあげて現在に至っている.彼がディズニーでVRアトラクションやオンラインゲームに取り組み、そこで出会ったランディ・パウシュにスカウトされた経緯はカーネギーメロン大学のYouTube講義『最後の授業』でも言及されている(パイレーツ・オブ・カリビアンVRのゲームデザイナ, BVW科目の後継として).そしてNHKのドキュメンタリーにも登場した. 彼の目立った仕事をあげると、VR脱出ゲーム『I Expect You To Die』が300万ドル(約3.3億円) を超える売り上げを記録し、その戦略がゲーム業界以外でも注目された.ゲームタイトルだけでなく、中学生向け教育用XR教材「Happy Atoms」がクラウドファンディングで注目され、2017年に数々の賞を受賞した.これらをつくりだしたゲームスタジオSchell Gamesは100人を超える大規模スタジオに成長し、西海岸・東海岸・カナダとも異なる新たなゲーム産業の地域ハブとなったピッツバーグを代表する企業となった.毎年3月のGDCでカーネギーメロン大学ETCの同窓会が開かれ、彼自身も毎年GDCの複数セッションで講演を続けているゲーム業界の名物教授だ. 「前例がない場所で仕事をする」「異なる分野でそれを続けている」というパイオニア的な仕事をしてきたわけだが、それはこの教科書にもみることできる.彼の教科書には特定のジャンルのゲームデザイン方法は書かれておらず、ボードゲームからVRゲームまでさまざまなゲームに共通する理論や構造を扱っている. 本教科書を採用するメリット著者はこの教科書を大学の授業に使ってきた.初版を使った2014年の授業報告はCEDEC2015でも発表した他、第2版にもとづくシラバス(1学期分の授業計画)も公開している.その経験を踏まえて、本教科書をゲームデザイン科目に採用すると以下のメリットがあると考えている.
アカデミックな評価本書は古今東西のゲームデザイン論を集成し体系化しようとする試みであり、そのためにゲームに関係する様々な分野の人がアート・ソフトウェア工学・ナラティブ・マネジメントなど自分の関心に近い章を読むことができる.その例として、本アカデミック・ブログでは「ゲーム研究の成果を教科書で学べるか」という研究者視点で紹介しよう.・ (1)ゲームAI研究: IGDA日本SIG-AIの三宅は2000年の『Counter-Strike』について、2017年に以下のように述べている. 無理矢理に「連続空間」を「離散空間」と見なしているんです。これもロボット技術の分野では60年代からあったのですが、ゲームに持ち込む発想がなかなか出てこなかったんですね。 (21世紀に“洋ゲー”でゲームAIが遂げた驚異の進化史。その「敗戦」から日本のゲーム業界が再び立ち上がるには?)2008年初版の本書には、当然この発想が入っていた.空間のデザインについて、連続空間ゲームを離散空間ゲームにできないか、あるいはその逆を考える(技術を学ぶのではない)課題が入っている.さらにAIでは自動生成ナラティブの博士論文も紹介されている. ・(2)ゲームスタディーズ: ゲーム研究者にとっても本書の内容は読むに値する.「創発型ゲーム」「ユーザの心的状態を含めたゲームメカニクス」など近年のゲーム研究書のキーワードが教科書入りしている.これは研究者にとっては研究トピックを体系の中に位置づけ整理することができる.その一方、これから学ぶ学生は研究書を読んでも「それ教科書で読んだ」と思うかもしれない.だが、大学では研究と教育が同時に進められるのはむしろ普通である.そして学生がいちはやく研究成果に触れることができるトップ校のゲーム開発者教育を本教科書は示している. ・(3)トランスメディア論: トランスメディア論は日本では紹介が遅れたため、マーケティングのメディアミックス論と混同されて、開発現場で使える手法になっていない.しかし欧米ではメディアミックスの手法はトランスメディア論として大学で学べるようになっている.本書にはそうしたトランスメディアの章が含まれ、日本でははじめてのトランスメディアワールドの作り方の教科書としても読むことができる. ・(4)シリアスゲーム・ゲーミフィケーション研究: 井上明人『ゲーミフィケーション』の末尾に「シェル構想」として本書の著者が登場するので、国内のシリアスゲーム関係者は著者の名前は聞いたことがあるだろう.シェル自身はシリアスゲームという分野があるのではなく、人を変えるゲームがあるのだとして「シリアスゲーム」という言葉は使わない.つまりシリアスゲームの知見はあらかじめ本書に含まれている.特にMotivaionの章とTransformational Gameの章は、いま日本語で読めるシリアスゲームのデザインのための最高の教材だ.本書が出版されたあと、シェルのゲームスタジオのスタッフがこれらの章の考え方にもとづいたThe Transformational Frameworkを配布しているので、さらに実践活用に向かいたい人はそちらも参考になる. このように、本教科書は様々な分野の成果が取り入れられており、学生のうちにこうした内容に触れた人材が世界各国で育つ新しい時代の到来を感じさせる. 本書の改善点と今後の展望本書(第2版日本語訳)が出た直後に、原著は改訂第3版であるThe Art of Game Design: A Book of Lenses, Third Editionが発売された.カタログの「New to this edition」を読めば、どの項目が追加されたか一目でわかる. 大きな変更はないが、VR/ARゲーム開発者は第3版も読んだ方がよいだろう.また、ベストセラーの大学教科書=すなわちデファクト教科書が訳されたことで、いよいよ国内のゲームデザイン教育は「どういう知識を教えるか?」という段階を通過して、次の段階について議論する時がきた.どういうカリキュラム設計や授業案で、どういう教育法で行い、その教育をどう評価するのか.そもそもこの教科書を使いこなせる教員をどうやって育てるのか.この話題については、CEDEC2015での発表以来、著者も考えて続けている問題だ.IGDA日本でも話題にする他、国内での議論を深めたい. 付録: 『ゲームデザインバイブル』正誤表案(2019年10月作成、11月25日更新)最後に、筆者による『ゲームデザインバイブル』正誤表プロジェクトについて紹介する. 冒頭で述べたとおり本書の翻訳は『解体新書』に匹敵する偉業だが、無理な訳をあてている部分がある.前述したように、この教科書には入門レベルだけでなく研究レベルの内容も入っているため、この教科書を読んで卒業研究に進むと支障が出る可能性もある.そこで修正案をつくり、出版社問い合わせ先に送るとともにIGDA日本アカデミックSIGでも共有した.他にも指摘があればIGDA日本新年会またはオンラインでご連絡いただきたい. コメントの書き方は以下のようになっています. (修正前の語句)/(修正後の語句)という形でマークアップし、コメント文中では以下のタグをつけています.
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2020-11-20 10:03 |
IGDA日本アカデミック・ブログ
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ゲームナラティブ教育の過去・現在・未来
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ゲームのナラティブ(物語)についての議論が盛りあがりを見せている(追記: ナラティブの元々の意味はストーリーテリングだが,実際には幅広い意味で使われている.松永「ゲーム研究と「ナラティブ」」参照).ただしバズワード化しているためにナラティブ論を敬遠している人も少なくないようだ.本記事ではゲーム教育の立場から,なぜナラティブ教育を避けて通れないのかを考えてみたい.
