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2024-4-8 8:43
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IGDA日本アカデミック・ブログ
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ゲームデザイン大学教科書の到来 (付録: 『ゲームデザインバイブル』正誤表案)
アカデミック・ブログ主筆の山根です.
ジェシー・シェルによる The Art of Game Designが今年の夏に『 ゲームデザインバイブル 第2版』として、オライリージャパンから翻訳出版された.これはゲームデザインを学ぶ大学生のための教科書として執筆されて改版を重ね、現時点での ゲームデザインの最強の定番教科書である.これまで大学で使えるレベルのゲームデザイン教科書が入手困難だった日本のゲーム教育界にとって、本書の翻訳は江戸時代に『解体新書』が訳されたのと同様に、専門家だけでなく多くの人が新しい学問体系を知るきっかけになるだろう.本稿ではこの教科書(以下、本書)の紹介と今後の展望について述べ、末尾には付録として正誤表案を示す.
著者について
著者の ジェシー・シェルは、数々の職を経験したあと、ゲーム産業とコラボレーションをする大学のパイオニアだったカーネギーメロン大学ETC(エンタテインメントテクノロジーセンター)に教育専門教員としてスカウトされ、全米トップの大学でゲームデザインを教えてきた.その他にも、過去にはIGDAチェアマンをつとめたり、自らのゲームスタジオSchell Gamesもたちあげて現在に至っている.
彼がディズニーでVRアトラクションやオンラインゲームに取り組み、そこで出会ったランディ・パウシュにスカウトされた経緯はカーネギーメロン大学のYouTube講義『最後の授業』でも言及されている( パイレーツ・オブ・カリビアンVRのゲームデザイナ, BVW科目の後継として).そして NHKのドキュメンタリーにも登場した.
彼の目立った仕事をあげると、VR脱出ゲーム『I Expect You To Die』が300万ドル(約3.3億円) を超える売り上げを 記録し、その戦略がゲーム業界以外でも注目された.ゲームタイトルだけでなく、中学生向け教育用XR教材「Happy Atoms」が クラウドファンディングで注目され、2017年に数々の賞を受賞した.これらをつくりだしたゲームスタジオSchell Gamesは100人を超える大規模スタジオに成長し、西海岸・東海岸・カナダとも異なる新たなゲーム産業の地域ハブとなった ピッツバーグを代表する企業となった.毎年3月のGDCでカーネギーメロン大学ETCの同窓会が開かれ、彼自身も 毎年GDCの複数セッションで講演を続けているゲーム業界の名物教授だ.
「前例がない場所で仕事をする」「異なる分野に挑戦し続けている」というパイオニア的な仕事をしてきたわけだが、そうした彼の仕事の特徴はこの教科書にもみることできる.彼の教科書には特定のジャンルのゲームデザイン方法は書かれておらず、ボードゲームからVRゲームまでさまざまなゲームに共通する理論や構造を扱っている.
本教科書を採用するメリット
著者はこの教科書を大学の授業に使ってきた.初版を使った2014年の授業報告はCEDEC2015でも 発表した他、第2版にもとづく シラバス(1学期分の授業計画)も公開している.その経験を踏まえて、本教科書をゲームデザイン科目に採用すると以下のメリットがあると考えている.
- 人生のアドバイスまで含んだ稀有な教科書.ゲームデザインは学ぶ価値がある学問である.それは職業ではなく、人生の様々な場面で使える.
- アナログゲームやデジタルゲームに限定されず、あらゆるゲーム共通するゲームデザインの原理や基本要素を学べる.いま売れているゲームを模倣する教育には使えないが、まだ存在しない新しいゲームをつくりたい人の育成には最適.
- 英語だけでなく独仏葡韓中の多言語に翻訳されており,将来に国際的な業務に参加する際の共通言語としても使える
- 入門書になるだけでなく、参考文献も示し、それらを読めばさらに詳しい議論を追える.
つまりこのは教科書は学生だけでなく研究者にとっても深い考察を与える手引きになる.たとえば文化庁事業『ゲーム研究の手引き』では「優れたゲームデザイン理論書はゲーム研究者にとっても非常に重要な文献」の一冊として本書が紹介されている.