ナラティブは最近の流行ではないまず,ゲーム開発においてナラティブは最近の流行語ではない点を確認したい.オンラインで英語のGDD(ゲームデザインドキュメント)を検索してみると,ゲームデザインの説明でナラティブについて当たり前のように説明されている.つまりナラティブはゲーム研究者だけが使う学術用語でも最新作のゲームデザインでもなく,ゲーム開発で広く使われている一般用語である.そして,この用語がゲームの学校教育や社内研修で教えられるようになったのは最近のことではなく,10年ほど昔のことだ.ゲーム教育におるナラティブ重点化: 2008年本ブログの親団体であるIGDAは,ゲーム開発者の育成カリキュラムを集めて「IGDAカリキュラムフレームワーク」をまとめている.これは定期的に改訂されており,2008年に出たVersion3.2の日本語訳は「デジタルコンテンツ制作の先端技術応用に関する調査研究報告書」の付録として無料公開されている.このゲーム開発者が学ぶべき内容の中に,「ナラティブ」も記載されている.上記カリキュラムでナラティブ項目が含まれているのは,どんな職種のゲーム開発者も学んでおくべき「コア科目」の中の「批判的ゲーム研究」分野である.「コア科目」ということは,ようするにナラティブはゲーム開発者育成プログラムの必修範囲だと言うことになる. この「IGDAカリキュラムフレームワーク」は,ゲーム専攻のある学校で導入されているだけでなく,学校に通わずに自分で学ぶ社会人や学生にも読まれてきた.したがって,10年近く前から世界のゲーム開発者はナラティブについて学んできたと考えてよい.近年ナラティブが話題になっているのは,こうした学校教育でナラティブを習得した世代が第一線で活躍をはじめたこと,また他の要素が成熟期に入ったためにナラティブ要素でゲームの違いを見せやすくなったことがあげられる. 誰がナラティブを教えるのかでは,どうやってナラティブ(物語)を学べばいいのか.ゲームナラティブの教育はおおまかに第一世代と第二世代とに分けることができる.第一世代は物語学(ナラトロジー),つまり文学理論で学んだ世代.そして第二世代はゲーム研究成立以後の世代で,文学理論を経由せずにはじめからゲーム研究で学んだ世代である.第一世代の歴史は古く,ゲーム研究の最初期にさかのぼることができる.IGDA日本ではかつて学生ボランティアがゲーム研究初期の入門記事「Computer Game Research 101(コンピュータゲーム研究入門)」を翻訳公開したことがある(当時の記事のアーカイブ).この2004年の「コンピュータゲーム研究入門」の中にその後のナラティブ研究の先祖の文学研究が登場するので,以下に簡単にまとめてみる. まず,デジタルゲーム研究の最初期にAdventureやZorkなどのテキストアドベンチャーゲームに注目した文学研究者がいた.そして時代を経て同じ文学研究の関心から「インタラクティブフィクション」や「デジタルストーリーテリング」の研究が登場した.これらのポストモダン文学研究者によるゲーム研究は,ビデオゲームをアカデミックな研究対象として論じた最初の事例でもあった.つまり,ゲームナラティブ研究はアカデミックなゲーム研究のはじまりから存在していた古典的な問題である. 日本ではゲームのストーリーテリング論は単発の新書レベルに止まっていたが.英米では大学出版局からインタラクティブフィクション論やデジタルストーリーテリング論が出版され,それをもとに多くの大学教員が大学でゲームを論じるようになった.たとえば こうして物語論でゲームを語れるようになった一方で,文学研究とは異なるゲーム学を構想する学派も登場する.その筆頭がイェスパー・ユールで,彼の修士論文「A clash between game and narrative(ゲームと物語との衝突)」,そして博士論文「Half Real」はゲーム研究独自の可能性を検討したものだ.これが第二世代の幕開けとなる.こうしたゲーム研究シーンが日本に伝えられたのは国際会議DiGRA2007が東京で開催されたあたりで,当時の状況は『智場』2006年12月号に掲載された「[研究動向]──発展するゲーム学──」というインタビュー記事をオンラインでも読むことができる.第一世代はゲームをまず物語として(のみ)扱っていたが,第二世代以後の英語教科書では,物語はゲームの構成要素の一つとして教えられている. ここまで見てきたように,英語圏ではゲーム研究成立以前からゲームのナラティブについて議論されてきた.2008年版のIGDAカリキュラムフレームワークでナラティブが必修扱いになり,多くの学校がそれに対応できた背景にはこのような蓄積がある.それに対して日本では体系的なゲーム開発者教育が進まなかったために,ゲームのナラティブは2013年に出てきた最新のテーマであるかのように広まった側面がある. ゲームナラティブ教育の実際ではゲームのナラティブは学校現場でどのようにして教えられてきたのだろうか.先に述べたように,IGDAカリキュラムフレームワーク(2008年版)では,ナラティブは「批判的ゲーム研究」の課題の一つとして教えられている.この「批判的研究」とはゲームを真似るのではなくゲームについて批判的に思考することを学ぶものだ.これを全世界の教育機関に普及させるためにGDCは大きな役割を果たしている.それがIGDA Writers SIGと北米の有力大学そしてGDCとの連携により毎年開催されている学生ナラティブ分析コンテスト「GDC Game Narrative Review」だ(GDC2015でのプレスリリース発表).過去には受賞したナラティブ分析がGamasutraに掲載されたこともあるが,現在では優秀作は内容をポスター一枚にまとめてGDCで2日間展示発表したあと,分析ドキュメントと発表ポスターとがオンラインで公開されるようになった.こうして,夏休みの読書感想文コンクールのように,世界各地のゲームデザイン専攻の学生がGDCで発表することを目指して,授業の一環としてゲームナラティブ分析を競っている.このコンテストは各地のゲーム教育を統一する上で大きな役割を果たしてきた.過去の優秀作はウェブサイトからダウンロードして読んでみると,優秀作を参考にしながらいまやどの大学でも分析スタイルが統一化されている. 著者は大学の今年度授業で英語教科書を使ったゲームデザインの講義をしつつ(オンラインで学外から受講してくれたゲームデザイナのみなさんに感謝),ゼミでナラティブ分析の受賞作を読んでみたが,同年代による優秀作が公開されているのは非常に学習効果が高いと感じている. こうしてナラティブ分析のスキルが形式化されることでゲームナラティブはゲームデザイナの職人技から形式知へと変容した.そして高等教育の普及にともなって,ゲーム産業が発展途上の国やゲーム開発実績のない人でも使える概念になっている.(過去のGDCでは,ブラジルの学生による『侍道3』のナラティブ分析も採択されている.) ゲームナラティブ教育の今後「GDC Game Narrative Review」を授業に取り入れることでゲームのナラティブ教育は統一化されつつあるが,これにはある程度のバイアス(偏り)がでることも事実である.受賞作を読んでもう一つ気がつくことは,日本のゲームのナラティブ分析が例年のように受賞していることだ.ペルソナ4,ヴァンパイアセイヴァー,すばらしきこのせかい,ファイナルファンタジー,メタルギアなどジャンルも多岐に渡る.これは日本のゲームをとりあげたいという教育上のバイアスがある.たとえば教師の立場に立ったとしたら,授業の課題でプレイに時間がかかる超大作は敬遠したいし,批判的分析能力を養うためには(隙が無いタイトルよりも)長所短所をあげやすいタイトルを勧めたくなる.(たとえばGDC2015の受賞作にはGDCゲームオブザイヤーを受賞したThe Last of Usのポスター発表もあったが,長所だけが前面にでてしまっていた.)一方これに対して,「この作品にはこういう長所があるかわりにこんな短所もあり,それらの両方から学ぶことができる」といったJRPGの批判的分析の方が読み物としておもしろい.そして分析する学生にとっても,審査員の目にとまりやすい,競合しない作品を選ぼうというバイアスがあると考えられる. こうしたバイアスはあるにせよ,日本のゲームのナラティブ分析がGDCで例年選出されていることは注目に値する.いわば日本のゲームを解説できる英語ボランティア軍団を海外の大学が育成しているようなものであり,今後日本のゲームがナラティブ要素で付加価値をつけて世界に輸出できる可能性を示している.たとえば2014年アカデミック・レビュー(前編)で紹介したように,国内のゲームナラティブ研究者がIndieGoGoでナラティブ研究の資金を集めることに成功したのは,日本のゲームのナラティブへの海外の関心の高さを示している.エースコンバットとかメタルギアといった日本のゲームでのナラティブ研究が国際学会で採択を重ね,学会の外でも多くの人々に支援されたことは心強い. まとめ最後に本記事の内容をふりかえる.まずゲームならではのナラティブ論は近年の流行ではなく,前世紀のテキストアドベンチャーの頃から論じられている.最初の世代はゲームを文学理論で(のみ)分析しようとしたが,ゲーム学・ゲーム研究が成立してからはナラティブはゲームの要素の一つとして扱われるようになった.ゲームナラティブ教育の普及により,ゲームを真似るのではなく批判的に分析する教育が世界各地の教育機関で行われている.この題材として日本のゲームがしばしばとりあげられており,今後も日本のゲームのナラティブを分析することで次世代のゲーム開発者が腕を磨くことが期待される.また,国内大学院生が国際学会で活躍していることから,日本のゲームのナラティブは教科書レベルにとどまらず第一線の研究レベルでも有望な領域だと言える. 追記: GDC報告会 |
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2020-11-12 8:38 |
IGDA日本アカデミック・ブログ
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Games for Change FestivalプレビューとG4Cの歩み
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今年のゲームズ・フォー・チェンジ・フェスティバル(Games for Change Festival) G4C2020 は7月14日(日本時間14日火曜深夜)-16日(日本時間17日金曜早朝)に開催される.特に今年はパンデミックにともない無料オンライン開催が決まり,日本からも視聴参加が容易になった.そこで本稿ではプレビューを行う.
個性的なニューヨークのゲームシーンニューヨーク市はゲーム産業の中でも独自の都市文化を持っている.年間を通じてゲーム関連の様々なイベントが開催されており,ゲーム企業だけでなく,中学高校・大学・美術館・NPO・eスポーツチーム・そして市民がそれぞれゲームイベントに参画することで多様なゲームコミュニティが形成されている.こうしたニューヨークのゲームイベントの中でも最大級のイベントが今回紹介するGames for Change Festivalだ. このG4Cフェスティバルは「サンダンス映画祭のビデオゲーム版」とも呼ばれ,大企業ができないようなゲーム,つまり娯楽以外のために作られたゲーム,小規模だからできるゲーム,非営利だからできるゲーム,そして社会的テーマを扱ったゲームのデモや開発者プレゼンが行われる.ただし大企業でも野心的なゲームはこれまでにG4Cアワードで表彰されており,2018年のゲームオブザイヤーはLife is Strange: Before the Storm,2019年のゲームオブザイヤーはNintendo Labo,参加者が選んだのは Discovery Tour by Assassin’s Creed: Ancient Egyptだった. G4Cのはじまり: Peace MakerもともとG4Cは1人の大学院生の課題作品からはじまっている.カーネギーメロン大学のエンタテインメントテクノロジーセンターはランディ・パウシュの『最後の授業』でも知られるゲーム高度専門家人材育成機関のパイオニアだが,そこで学ぶ学生が課題作品としてPeaceMakerというゲームを開発した.この作品は『ゲームデザインバイブル』第32章で「わたしが見てきた中で最も印象的だった事例」として紹介されている.これはイスラエルからの留学生が開発したゲームで,開発者はイスラエル軍の諜報活動に従事した元士官アシ・ブラクで,除隊後に留学したカーネギーメロン大学でパレスチナ出身の学生とはじめて議論した経験から,紛争解決を目指すゲームを開発したという.そして開発したゲームを販売するだけでなくイスラエルに持ち帰り,国会議事堂で国会議員を対象にしたプレイテストを実施する.この様子はNHK「おはよう日本」ワールドリポートでも報道されている.こうして社会問題を解決するゲームという研究をまとめたブラクは,その後,ニューヨークを拠点にゲームで社会問題を解決するための組織「Games for Change」をたちあげ,シリアスゲーム最大のイベントに成長させた.その後ブラクはG4Cのフロントマンからは一歩引いて,GDC2019期間中に新事業「Games for Change Accelerator」を発表している.これは社会的インパクトを与えるゲーム開発者と,投資家(社会投資家,XR投資家,ゲームの目利き)をマッチングさせるゲーム開発資金サポート組織だ. G4C2020の注目セッションGDC2020は無料配信されるが,視聴には公式ウェブサイトからのオンライン登録が必要だ.以下では個人的に注目しているセッションを紹介したい.・「Educational VR Games: Lessons Learned」日本時間7/14 24:00-24:20 『ゲームデザインバイブル』(原題: Art of Game Design)第32章で変容のためのゲームを提唱したジェシー・シェルによる,アメリカの政府資金助成も受けた歴史教育VRゲームの開発経験談. ・「Winning Against Pandemics: Games as Essential Tools for Planning and Response」日本時間7/14, 25:15-26:15 新型肺炎のパンデミックにおいて,ゲームは外出制限下の「ひまつぶし」だと思われがちだが,パンデミックに勝つためのゲームも存在する.まさにいま求められているゲームの開発者たちが登壇する.パネリストはそれぞれ有名な開発者なので略歴をチェックしてほしいが,彼らのゲームでもっとも知られているのはFoldItだろう.すでに国内でも「ゲームが新型コロナウイルスを止める可能性。ワシントン大学の博士が『Foldit』のプレイをゲーマーに呼びかけ、タンパク質の立体構造を用いたパズルゲーム」(電ファミニコゲーマー2020)などで紹介されているが,新型コロナウィルスに取り組む前の実績を紹介した記事も多い. Nature Video: 研究者やハイスコアゲーマーへのインタビュー(字幕自動翻訳あり) TEDxVancouver - Seth Cooper - Play Games, Solve Disease ・「G4C Chapters: Asia-Pacific Launch Announcement」7/15, 4:35-4:40 G4Cでは,新たにアジア太平洋支部がニュージーランドに開設される.日本のシリアスゲームの国際化ではアメリカに出品することを第一に考えてきた傾向があるが,これからは広域のコミュニティができるかもしれない.新支部についてはオープニングでも発表される予定だが,この枠では新支部長が紹介されるとともに,続くアジア太平洋ミーティングの案内も行われる予定だ. ・「Games and Moral Panic: 2500 Year History」7/17金曜日07:00 ? 08:00 最終日の目玉として,ゲーム研究のリーダーが集結したパネルディスカッションを紹介する.パネリストにはカナダ連邦に任命されたゲーム研究のリーダー,トップ校のデジタルヘルス研究ディレクター,HEVGA会長といったゲーム研究拠点の豪華メンバーがそろっている. 彼らは自分の業績を語りにくるのではないし,いまさらゲームは世界を変えると自明のことを語るわけでもない.前回G4Cフェスティバル2018に集まったメンバーの再結成イベントと言えるが,2018年も「Moral Panic」がテーマだった.つまり,当時起こっていた社会的なパニックとしてのゲームに対する非難(米国内の銃乱射事件やWHOゲーミング障害をきっかけにしたもの)に対して学会トップが結集した行動だった.そこでは「なぜゲームは社会から攻撃されるのか」「ゲームを攻撃する人は何を考えているのか」を踏まえて,ゲームに関わる者はどう語るべきかを問いかけている.このパネルディスカッションは好評を呼び,翌年にゲーム開発者が集まるGDC19にも招かれて,講演動画や資料がオンライン公開されている(この内容はすでに本ブログで2020年1月に紹介している(YouTube動画を日本語自動翻訳字幕で視聴可能).GDC19では近代の焚書やスポーツ 禁止令から続くゲーム焚書について説明していたが,今回は2500年前にさかのぼるということでモラルパニックのスケールがさらにひろがっている. その他この他にも,先日IGDA日本でもウェビナー講演したホデントを迎えたゲーム産業における倫理問題,個人情報にまつわるプレイヤーの権利保護問題,ゲーマー研究の難しさ,ナイアンティックの社会的影響部門長を迎えた都市計画のセッション,そしてテーマごとのFunder(ゲーム開発を公募して出資する機関の代表者)による説明会など,幅広い講演が予定されている.これだけの発表が一堂に会するのはG4Cならではであり,ぜひ講演スケジュールの中に面白そうな題名の講演がないかチェックしてほしい.追記G3C会期中に,ビデオゲーム高等教育連合 HEVGA(Higher Education Video Game Alliance) がフェローの発表を行いました.HEVGAは過去にGDC期間中にフェローを発表したりしていましたが,今回はG4Cでの発表となります.これにより,研究機関でゲーム教育にたずさわる研究者のリーダーが,G4Cコミュニティーにも認識されることになりました.ゲーム研究に取り組む研究者と,社会を変えるゲーム開発者とが場を共有することになりました. アナウンス動画: https://www.youtube.com/watch?v=PeowChp4VrI |
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2020-9-30 6:25 |
IGDA日本アカデミック・ブログ
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パンデミック下の不安に応えるゲーム専門家
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ブログ主筆の山根です. 前記事「GGJ20以後のゲームジャムシーン 」では,大きなゲームジャムがオンラインに移行することで国境を超えたチーム開発経験を積めるようになったことに注目しました.ゲームジャムはこれからも貴重な開発体験を積む場所になるでしょう.その一方で,ゲーム開発以外の人たちにとってパンデミックはどのような変化をもたらしたのでしょうか? 本記事では,ゲーム開発者以外の動向に注目し,パンデミックに伴う外出禁止がゲームにもたらした変化をまとめます.