(くわしくは筆者が受講生用に書いた教科書案内を参照.)
アカデミックな評価
本書は古今東西のゲームデザイン論を集成し体系化しようとする試みであり、そのためにゲームに関係する様々な分野の人がアート・ソフトウェア工学・ナラティブ・マネジメントなど自分の関心に近い章を読むことができる.その例として、本アカデミック・ブログでは「ゲーム研究の成果を教科書で学べるか」という研究者視点で紹介しよう.
・ (1)ゲームAI研究:
IGDA日本SIG-AIの三宅は2000年の『Counter-Strike』について、2017年に以下のように述べている.
無理矢理に「連続空間」を「離散空間」と見なしているんです。これもロボット技術の分野では60年代からあったのですが、ゲームに持ち込む発想がなかなか出てこなかったんですね。
(21世紀に“洋ゲー”でゲームAIが遂げた驚異の進化史。その「敗戦」から日本のゲーム業界が再び立ち上がるには?)
2008年初版の本書には、当然この発想が入っていた.空間のデザインについて、連続空間ゲームを離散空間ゲームにできないか、あるいはその逆を考える(技術を学ぶのではない)課題が入っている.さらにAIでは自動生成ナラティブの博士論文も紹介されている.
・(2)ゲームスタディーズ:
ゲーム研究者にとっても本書の内容は読むに値する.「創発型ゲーム」「ユーザの心的状態を含めたゲームメカニクス」など近年のゲーム研究書のキーワードが教科書入りしている.これは研究者にとっては研究トピックを体系の中に位置づけ整理することができる.その一方、これから学ぶ学生は研究書を読んでも「それ教科書で読んだ」と思うかもしれない.だが、大学では研究と教育が同時に進められるのはむしろ普通である.そして学生がいちはやく研究成果に触れることができるトップ校のゲーム開発者教育を本教科書は示している.
・(3)トランスメディア論:
トランスメディア論は日本では紹介が遅れたため、マーケティングのメディアミックス論と混同されて、開発現場で使える手法になっていない.しかし欧米ではメディアミックスの手法はトランスメディア論として大学で学べるようになっている.本書にはそうしたトランスメディアの章が含まれ、日本でははじめてのトランスメディアワールドの作り方の教科書としても読むことができる.
・(4)シリアスゲーム・ゲーミフィケーション研究:
井上明人『ゲーミフィケーション』の末尾に「シェル構想」として本書の著者が登場するので、国内のシリアスゲーム関係者は著者の名前は聞いたことがあるだろう.シェル自身はシリアスゲームという分野があるのではなく、人を変えるゲームがあるのだとして「シリアスゲーム」という言葉は使わない.つまりシリアスゲームの知見はあらかじめ本書に含まれている.特にMotivaionの章とTransformational Gameの章は、いま日本語で読めるシリアスゲームのデザインのための最高の教材だ.本書が出版されたあと、シェルのゲームスタジオのスタッフがこれらの章の考え方にもとづいた The Transformational Frameworkを配布しているので、さらに実践活用に向かいたい人はそちらも参考になる.
このように、本教科書は様々な分野の成果が取り入れられており、学生のうちにこうした内容に触れた人材が世界各国で育つ新しい時代の到来を感じさせる.
本書の改善点と今後の展望
本書(第2版日本語訳)が出た直後に、原著は改訂第3版である The Art of Game Design: A Book of Lenses, Third Editionが発売された. カタログの「New to this edition」を読めば、どの項目が追加されたか一目でわかる.
大きな変更はないが、VR/ARゲーム開発者は第3版も読んだ方がよいだろう.
また、ベストセラーの大学教科書=すなわちデファクト教科書が訳されたことで、いよいよ国内のゲームデザイン教育は「どういう知識を教えるか?」という段階を通過して、次の段階について議論する時がきた.どういうカリキュラム設計や授業案で、どういう教育法で行い、その教育をどう評価するのか.そもそもこの教科書を使いこなせる教員をどうやって育てるのか.この話題については、CEDEC2015での発表以来、著者も考えて続けている問題だ.IGDA日本でも話題にする他、国内での議論を深めたい.
付録: 『ゲームデザインバイブル』正誤表案
(2019年10月作成、不定期更新)
最後に、筆者による『ゲームデザインバイブル』正誤表プロジェクトについて紹介する.
冒頭で述べたとおり本書の翻訳は『解体新書』に匹敵する偉業だが、無理な訳をあてている部分がある.前述したように、この教科書には入門レベルだけでなく研究レベルの内容も入っているため、この教科書を読んで卒業研究に進むと支障が出る可能性もある.そこで修正案をつくり、出版社問い合わせ先に送るとともにIGDA日本アカデミックSIGでも共有した.他にも指摘があれば IGDA日本新年会またはオンラインでご連絡いただきたい.
コメントの書き方は以下のようになっています.
(修正前の語句)/(修正後の語句)
; (コメント文)
という形でマークアップし、コメント文中では以下のタグをつけています.
- 【最重要】 すぐに直すべき語句、20個未満.いわゆる正誤表を出すべき修正箇所
- 【影響度: 大】 修正案のうち、大規模すぎて正誤表ではカバーできず改版を要する修正案
- 【影響度: 小】 修正を正誤表で収めるための小規模な修正案
頁と行 |
訂正前/訂正後
; コメント |
頁と行 |
訂正前/訂正後
; コメント |
Page ix, 14行目 |
カードの束/カードデッキ
; 本書と同時発売のデッキオブレンズはデッキを組んでデザインゲームにも使えます https://www.youtube.com/watch?v=AiSI8WGZokA |
Page x, 7-8行目 |
「ゲームデザインと仮想世界の構築」という講義をさせていただきました。この講義が/「ゲームデザイン」と「仮想世界の構築」を教えることができました.この経験が
; 参考資料: Building Virtual Worldsはランディ・パウシュの『最後の授業』で有名な名物授業です http://www.etc.cmu.edu/learn/curriculum/building-virtual-worlds/ |
Page xvi, 1行目 |
ゲーム界のメンデレーエフを待つ/メンデレーエフを待ちながら
?; 原文は『ゴドーを待ちながら』風に書くことで「メンデーエフは来ない」ということを暗示しつつ、いまできることをやるだけだと書いている.が、訳文ではただ来るのを待ってるだけのように読める. |
Page xvi, 4行目 |
究極の/望みうるかぎり最高の
?; 原文のthe bestは「究極の」という意味ではなく「理想ではないが望みうる最高の」の慣用表現で使われている[追記] |
Page xix, 7行目 |
ゲームデザインを構成する要素の関係性/ゲームデザインの網の目
; 本節ではウェブとリニアを対比させているがウェブの訳が抜けている |
17行目 |
恐ろしく複雑に連鎖している幅広い分野/幅広い分野の恐ろしく複雑な網の目
; 本段落ではウェブとリニアという構造を対比させているがウェブの訳が抜けている |
Page 3, 下から8行目 |
わたしは,ゲームデザイナーです(4回繰り返し)/わたしは,ゲームデザイナーです.「わたしが」ゲームデザイナーです.わたしは「ゲームの」デザイナーです.私はゲームの「デザイナー」なのです.
; 英語原文では強調点を変えて繰り返されている文章が,日本語訳ではまったく同じ説明の繰り返しになって意味不明になっている.フォントを変える,傍点を打つ,カッコに入れるなどするとよい.(Thanks: 『ゲームデザインバイブル』読書会) [追記] |
Page 12, 4行目 |
わたしは,ゲームデザイナーです(4回繰り返し)/(同上)
; (同上) |
Page 29, 17行目, 下から8行目 |
体験の核/体験の本質
; 前節で出てくる現象学用語ではessence of experienceは「体験の本質」という訳が定着している.レンズの様に訳注をつければ全部修正する必要はない[追記] |
Page 35, 3-5行目 |
VS./vs.