不安にこたえる専門家団体昨年にWHOがゲーミング障害を収載したことが報道され,診断が実施される前から「外出禁止中にゲームのやりすぎでゲーミング障害になるかもしれない」という不安を抱く機会が増えている.この不安に対して,どのようにプレイすればいいのかアドバイスすることが専門家に求められる. そこで北米の団体がいちはやく情報発信をはじめている.まず3月中旬にカナダ連邦のゲーム業界団体「ESA Canada」(日本のCESAに相当する)が,すべての親子がいっしょにビデオゲームをしようというメッセージを発信した.その後,WHOアンバサダーと北米のゲーム企業が「#PlayApartTogether」キャンペーンを実施,さらにWHOは5月にも体を動かすビデオゲームをしよう(#BeActive and stay #HealthyAtHome )キャンペーンを実施した.これらの組織キャンペーンでは,単にゲームのプレイ時間の量を制限するのではなく,プレイの内容(親子で遊ぶ,離れて遊ぶ,身体を動かす)を具体的に紹介しているのでわかりやすい.このようにゲームの遊び方を具体的に説明しているのは,ゲームの効果に関するリサーチをふまえていると考えられる.WHOが素早く対応した背景としては(1月に解説したように)実際はWHOはゲームの医療応用に取り組んでおり,むしろゲーミング障害はWHOのゲームへの取り組みの中でもっとも学術的知見が手薄な部分であり,こうしたゲーム活用こそ本来のWHOの本流の活動だとも言える.また,ESAのようなゲーム企業の業界団体だけでなく,民間の非営利団体もゲームに関する活発なオンライン活動をはじめた.この先駆けになったのは,Global Game Jam 2020の基調講演(日本語字幕あり)の先頭を切った非営利法人「Take This!」だろう.2020年1月のこの動画では心理学博士がゲームジャムを健康に過ごす方法について教えてくれる. この「Take This!」は,以前からゲームスタジオやゲーマーコミュニティにでかけてメンタルヘルス講習会を実施してきた.そしてパンデミックがはじまってからは,いろいろな団体と協力しながらオンライン活動を推進している. たとえば5月にはXBoxをスポンサーに獲得して,IGDAと共同でGame Development Crisis ConferenceをTwitch上で開催,さらに他のゲーム関連非営利団体と合同でStay in the Game Relief Fund共同募金キャンペーンを展開するなど,オンライン配信の規模を拡大している.このように,パンデミックの期間中,企業と比べて身軽な非営利団体が活発にオンライン配信を行い,ゲームで健康に生活するというメッセージを発信しはじめている.ゲームを医療活動に活用したり,eスポーツ選手のケアをしている専門家は日本にもいるが,個々の専門家が連携協力している北米の取り組みは参考になるだろう. だが,ここまでのアピールは,ゲームのポジティブな効用を活用するきっかけになるが,ゲーミング障害にならないためのアドバイスをしているわけではない.各家庭の保護者にとっては,外出禁止の期間中にゲームのやりすぎにならないかという不安は残るだろう.そうした不安にこたえるために,研究者による一般向け情報発信を次に紹介しよう. 疑問に答えるゲーム専門家研究機関に所属するゲーム研究者は,論文が主な発表手段で,メディアにはあまり登場しない.だがパンデミックによる不安にこたえようと専門家の著述活動が増えている.4月前半には英語ニュースサイト「The Conversation」がいちはやく専門家によるパンデミック下のゲーム活用法を掲載した.このニュースサイトは「執筆者を学者や研究者に限定し,わかりやすく編集し,タイムリーに発信する」新興メディアで,以前の解説記事でも紹介したHEVGAの会長であるAndy Phelpsが寄稿している.彼はHEVGAの役員とも相談して『どうぶつの森』からTwitch,健康の手引きまで網羅したパンデミック下のゲームの遊び方をまとめ「Gaming fosters social connection at a time of physical distance」(April 14, 2020)として掲載された.なお編集される前の原稿「Games in the Era of Social (Physical) Distancing and Global Pandemic」(Apr 14)も自身で公開している. Phelpsはさらに5月には職場同僚と共著で「Online plagues, protein folding and spotting fake news: what games can teach us during the coronavirus pandemic」を掲載し,FoldItプロジェクトなどのゲームの力をワクチン開発に使う取り組みも紹介している.ゲームについては子供の方がよく知っているという親世代も,これらの記事を読めば子供に幅広いゲームの可能性について教えられるだろう. 新興メディアだけでなく,大手メディアにも研究者が登場している.その先駆けとして心理学者のChris Fergusonをあげることができる.「Video Games and Gaming Culture (2016) に再録された論文90本にも収録されているゲームの心理学のリーダーだが,ゲーミング障害のICD--11への収載についても公開反対声明(2017),全米心理学会の部会声明(2018)を発表して反対の論陣を張ってきた.彼は過去にもTIME誌にParents, Calm Down About Infant Screen Time(「保護者は幼児の視聴時間について焦らないで」)を寄稿しているが,パンデミックの4月下旬にもTIME誌にもインタビューが掲載された.この記事では書き手に対して「何をやっているかチェックしている限り,ビデオゲームにこれ以上はダメだという時間制限基準はありません.とりわけいまは,ゲーム以外にすることがないでしょうから」と述べ,ゲーミング障害への不安と育児との板挟みになっている保護者へ「後ろめたく思うことはありません(Nothing to Feel Guilty About)」というメッセージを送っている. 4月下旬には日本国内でも専門家がメディアに出演し,パンデミック下でゲームを禁止するのではなく,どうやってうまく使うかを解説している.『NHKあさイチ』の「外出自粛 ゲームと上手につきあうには?」(4月27日)では『キラメイジャー』の紹介に続いて精神科医,eスポーツのDetonatioN Gamingや,多数の著書論文を書いている東京大学の藤本徹さんらが出演.ここでも親がゲームの効用を理解することの重要性が語られている. これまでマスメディアは繰り返しゲーム悪影響論を展開してきた.だが,パンデミックによる外出禁止によって,ゲームを活用する専門家の助言を発信するようになったと言えるだろう. 加熱するゲーム依存報道への警鐘: 7人中1人! 10人中3人!WHOでゲーミング障害がICD-11に収録掲載されたことによって,ゲーミング障害に関する研究もはじまっている.ゲームによるポジティブな影響は言うまでもないが,たしかにネガティブな影響も存在するだろう.それをゲーミング障害と呼ぶとして,では他の障害(オーバートレーニング,エクササイズ依存,薬物中毒...)に比べて,どれくらい深刻なのか,どれくらいの規模にひろがっているのだろうか.そして(一部の医者が主張するように)麻薬中毒と同じ脳内現象が本当に起こっているのだろうか.こうした未着手の問題は今後の調査によって得られたデータにもとづいた議論が進められていくだろう.この際に議論の的になるのが,実際に診断を受けたゲーミング障害についてのデータと,診断を受ける前のゲーミング障害と疑われる者のデータとの関係である.これについては,今年に入ってすでに2件の指摘がおこなわれている.まず2月6日に日本の厚労省主催「ゲーム依存症対策関係者連絡会議」の公開資料をもとに,木曽崇「厚労省研究班調査:国内中高生93万人にゲーム依存の疑い?!が報道される前に」がデータの扱い方について指摘している.幸いこの記事で危惧されたセンセーショナルな報道は出なかったが,それから2週間後の2月18日にはNHK「視点・論点」「深刻化する若者のゲーム依存とその対策」でネット依存が疑われる者の推計が93万人と注釈なしに報じられた.このNHK番組についてはデータの注釈を欠いているだけでなく,データのグラフ化における省略などについても指摘が行われており,学会発表したら指摘されるはずの欠陥がマスメディアで発表されていると言わざるをえない.学会で修正される前のセンセーショナルな数字だけが一人歩きすることが危惧される. センセーショナルな調査発表は日本だけではない.同じ2020年2月6日に「アフリカのゲーマーの30%がゲーム依存」という論文がScientific Reports誌に掲載された.(Scientific Reports誌はnature.comのサイトに掲載されるのでよくNature誌と間違えられるが,Natureの出版社による別基準のオープンアクセスジャーナルで基準は全く異なる.)だがこの論文はその後,4月17日にゲーム依存の研究者からの指摘,4月21日には別のブログでの指摘をあいついで受けて,実験内容および論文記述さらには研究予算の数々の疑惑の渦中にある.さらには著者の過去の論文データまで疑惑の目が向けられることになり,日本の研究者を含む過去の共著者が本当に実在しているのか立命館大学や総研大に問い合わせる事態にまで発展した.そしてついに4月23日にScientific Reports編集部が調査をはじめた旨が論文に追記(23 April 2020)された. グラフやデータ処理について学術的に厳密なチェックを受けないものが堂々と発表されてしまうのは残念である.だがそうした指摘が行われているということは,世界の専門家が調査データ分析に貢献したいと考えていることを浮き彫りにしている.ゲーミング障害についての公開データにもとづく議論が待たれている. まとめと今後の国内の課題本記事ではここまでパンデミック下での専門家による情報発信や組織を超えた協力を見てきた. そしてこれまでは「ゲームは1日1時間」といった根拠の薄弱な一律のゲームプレイ規制が変わり,「親子で遊ぶ」「離れて遊ぶ」「身体を動かす」「生活のバランスをとって遊ぶ」「区切りのいいところまで,休憩をはさんで」「ゲーム作品によって異なる魅力を知る」「生活にゲームをとりいれる」といったプレイヤーとプレイの質に即した具体的アドバイスに移りつつある.そのためにはゲームの内容を理解したアドバイザーが必要となる.ゲームを活用して健康的な生活を送るアドバイスは,これまでは業界団体による(特定のゲーム企業に偏らない)情報発信が行われてきた.しかし本記事で見たように,非営利団体や研究者団体,個人研究者による新しいアドバイスの形態が生まれている.日本でこれまでゲームの効用の情報発信において大きな役割を負ってきたゲーム業界団体CESAも,これまでの知見と実施対策を今後も啓発していきたいという姿勢だ.多くの国内学会が情報発信のリソースを持てない中で,CESAには実態把握できていることを徹底させたいという一貫した姿勢を見ることができる. その一方で,今後は新しい事態や不安に対応できる人材も必要になるだろう.北米での取り組みに見られるように,得られた知見を理解してもらう啓発活動だけでなく,これまでの知見を動員して新たな不安に対応するには研究者人材が必要になる.そして専門家の助言を流通させるチャンネルができれば,最新のゲームタイトルも含めた国際動向も社会にひろめることができるのではないか.本記事もそうした取り組みを試みていきたい. 追記(2020.07) 疑惑の論文撤回上記「アフリカのゲーマーの30%がゲーム依存」論文は本記事公開後に撤回されました (Scientific Reportsによる説明) .第3共著者に名を連ねてしまった研究者の説明もでました.コロナウィルスでの論文撤回があいついだために国内で注目されることはありませんでしたが,「新しい障害の第一人者になりたい」という研究者に対して,学会発表後のチェックが機能したということもできます.一方,日本のゲーム依存に関する調査は,そもそも国際論文誌に投稿したりデータを公開しておらず,報道発表しかありません.日本の議論も同様に,国際論文誌に投稿して世界の研究者のチェックを受けることを期待しています. |
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2020-8-12 4:49 |
IGDA日本アカデミック・ブログ
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ゲーミング障害の政治とゲーム開発者ができること
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アカデミックSIG主筆の山根です.