; 表記の統一 |
Page 61, 6行目 |
魔法の円/魔法円(マジックサークル)
; 魔法円(12章)との表記統一 |
Page 64, 26行目 |
魔法の円/魔法円
; 魔法円(12章)との表記統一 |
Page 66, 下から6行目 |
James P. Carse著『Finite and Infinite Games』/;未訳だが,ミヒャエル・エンデ『ものがたりの余白 エンデが最後に話したこと』に『かぎりある遊びとかぎりない遊び』として言及あり.その後,ベルナール・スティグレール「講演 有限のゲーム、無限のゲーム:アルゴリズム的統治性の時代におけるジェイムズ・P・カースの一解釈」(石田英敬 訳)がGenron 6(小特集 遊びの哲学), 159-177, 2017 に掲載された.[追記]
|
Page 66, 下から3行目 |
Nicole Lazzaro 著「Why We Play Games: Four Keys to Emotion without Story」/;参考文献にも出てこない本件は,GDC 2004でのゲーム開発者への講演である.https://gdcvault.com/ を検索すると,講演のもととなる論文がダウンロードできる.[追記] |
Page 67, 4行目 |
Bernard Suits著『The Grasshopper: Games, Life, and Utopia』/
スーツ『キリギリスの哲学―ゲームプレイと理想の人生』
;【最重要】邦訳あり |
Page 73, 1行目 |
ゲームシステム/ゲームメカニクス(訳注)
; 原文のgame mechanicsを22章ではゲームメカニクスと訳しています.また参考文献には『ゲームメカニクス』も挙げられており、参考文献を踏まえた共通語で話すという観点から「ゲームメカニクス」と訳すのが自然です.
さらに、ゲームシステムと訳したために以下の問題が生じています.第4章ではゲームを「形式化されたシステム」と呼んでおり,メカニクスをゲームシステムと訳すとシステムの要素がシステムになるという混乱を産みます.第12章ではゲームメカニクスはプレイヤー心理や体験も含むと説明されていますが、それをゲームシステムと訳したことで,ゲームシステムの外にあるはずのプレイヤー心理までゲームシステムが含むような混乱を招いています.また14章で「パズルはゲームシステムである、だがパズルはゲームなのか」という混乱した主張になっていますし、18章などででてくるゲームのシステム全体を変える話とメカニクスだけを変える話とが区別できなくなっている.
【影響度:大】「ゲームメカニクス」に一括変換するのが望ましい.この選択肢を選んだ場合、各章の扉絵の相関図も変更となる.
【影響度: 小】もしも4大要素を訂正するのは正誤表の範囲では対応できず次の版で修正したいという場合は、lensと同様に、訳注で原著の表現を示すことで混乱した読者の手引きになる. |
Page 77, 3行目 |
3. ビジュアル/3. ビジュアル/アートワーク
; 基本概念を不可逆に変更することは避けるべきだが、lensと同様に原書では「Aesthetics」だと説明するとよい.問題は、ここでaesthetics をビジュアルと訳したために、122ページでサウンドの分析が意味不明になっている.また美のレンズも視覚の話であるかのように改変されている.
そこで「ビジュアル」をすべて「アートワーク」などに置き換えるのが望ましい【影響度:大】
正誤表の範囲に収めるためにはすべて置き換えるほかに、この見出しを「ビジュアル/アートワーク」として以後は使い分けることも考えられる.【影響度:小】 |
Page 77, 32行目 |
サウンドも、ビジュアルの重要な構成要素です/ サウンドも、ビジュアル/アートワークの重要な構成要素です
; 【最重要】意味不明な文章.aestheticsをビジュアルと訳さず「アートワーク」と訳してはどうか.その場合、p.74の「ビジュアル」をビジュアル/アートワークと併記する. |
Page 83, 20行目 |
『ブリッジ』/ブリッジの
; コントラクトブリッジはチェスと同じ一般名詞なので『』を外す |
Page 85, 訳注1 |
任天堂の専用コントローラ/ファミコン用コントローラー「パワーグローブ」
; Nintendoとはファミコンのことを指しています.これでは任天堂が作ったように読める |
16行目 |
ディズニーワールドにある仮想現実センター/ディズニーが建てた仮想現実センター
; DisneyQuestはディズニーワールド以外にも全米数カ所に建てられた |
Page 86, 2行目 |
ビジュアルのアイデア/ビジュアル/アートワークのアイデア
; あとで聴覚や触覚のデザインも出るのでビジュアル効果だけではない |
Page 89, 8行目 |
本物の財宝らしい立体的なオブジェクトに塗って見せて、/2Dの手描きの財宝をがっちりした立体物に重ねて
; これはディズニーが研究してきたプロジェクションによるAR技術です http://youtu.be/wjrylXl0tTk [追記]
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Page 90, 12行目 |