本記事では,WHOでのゲーミング障害の扱いに対するゲーム学界の対応を説明し,ゲーム開発者が(パブリックコメント以外に)できることを考え,Global Game Jam瀬戸内会場in香川について説明する. さて香川といえば県の#ネット・ゲーム依存症対策条例が話題だが,その出しにつかわれたのが「ゲーム障害(ゲーミング障害)」という概念である.世界保健機構(WHO)のICD-11(追記: 「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems) 第11版)で,「ゲーミング障害(gaming disorder)」の分類が追加されることが決定され,有効になる前から政治的関心を集めている.本記事ではゲーミング障害に関するゲーム研究・ゲーム分野での議論をまとめてみたい. ゲームと障害これまでゲームと「障害」(discorder)についての学会報告といえば,「ゲームで障害を治療できるか」というゲームを積極的に応用する取り組みが主流だった.たとえば心理学の定番教科書でも,「VRゲームはPTSD(心的外傷後ストレス障害)治療に使えるか」「ゲームは認知障害に対して有効か」といいったゲーム活用の知見を学生のうちから教えている. そこに登場した新たな概念が「ゲーミング障害」である.それまで存在しなかった障害の分類に対するゲーム開発者・ゲーム研究者の対応はどうだったか.まず本ブログの親団体であるIGDA(アメリカに本部を置く国際ゲーム開発者協会)の対応は,ゲーミング障害はファクト(科学的に検証された根拠)に基づいていない」「米国医師会や米国精神医学会ではそのような議論は行われていない」というもので,アカデミック的な議論にもとづく意思決定を求めるものだった.もちろんゲームによって依存が生まれることは認めており,IGDAの元チェアマンが書いた教科書『ゲームデザインバイブル』では,ゲームに依存性があること,ゲームデザイナの社会的責任に関する章があり,ゲームデザイン書籍のベストセラーである本書で多くの学生が学んでいる.(追記: その一方で,倫理や社会的責任を学べなかった上の世代のゲーム開発者の学びなおしも重要な課題である.GDCでは倫理や社会問題についての講演が設けられるようになったが,国内ではようやく教科書が翻訳されたところだ.) このようにゲーム開発者コミュニティはWHOでは科学的な検証が不十分な現状で分類を行うことに反対していたが,専門家の議論はまとまらなかった.英国の心理学者はこう解説している. 「アカデミアの意見はふたつに大きく割れた。ゲーミングが原因で問題を抱えている人々に客観的なラベルが貼られたことで、そうした人々が必要に応じて適切な治療を受けられるようになったと主張する研究者もいる。その一方で、ゲーム依存に対する科学的証拠がまだ十分ではないと主張する研究者もいる」そして記事の最後にあるように「人々の尊敬を集める立場である人々も、公共の場でゲームについて語る際はもっと筋の通った慎重なアプローチをする必要がある」,つまり政治家やマスメディアがゲームについての扇情的な発言をする前に,今まで以上にファクトチェックをすることが求められるだろう. 日本が果たすべき役割ところで,ゲーミング障害の国際疾病分類への追加に最大の責任を負っているのは日本である.国立病院機構久里浜医療センター(以下,久里浜と略記)は,ゲーミング障害に唯一明確な支持をしたのが日本政府だったと述べている.これをそのまま受け取れば,ゲームの長時間プレーで死者が出た韓国・中国のWHO代表ですらゲーミング障害分類を積極的に支持しなかった.その案を日本代表が強く推進したことから,日本代表は世界のどの国とも違う独自の意思決定・リスク評価をしていたことがわかる.これは日本のゲーム教育にも問題がある.上述したように海外の心理学やゲーム開発の教科書では,シリアスゲームを開発したりeスポーツを活用した治療への取り組みがみられるが,国内教科書にはほとんど見られない.また久里浜は「病名がなければ、研究費も受けられない」と研究の必要性を訴え,その主張に沿ってWHOでの決定後,日本はゲーミング障害についてのファクトを集める研究に予算を投じられることとなった.ゲーム障害の国際疾病分類入りを推進した日本こそファクトにもとづく学術論文を発表して世界に対する責任を果たすことが求められるだろう. ゲーム研究者の声明先にWHOでは「アカデミアの意見は大きく割れた」とのべたが,ゲーム研究,すなわち大学でゲームを学問として教える研究者たちは別で,積極的な声明を出している.本ブログでも活動を紹介しているHEVGA(全米ビデオゲーム高等教育機関連合)は声明を発表し,ゲームの教育利用の著作で知られる藤本氏がその重要性から私家版日本語訳を公開している.また,各団体の代表が公の場で発言している(これについては後でまとめる).あるいはゲーミング障害の理解のされ方を理解すべく,昨年京都で開催されたDiGRA2019では専門家のゲーミング障害の分析についてのメタ分析も発表された.この声明だけではわかりくいが,多くのゲーム研究者はゲーミング障害がゲーム規制の口実に使われるだろうと(過去の焚書の事例から)予想し発言してきた.その中でもっとも注目を集めたのが昨年3月のGame Developers Conference(GDC19)で開催されたパネルセッション'How to Talk About Games Today'「いまゲームについてどのように語るべきか」だ.過去に本ブログの2019年プレビュー記事でも言及したが,このセッションの動画と資料が公開されたのでくわしく紹介しよう. GDC19でのパネルディスカッション世界最大のゲーム開発者会議GDCには各地の名物教授も集まる.GDC19のパネルディスカッションもゲーム研究組織の世界的なリーダーたちが名を連ねた.