目指している本質的な体験/目指す必要不可欠な体験
; 意味がとれない |
Page 91, 11行目 |
特定の本質的な体験/特定の必要不可欠な体験
; 意味がとれない |
Page 94, 6行目 |
仕事と遊び/仕事vs.遊び
; 80ページではvs.をそのまま使っていたので統一 |
Page 96, 3行目 |
ゲームデザイン過程/ゲームデザインのプロセス
; processをプロセスと過程と行程に訳し分けているがあまり効果的ではなくむしろ読みにくい.説明語句を加えるか、プロセスに統一してはどうか |
4行目 |
全体的な行程/全体のプロセス
; 同上.説明語句を加えるか、プロセスに統一してはどうか |
Page 102, 13行目 |
最終アート/最終版のアート
; 最終アートという言い方はあまり使わない |
14行目 |
『グーの惑星』/Tower of Goo (訳注: のちにヒット作『グーの惑星』として製品化される大学院での試作品)
;【最重要】別の作品です.【影響度: 小】本文・索引の修正 |
Page 107, 13行目 |
小学館文庫刊/
; 参考文献リストが脚注にも巻末にもあるので本文中に出版社名はいらない.また出版社名を書く場合は、「小学館文庫刊」ではなく「小学館文庫, 小学館刊」もしくは刊なしの「小学館」でよい. |
Page 112, 29行目 |
背後で/バックグラウンドで
; これはコンピュータのバックグラウンド処理のことでしょう |
Page 121, 20-21行目 |
お話しします/説明します
; 「お話しします」という書き方はこのあと何度か出てきますが、教科書ではあまり使わない表現です. |
Page 122, 12行目 |
;訳注 Gamesutraで題名を変えて掲載されている https://www.gamasutra.com/view/feature/130848/how_to_prototype_a_game_in_under_7_.php?print=1 |
Page 127, 2行目 |
技術/エンジニアリングと技術 [追記]
; 原文はEngineering and technology.技術そのものではなく技術を生かす方法について述べている.
|
Page 128, 24行目 |
技術/エンジニアリング [追記]
; 原文はEngineering.
|
Page 130, 23行目 |
イテレーションのルールです/ループの法則なのです.
; 【最重要】次節で「絶対的な真理」と言っているので、このruleはゲーム内のルールではなく「法則」です.ループのルールという韻を踏んでいるのもわからなくなってます.【影響度: 大】この章以外にも「イテーレーションのルール」が使われており、それらも修正する必要があります |
Page 131, 10行目 |
ソフトウェアエンジニアリング/ソフトウェア工学
; 国内でもひろく教えられている学問の名前です |
12行目 |
ソフトウェアエンジニアリングの短い歴史/ソフトウェア工学小史
; 見出し語ではあまり使われない表現です.この表現を訳すときは「小史」などという訳す方が多いと思います |
Page 132, 脚注 |
IEEE Computer Society Press社/IEEE Computer Society Press
; IEEEの出版部門なので「社」はいらない |
Page 133, 図8-3 |
開発、次のレベル/開発し、次の段階の
; 「開発」「レベル」だけでは意味がとおりにくい |
図8-3 |
次のサイクルを遵守 一区切り/取り組みの区切り |
Page 134, 2行目 |
リスク評価/リスクアセスメント(事前評価)[追記] ; 原文はアセスメント. 図8.3ではevaluateを評価と訳しているので違う語として訳し分けた方がよい.この後にでてくるリスク評価もすべてアセスメント・事前評価の意味で使われているが,事後評価と区別できない.【影響度: 小】本書のリスク評価とはアセスメント(事前評価)のことを指してます,と脚注に入れるだけでもよい
|
Page 134, 13行目 |
スパイラルモデルはイテレーションのルールがすべてなので、/ これはまさにループの法則にかなっているので、スパイラルモデルは ; 【重要】意味が通らない |
Page 137, 10行目 |
デモ/ デモ・デイ [追記]
; 原文はDemo Day.ただのデモではなく,スプリント最終日の意味がある |
Page 138, 9行目 |
ゲームシステム/ゲームメカニクス [追記]
; Page 73 参照. |
Page 150, 2行目 |
非公式な/ざっくりとまとめた [追記]
; 原文はinformal loop.これは非公式という意味ではなく,おおざっぱな意味.次の段落との駄洒落. |
Page 150, 8行目 |
正式な/形式化された [追記]
; 原文はformal loop.これは正式という意味ではなく,形式化の意味. |
Page 155, 6行目 |
ドラブル/トラブル [追記]
; typo 【最重要】
|
Page 156, 下から14行目 |
/マイク・セリンカー著『コボルドのボードゲームデザイン』安田均/グループSNE訳. 書苑新社(2019)のちに新紀元社(2021).