さらに,リンク付きで参考資料もウェブ公開されている.この公開ページの題名が「Under Fire: How to Publicly Discuss & Promote Game(我々は攻撃を受けている: ゲームの公開議論と宣伝のハウツー)」というふざけた題名になっているが,内容は落ち着いている.以下,簡単に紹介しよう. パネルの構成はHEVGA声明とほぼ同じだ.その基本的な姿勢は,感情的な扇動に対して学術的な立場から対応するというものだ.そのために,過去の焚書の何が問題だったのか?なぜゲームについて相反する研究結果が出て,専門家の統一見解が得られないのか?ゲームは治療へ応用できるのか?といった,そもそもの背景となる知識や論文が提供される. 以下,パネリストごとに一言でまとめてみる. ・Andrew Phelps「はじめに」(YouTube動画 -04:22) ここではメンバーの紹介そして近年のゲームの議論の背景を説明するという趣旨が説明される. ・Lindsay Grace「モラルパニックと誤解」(04:30-13:18) 過去の焚書の歴史からの教訓を得る.日曜日のスポーツのすすめ焚書! コミック焚書! テレビ依存症の恐怖! TRPGで非行に走る若者たち!(単発事例をあげるのではなく,当時の社会関係を分析した論文を紹介しています) ・Mia Consalvo「ゲームと暴力に関するリサーチメソッド」(13:40-25:25) ゲームと暴力との関係を示そうとする研究はどうやって進められてきたのか. ・Roger Altizer「ゲームはあなたによいものです」(25:55-37:45) ゲームを健康目的に積極的に活用する立場から. ・Andrew Phelps「まとめ: 我々は何をすべきか?」(38:00-1:00:00) ワシントンで政治家とミーティングした話,HEVGAのWHOへの声明について,ゲーム開発者はどうすべきか?,まとめ(47:50),Q&A(50:10-) これらの動画そして発表資料はどれも興味深いが,特にゲーム開発者にとっては,まとめでフェルプスが指摘している点が興味深い.「Beware of unpublished or ‘preliminary’ research or ‘sponsored’ studies」(学会論文になっていない研究,予備調査,スポンサーつきの研究には注意せよ,これはまさに論文化されていない商業出版物や予備調査に立脚した香川県条例にあてはまる)「Remember that you are an expert on the creation of games ?most people have no idea how games are planned, made, marketed, or sold」(みなさんがゲーム制作の専門家だということを忘れずに.ほとんどの市民はどうやってゲームが企画され,開発され,配布され,発売されているのかを知らないのです)ゲーム開発者はたんなる攻撃対象ではなく,社会が理解し始めている新しいメディアのエキスパートなのだ. GDC19に登場したオールスター教授陣は世界の研究者に号令をかける立場でもあり,日本のコミュニティとも無縁ではない.パネリストの多くは昨年DiGRA2019京都会議のゲーム教育ワークショップにも出席していたし,3月のGDC20でもLindsay Graceは再び登壇予定,また今年2020年8月24日に大阪で開催されるゲームジャムの国際会議でもLindsay Graceは運営委員に名を連ねている. Global Game Jam瀬戸内会場in香川がめざすもの募集したパブリックコメントをなかったことにするわけはいかないので,県条例に対するパブリックコメントは大いに行いたい.(18歳以上であれば後述するGlobal Game Jamに参加すればゲーム事業者になってパブリックコメントを出せる.)GDC19パネルディスカッションまとめで示されたように,「ほとんどの市民はどうやってゲームが企画され,開発され,配布され,発売されているのかを知らない」という事態をゲーム開発者は変えることができる.今年度の文化功労者に宮本茂が選出されたが,その一方で ゲーム業界のイメージはどうか.ゲーム業界は子供を中毒状態にしては金や時間を奪う麻薬の売人だと思われているかもしれない.若者をバクチ漬けにして借金地獄に沈める時代劇にでてくる賭場の胴元だと(いまどき)思われているかもしれない(追記: 語句修正).日本の教育政策を失敗させ子供を凶暴化させる反社会集団と思われているかもしれない.あるいはドーパミンを出させて日本人の脳をウニにしようとする悪の組織だと思われているかもしれない.こうしたゲーム開発者のイメージまではパブリックコメントでは変えることができないが,ゲームは特殊な存在ではないこと,学ぶ場があれば誰でもゲーム開発者になれるという理解をひろめることは有効だろう. そこで,今週末(1/31-2/02)に開催される「Global Game Jam瀬戸内会場in香川」(日本語・英語公式ページ,日本語参加申込ページ)では,開会式の当日まで参加者(および参加キャンセル待ち)を受け付けるとともに,「ゲームはこうして開発できる」「短時間でゲームを開発し,世界に配信できる」「誰でも,どこでもゲーム開発者ゲーム事業者になれる」ということを明らかにしたい.そのために,金曜日午後5時からの開会式,土曜日の日中,閉会式が行われる日曜日午後に県民の参観を受け入れ,ゲームを学問として教える大学教員(筆者:)が説明を行う.確実に説明を受けたい人は事前にイベントへの問い合わせボタンで希望時間を連絡先をいただければ用意します(なお駐車スペースに限りがあるので,タクシーまたは公共交通機関をご利用ください). ゲームジャムへの市民参加は特別なことではない.過去にもGlobal Game Jam会場を政治家が訪問することは多く,Global Game Jam 2011福岡会場では市長の単独訪問があった.またコペンハーゲン会場やエジプト会場では国をあげて巨大会場がつくられ,大臣の挨拶も行われている.さらに各自治体が開催するゲームジャムもある(岡山県高梁市のゲームジャム高梁では高梁市長・市議会長が開会式で挨拶を行なった). 香川のゲーム文化残念なことに,香川県条例案を受けて「香川には次世代産業は育たない」という風評被害も起きているが,どの自治体にも同じ議員立法の脆弱性を抱えており,香川県議会だけが特殊なのではない.実際,香川には根強いゲーム文化が存在する.中村光一を輩出したことは言うまでもなく,IEEE DIGITEL 2012 [第4回IEEEデジタルゲームと知的玩具による教育に関する国際会議] を香川大学が中心となって開催,ゲーム要素をとりいれてプログラミングコンテスト自由部門で三冠を受賞した香川高専詫間が讃岐ゲームジャムを開催してゲーム開発に取り組み,活躍できる人材を育成してきた.また「あそぶ!ゲーム展」の無料連続開催,ゲーム技術を活用するチームラボのインタラクティブアートの高松で継続開催するなど,香川では産官学民で数々のイベントが行われ活況を呈している.さらに今夏にゲームジャムの開催も準備中である.それらがひとつながりのゲーミング文化の一部だと認識されていなかっただけなのだ.ここでは香川のゲームシーンを再確認するとともにGGJを通じて「どんな人が」「どうやって」ゲームをつくっているのかという開発現場を理解する場を提供することで,ゲーム開発者だけができる地域貢献を実現したい.今年は日本国内だけでも25の会場でGlobal Game Jamが開催される.見学者が入れない会場も多いが,会場に行けない人はSNSでも情報発信しているのでチェックしてほしい. (追記1/30: 電子デバイス会場はコロナウイルス流行を考慮して中止され国内24会場に) |
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2020-6-4 2:41 |
IGDA日本アカデミック・ブログ
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GGJ20以後のゲームジャムシーン
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ブログ主筆の山根です.この4月から東京国際工科専門職大学のデジタルエンタテインメント学科に移り,4月から授業スタートしましたがまだ学生とは直接会っていません.さて,本記事では1月末のGlobal Game Jam 2020 をふりかえるとともに,その後のゲームジャムシーンをまとめたいと思います.