[追記]
|
Page 167, 25行目 |
本質です/必要不可欠です
; 【最重要】意味がとれない |
Page 167, 24行目 |
エロ本/ポルノグラフィ
; いまどきの学生はエロ本を知らないので |
Page 171, 26行目 |
ディズニークエスト用/DisneyQuestのアトラクション
; p.85ではディズニークエストではなくDisneyQuestと表記しているので、どちらかに統一する |
Page 174, 脚注1行目 |
/ロビン・ハニキ、マーク・ルブラン、ロバート・ズベック「MDA:ゲームデザインとゲームリサーチへの形式的アプローチ」松永伸司訳、9bit、2022年 https://9bit.99ing.net/Entry/110/
; 本書刊行後に日本語訳が公開された. |
Page 174, 脚注4行目 |
「I Have No Words & I Must Design」/コスティキャン「言葉は無く、デザインはせねばならず: ゲームのための批評的語彙に向けて」https://www.newgamesorder.jp/etc/readings/IhaveNoWords2002jp
; 有志による日本語訳あり. |
Page 189, 14行目 |
集中的に研究されてきました/多くの研究の対象となってきました
; 原文はsubject of extensive study |
Page 195, 23行目 |
自らの作り出す/我々が他人の作り出す
; 原文はmake us feel we are part of the story world they are creating. |
Page 198, 19行目 |
人間の脳は/人間の心は
; 原文ではこれまでbrainの話をしてきたが,この段落ではmindと表現を変えているのでこの段落に出てくる脳は心に修正 [追記]
|
Page 201, 下から1行目 |
この階層は通常、ピラミッドで表現されます/よくあることですが、この階層は著者以外の人によってピラミッド図で表現されています
; 原文はoftenは高めの頻度を表すもので「通常」の意味はない.またrepresentは自己表現ではなく「そこにないものを別のものであらわす」という意味もある.マズロー自身はこの図を使って説明していないため代行の意味がある. [追記]
|
Page 206, 8行目 |
勲章/バッジ |
9行目 |
ゲーム化/ゲーミフィケーション
; ゲーム化は忠実な訳で悪くないのですが、ポイント・バッジ・リワードはゲーミフィケーションですでに使われている用語なのでそれとわかるようにしては. |
下から1行目 |
新種の/新しいタイプの |
Page 210, 16行目 |
ゲーム性/ゲーム
; ゲーム性は本書では定義されていません |
Page 215, 21行目 |
; ここでゲームメカニクスをゲームシステムと訳したために、ゲームシステムがシステムの外にあるプレイヤーのメンタル(体験)も含むという混乱した記述になっているので、次の版では要修正. |
Page 216, 4行目 |
非連続的/離散的
; この節は数学の話をしています.以下「非連続」はすべて修正が必要です.参考資料: https://courrier.jp/news/archives/74175/ |
5行目 |
空間はゲームシステムであり、数学的な構造物です/ゲームメカニクスとしての空間は数学的な構造です.