GGJ20ふりかえり世界最大のゲームジャムイベント,Global Game Jam(以下GGJ)が今年2020年は1月31日金曜日から2月2日日曜日まで開催された.世界各地の会場で金土日の48時間で行われるGGJは,日本で最初に開催されたゲームジャムでもあり,多くの国内のゲームジャムのモデルにもなってきた.防疫に直面したGGJ会場GGJは年々大規模化している.本ブログでもGGJ2013の振り返りで,ゲーム開発者への支援が進む各国で数百人規模のメガ会場が生まれていることを報告した.その傾向は12年目のGGJ2020でも変わらず,世界の大都市では数百人単位の会場も開設された.しかし今年はそうした都市会場が,1月後半から新型コロナウィルスの蔓延に直面することになる. 日本国内の会場の中でも,秋葉原の電子デバイスGlobal Game Jam会場が参加者募集を停止し,閉鎖された.アジア・オセアニア地域のGlobal Game Jamで多くのゲーム開発者が参加したのは,1位が上海会場の377人,2位が香港会場の328人.3位がバンガロール,4位がメルボルン,5位がシンガポール.この中で,香港会場はいちはやく新型コロナウィルスに対応し,オンライン開催に切り替えながら世界全体でも8番目の参加者数を集めた.これは主催者の香港理工大学を中心としたスタッフの力が大きい.2ヶ月前にはデモ鎮圧のために封鎖されていた香港理工大学だが,日本の全会場を集めたよりも多くの参加者を集め,オンライン参加に切り替えて成功させたスタッフワークは見事というほかない.Global Game Jamは即席チームを組むところからはじめて作品の全世界公開と成果発表までを行うが,オンラインでもこうした短期チーム開発イベントができるということをいちはやく示したと言える.GGJの現状速報によれば,12年目のGGJ20は,48,700人以上のゲームジャム参加者が世界118カ国934会場に集まった. Global Game Jamの各地の様子は,毎年3月に開催されるゲーム開発者会議GDC(Game Developers Conference),そして同時開催されるゲームジャム国際学術会議ICGJ(International Conference on Game Jams, Hackathons and Game Creation Events)で報告されるのだが,残念ながら今年は新型コロナウィルスのためどちらも開催されず,グローバルな全貌がよくわかっていない. ICGJ2020は8月の大阪開催が決まったものの,やはり開催変更になり,大阪では開催せずオンライン発表になった.今年,GGJの成果を共有できる最大のイベントはここになりそうだ.6月1日までゲームジャム報告を受けつけているので,GGJの成果を発表したい人は(オンライン開催で旅費が不要なので)ぜひ英語報告を投稿してほしい.GGJ日本会場の動向GGJの日本の会場は今年も北海道から沖縄まで,新しい会場も加わって25会場で開催された(そのうち1つは上述したように閉鎖).昨年は札幌会場が100人を超えたが,今年はウィルスの影響か100人以上集まった会場はなかった.これらの日本会場関連のSNS動向は,「Global Game Jam 2020 日本語非公式まとめ」にまとめられているほか,参加者による国内会場報告も公開されている.大人から学生まで参加者の幅広さ,その土地その土地でのコミュニティを感じることができる. ゲームジャムの特色でもある「仕事ではできないような新しい挑戦」としては,アップデートされたばかりのOculus Quest でのハンドトラッキングに早速挑戦した六本木Code Chrysalis会場のYou are a tool VRが目についた. 日本の25会場の中には募集段階から特色ある会場も多く,シナリオライターと協力してノベルゲーム開発参加者を募集した(「どこでもいっしょ」20周年でもおなじみ)ビサイド立川会場,サウンドミニハッカソンによる「普通のゲームジャムではない」(『東京クロノス』でもおなじみ)MyDearest浅草橋会場,そして,香川県(「ネット・ゲーム依存症対策条例」でおなじみ)で初めてのGGJ会場である瀬戸内会場in香川もあった.筆者は前記事で書いたように香川に遠征して運営に当たっていたが,国内会場でも珍しいお寺でのゲームジャムで,ゲームを通して香川県民の方々の声に触れることができた.また終了後には,「ねとらぼ」による香川県議会事務局への質問で「香川県で行われるeスポーツイベントや、「Global Game Jam」などの教育イベントへの影響は想定していますか」という質問項目もあったように,県外からの注目も実感できた.こうした香川での収穫については別原稿で書きたいが,ゲームジャムに体現される「誰でも週末にゲーム開発者になれる」という現状認識を今後も広めていきたい. 新型肺炎下のゲームジャムシーンGGJが開催されたあと,世界的なパンデミックが発生する.いまふりかえると,GGJの秋葉原会場が開催を断念したり,香港会場がオンライン開催に切り替えたのは,その後のゲームジャムイベントの先駆けだった.本稿の後半は,こうしたゲームジャムシーンの展望についてまとめたい.Global Game Jamは,初期の頃からオンラインでの参加には反対しており,会場に集まっって即席チームをつくるをつくることにこだわってきた.しかし,GGJ20の香港会場のようなオンライン参加や,参加前のある程度の打ち合わせを認めざるをえないだろう.すでにGlobal Game JamのU18部門である「GGJ NEXT」が今年は2020年7月にすべてオンラインで開催されることがアナウンスされ,ゲームジャム開催者とDiscordで助言するメンターとを募集開始している.昨年のGGJ NEXTは日本国内では釧路高専と秋葉原の専門学校で開催されているが,今年はオンラインで行うために事前準備期間をとっている. 各地のゲームジャムも完全オンライン型が増えている.インディーゲーム配信サイトで,ゲームジャム開催スケジュールも運営するitch.ioがオンラインでのゲームジャム参加をアピールしている(itch.ioへの日本語参加案内はゲームジャム高梁2017資料を参照).こうして外出禁止期間でもゲーム開発に参加するためのハードルは低くなってきた. 連帯に向かうオンライン開発イベント本ブログの親元であるIGDA(ゲーム開発者の国際NPO)も,Global Game Jam以外のオンライン開発イベントに協力している.4月のニュースレターでは「#EUvsVirus Challenge」への参加呼びかけが行われた. これはEU(欧州委員会)が主催するハッカソンで,新型コロナウイルスがもたらすさまざまな課題への解決策を探るために欧州全土で1万人以上が参加した48時間のイベントだ.開発するのはゲームに限定されないアプリやサービスで,ゲームジャムと違って必ずしも完成を目指さないが,新型コロナウィルスによる外出禁止の間にオンライン開発をするのではなく,新型コロナウィルスによるさまざまな問題を解決するためにオンライン短期開発に取り組もうという機運も高まっている. この全欧州規模のオンライン短期開発イベントからは実際に優れたサービスが生まれ投資を受けようとする事例も生まれている.だが,イベントの効果はそれだけでない.異なる専門分野の人とチームを結成すること,国境を超えてアイデアを競いあうこと,そしてオンラインで企画からプロトタイプ提案までの経験を積むことで,週末の間にこれからの生活に必要な学びや失敗を得ることができる.日本語圏でもすでにいくつもオンラインでのゲームジャムが行われているが,そうしたイベントで「国境を超えて違う分野の人とチームを組む」経験を積んだ開発者人材が,これからの社会生活にその経験を生かしてほしいと願っている. Global Game Jamの新体制最後にGlobal Game Jamの運営陣の大きな交代について紹介する.Global Game Jamのトップであるディレクター職に前IGDAトップのKate Edwardsが就任したことは前年から報じられてきた.さらに今春には,GGJの立ち上げメンバーの退任が発表され,メディアでも報じられた.Global Game Jam発起人のIGDAのスーザン・ゴールド(日本でもCEDEC Award受賞,GGJの原型となったNordic Game Jam(BABA is Youなどを輩出)をIGDAコペンハーゲンやゲーム研究者のイェスパー・ユールたちとともにたちあげ,さらにGlobal Game Jamたちあげにも尽力したGorm Leiは.長年つとめてきたGGJでの役職から退くことになった.世界を変えた先駆者を送り出して,GGJは新世代に交代することになる. |
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2016-4-27 1:26 |
y_miyakeのゲームAI千夜一夜
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人工知能のための哲学塾 (第零夜+全五夜)の全資料
![]() ![]() 人工知能のための哲学塾 (第零夜+全五夜)の全資料です。ご活用ください。 コミュニティページ 第零夜 「概観」 第一夜 「フッサールの現象学」
第二夜 「ユクスキュルと環世界」
第三夜 「デカルトと機械論」
第四夜 「デリダ、差延、感覚」
第五夜 「メルロ=ポンティと知覚論」
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2015-6-27 1:27 |
y_miyakeのゲームAI千夜一夜
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WEB+DB に坂上卓史さんの「ゲームルールの作り方」
![]() ![]() http://gihyo.jp/magazine/wdpress/archive/2015/vol87 今月号の WEB+DB には坂上卓史さんの「ゲームルールの作り方」が掲載されています。 坂上さんは現役のアナログゲームのデザイナーで、デジタルゲームとアナログゲームの違いや、ゲームでキーとなる概念(おそらく自分でみつけるだけで数年は要するような)を平易に解説されています。 前半はコンセプトとキーワードですが、これだけでも、さまざまな着想が得られるでしょう。後半は一転して、実践的な内容で、ゲームコンセプトの作成、ゲームデザインの作成、そしてテストプレイを含めて完成へ至るまでの道のりを書かれています。 欲を言えば、第一章は「競り」「ブラフ」「交渉」「生産」などのキーワードを散りばめているので、具体的に代表的なゲームと写真があれば良かったと思うのですが、出すとそれぞれのゲームを説明しないといけないし、おそらく誌面やいろんな都合で省略せざるを得なかったのでしょう。 第二、三章は圧巻で、ご自身のリリースされた「ART OF WAR」というカードゲームを題材に、実際のゲームデザインの過程をつぶさに解説されています。このような実践的な過程、かつその製作者自体が記述される例は少なく、たいへん貴重な記述となっています。 また過程だけでなく、陥りがちな罠などに対する注意や、押さえなければならないポイントが明確に記述されていて、全体として実践的価値の高い記事となっています。一読されることをお薦めします。 |
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2015-6-4 2:36 |
IGDA日本IF
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IGDAスカラーシップ for CEDEC2015 & TGS2015
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申し込み https://goo.gl/tlZafZ
締め切り 7月6日(月) 概要国際ゲーム開発者協会(IGDA)では、ゲームディベロッパーズカンファレンス(GDC)やE3といった世界の主要ゲームイベントに対して、スカラーシップ(奨学生)プログラムを実施し、幅広い層を対象に参加サポートを行っております。今年も一般社団法人コンピュータエンタテインメント協会(CESA)のご協力を受け、国内においてもコンピュータエンタテインメントデベロッパーズカンファレンス(CEDEC)、東京ゲームショウ(TGS)において、同様のプログラムを開催できる運びとなりました。 IGDA日本はIGDAの協力のもとで全世界のスカラーシップ志望者に対して募集を行い、選抜を実施します。合格者にはCEDECのレギュラーパスか、東京ゲームショウの参加権を授与いたします。また、協賛企業によるスタジオツアーなどを計画中です。 CEDECは日本最大級のゲーム開発者向け技術カンファレンスで、東京ゲームショウはアジアNo.1をめざすゲーム見本市です。これらのイベントに参加し、同世代の奨学生と交流することを通して、たくさんの刺激を受けていただければ幸いです。 ■コース1:CEDEC 8月25日(火) スタジオツアー 8月26日(水) CEDEC参加 8月27日(木) CEDEC参加/デベロッパーズナイトパーティ参加 8月28日(金) CEDEC参加 ■コース2:東京ゲームショウ 9月16日(水) スタジオツアー 9月17日(木) 東京ゲームショウ ビジネスデイ参加 9月18日(金) 東京ゲームショウ ビジネスデイ参加 センスオブワンダーナイト参加/懇親会参加 9月19日(土) 東京ゲームショウ 一般公開日参加 インディーズゲームコーナー参加 9月20日(日)(東京ゲームショウ 一般公開日)自由参加 *スケジュールは都合により予告なく変更される可能性があります。 東京ゲームショウ一般公開日は、9月19日(土)分のみチケットを進呈します。 ■参加特典 スカラーシップに合格した奨学生は、CEDECのレギュラーパスか、東京ゲームショウの参加権が支給されます。 都内のゲーム開発スタジオ数社を訪問し、ゲーム開発風景の見学や、開発者との交流やディスカッションを行います。 ■スタジオツアー協賛企業 2015 CEDEC コース株式会社Aiming ジープラ株式会社 株式会社たゆたう 株式会社Aiming 株式会社ディー・エヌ・エー 株式会社ランド・ホー ■募集国籍 全世界からイベントごとに9名ずつ、合計18名の奨学生を募集します。 ■備考 ・CEDECと東京ゲームショウの双方を、同一人物が応募することはできません。 ・過去のCEDEC&TGSスカラーシップ合格者は応募できません。 ・会場までの交通費、宿泊費、食事など、滞在に必要な出費は自己負担となります。 ・スタジオツアーは諸事情によりキャンセルになる場合があります。その際もパスと参加権はご提供いたします。 ・すべての参加者は参加後、日本語または英語による体験レポートを提出いただきます。体験レポートはウェブサイトで掲示されます(例はこちら) ・すべての参加者は参加後、アンケートに協力いただきます。アンケートは協賛企業・団体に送付されます。 募集要項スカラーシップの希望者は、以下の条件を満たすことが必要です。・日本語での日常会話(海外からの参加申し込みにおいても日本語での日常会話力が求められます) ・18歳以上の専門学校生・短大生・大学生・大学院生 ・将来日本のゲーム業界に進みたいという強い意識を持っていること 以上の条件を満たす応募希望者は、 ?アンケートフォームから必要項目を記入してください。 ?学生証のコピーをスキャンまたはデジタルカメラなどで撮影の上、info@igda.jp までメールしてください。その際にメールの件名を必ず「スカラーシップ2015申し込みの件」とし、本文に名前・学校名・応募コース(CEDECまたはTGSのいずれか)を明記してください。 締め切り:7月6日(月) メンター募集IGDA日本ではスカラーシップ実施にあたり、ゲーム業界の開発者の方々に、学生のフォローアップをボランティアで行うメンター(師匠・先輩)を募集します。私たちはメンターの方々に対して、学生と共に行動しながら、ゲーム開発についての質問を受けたり、キャリアについて助言を行ったり、業界内の人脈を紹介するなどして、学生に対する刺激を与えていただくことを期待しています。メンター希望者はスカラーシップ期間中(CEDEC:8月26日-28日/TGS:9月17日-20日)、少なくとも1日(1時間以上)、会場で奨学生に時間を割いていただきます。 メンターご希望の方は、以下の項目をそえて7月31日(金)までに、メールにてご応募ください。 ・名前 ・社名 ・役職 ・業界歴 ・最近の主なタイトル ・携帯電話番号 ・メールアドレス ・Facebookの登録アドレス ・スカラーシップにどの程度時間を割いて頂けるか *メンターにはCEDEC、東京ゲームショウのパスは支給されません。ご注意ください。 協賛企業募集IGDA日本ではスカラーシップ実施にあたり、スタジオツアーにご協賛いただける企業様を募集します。詳細はメールにてお問い合わせください。すべての問い合わせ先はこちら IGDA日本代表 小野憲史(info@igda.jp) |
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2015-6-4 2:30 |
IGDA日本IF
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IGDA Scholarship: CEDEC2015 & TGS2015
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Apply here: https://goo.gl/x1RYVD
Application Deadline: July 6 (Mon) *Japan local time OverviewThe IGDA scholarships programs provides opportunities for students to attend major game development conferences around the world, including GDC and E3.Here at IGDA Japan, we are pleased to introduce a scholarship program for CEDEC (Computer Entertainment Developers Conference) and TGS(Tokyo Game Show). thanks to the generous cooperation of CESA(Computer Entertainment Supplier's Association). Applications are now open till July 6 . Chosen applicants will be given a game studio tour along with the choice of either a CEDEC Regular Pass, or a TGS Business Day Ticket for free. Both CEDEC and TGS are one of the biggest game developers' conferences, in Japan and Asia respectively. Our goal is for the chosen scholars to find both the conferences and their time with other scholars fruitful. Course 1: CEDEC August 25 (Tue) Studio Tour / Convivial Gathering August 26 (Wed) CEDEC August 27 (Thur) CEDEC / Developers Night party August 28 (Fri) CEDEC Course 2: Tokyo Game Show September 16 (Wed) Studio Tour / Convivial Gathering September 17 (Tur) Tokyo Game Show (Business day) September 18 (Fri) Tokyo Game Show (Business day) & "Sense of Wonder Night" September 19 (Sat) Tokyo Game Show (Public day)& "Indie Game Corner" September 20 (Sun) (Tokyo Game Show (Public day)) NOTE: - Each schedules is subjected to change without announcement. - A One day ticket for a Public Day(Sep.19) at TGS will be given to every scholars. Scholarship Details- Either a CEDEC Regular Pass or a TGS Business Day Ticket will be provided.- Scholars will be given a tour of a game studio in Tokyo area, where they will get the opportunity to the studio in action and talk with its developers. - A relevant industry professional will also be assigned to the scholars as a mentor during the event period. Studios Tour in 2015 CEDEC course - Aiming Inc. - GeePlus,Inc. - TAYUTAU K.K. TGS course - Aiming Inc.- LAND HO! CO., LTD. - DeNA Co.,Ltd. How many students are participating? A total of 18 applicants will be chosen, 9 for each event. Notes: - Scholars can only choose one conference (either CEDEC or TGS) - former scholars for CEDEC and TGS scholarship can't send any applications. Other scholars (GDC, E3...) will be acceptable. - Associated costs such as travel fare, accommodations, and meals are NOT covered by the scholarship program - The studio tour is subject to cancellation based on the studio’s schedule. However, scholars will still be able to attend the conference they chose. - Every scholars have to write a report in English or Japanese after programs. They will be uploaded on website (check them). - Every scholars have to cooperate with our survey. It will be send to studios which cooperate tours. How To ApplyPlease carefully read through the conditions below before filling out the application form. A link to the application can be found at the top of this entry.Prerequisites (applicants must fulfil the following conditions) - daily conversation skill in Japanese (This program is open for international students but Japanese speakers should have priority for selection) - Applicants must be 18 years old or older - Applicants must be a currently enrolled student in a vocational school or college, or a recent graduate - Applicants must be fully interested in working in the Japanese game industry - Applicants must be a IGDA member (registration can be done, an IGDA membership number is required as part of the application form) Deadline: July 6(Mon) *Japan local time Mentors wanted!IGDA Japan is currently looking for game industry professionals who wish to provide an exciting and fruitful experience for chosen applicants of the scholarship program. Mentors will accompany the scholars during the period, helping them with career advice, introductions to other professionals, or with any questions the scholars may have. Please be aware that mentors are asked to accompany the scholars for at least one hour a day during the event (either during CEDEC: August 26 - 28, or during TGS: September 17 - 19).If you wish to become a mentor for the CEDEC2014 & TGS2014 scholarship program, please email us (contact information at the bottom) with the following details by July 31st (Fri): - Your name - Company name - Job title - Experience in the game industry - Latest title you worked on - Mobile number - Facebook link (if applicable) - Estimated time you can accommodate for the scholars during the event *Please note that mentors will NOT be provided with a CEDEC or TGS pass Is your studio ready for a student tour?IGDA Japan is currently looking for game development companies who are interested in giving chosen applicants a tour of their studio. For more details, please contact us at the email address below.Contact For all queries regarding the program, please contact Kenji Ono (IGDA Japan Chairman) at info@igda.jp . |