; この節はゲームの構造だけを取り出す数学的な見方をしているので、数学用語を使ってください |
9行目 |
抽象的な構造物/抽象的な構造
; 前項と同じ |
Page 218, 9行目 |
機能空間/関数空間
; 【最重要】これは数学用語です.この章以外でも「機能空間」「機能的空間」は「関数空間」に修正しないと意味がとれません【影響度: 大】 |
11行目 |
機能空間/関数空間
; 同上 |
Page 219, 7行目 |
入れ子の空間/ 入れ子構造の空間
; 数学用語です【影響度: 小】目次の修正 |
Page 220, 17行目 |
機能的で抽象的な関係性/抽象的な関数の(数学)用語
; 【最重要】 この節は数学の述語を使っています |
18行目 |
機能的空間/関数空間
;【影響度: 小】レンズ目次の修正 |
Page 221, 5行目 |
機能的空間/関数空間 |
6行目 |
機能空間/関数空間 |
12行目 |
非連続的/離散的
; 【影響度: 小】目次の修正 |
Page 222, 14行目 |
時間計測/時間の基準
; 同上 |
10行目 |
時間計測によって/時間の基準によって
; ゲームプレイを制限しているのは計測ではありません.(マリオはジャンプで何秒空中にいるかといった)タイミング設定です. |
Page 223, 3行目 |
時間をさかのぼります。デジタルゲームでは/デジタルゲームでは時間を巻き戻します.つまり、
; 前半で主語がなく意味が取りづらいので |
Page 224, 2行目 |
ステータス/ステータス(状態)
; このあと20章で演劇用語のステータス(役作りに使う上下関係)もでてくるので日本語を添えてもよい |
4行目 |
収集物/トークン
; トークンのかわりにコインでも可 |
4行目 |
スコア表示/スコアボード
; 一般的な用法にしてはどうか |
Page 225, 8行目 |
ステータス図/状態遷移図
; 原文の a state diagram に従っているので悪い訳ではないが、教科書ではこの表記の方が多い.オライリー『UMLクイックレファレンス』のように「状態図」という訳も可能です. |
Page 226, 4行目 |
サブステータス/サブステート |
11行目 |
役に立つ方法が、「正しい」方法です/役に立つ方法が、何かを考えるための「正しい」方法です
; 原文は the “right” way to think about something is whichever way is most useful at the moment. |
Page 228, 脚注 |
インディアナ州インディアナポリス/
; 図書館検索できる現代では出版社の所在地まで入れなくてもよいでしょう |
Page 231, 訳注 |
偶発的/創発的
; 【最重要】 偶発と創発は意味が違います.ユール『ハーフリアル』邦訳でも「創発的ゲームプレイ」と訳されています.以下、この語はすべて修正する必要があります【影響度: 大】 |
Page 241, 12行目 |
目標/目標(ゴール)
; このあとゴールという訳も出てくるので、目標もゴールも原文では同じだということを示す |
Page 246, 4行目 |
批評/批判 |
Page 259, 20行目 |
確率理論/確率論
; 一般的に使われている分野名です. |
Page 263, 脚注 |
/バーンスタイン『リスク―神々への反逆」 上下(日経ビジネス人文庫)
; 邦訳あり.単行本が文庫化されている.[追記] |
Page 288, 20行目 |
プラットフォーマーゲーム/2Dプラットフォーム・ゲーム
; 原文は2D platform game.プラットフォーマーはビジネス用語で別の意味で使われているので原語を変えない方がよい [追記] |
Page 289, 2行目 |
名言/迷言
; ヨギ・ベラは珍発言で有名なヤンキースの名物監督です. |
Page 292, 12行目 |
長期 VS. 短期/短期 vs. 長期
; 原著ではShort vs. Long |
Page 301, 9行目 |
Demon's Souls/デモンズソウル
; 国産ゲームで国内発売時のタイトルはカタカナ,2020年のPS5リメイクで『Demon’s Souls』表記になりました.【影響度: 小】本文・索引の追記[追記] |
Page 302, 脚注 |
新潮文庫刊/新潮文庫 |
Page 303, 4行目 |
複雑という言葉も、二面性を持っています/複雑さも両刃の剣です
; 14章の「両刃の剣」と表記統一 |
20,25,26行目 |
偶発的複雑さ/創発的複雑性
; 創発は他の分野やゲーム学で定着している術語です.限定された要因で生じる複雑さは専門用語では「組織的複雑性」と呼ばれます.276ページ参照.[追記] |
Page 304, 2, 24, 25行目 |
偶発的複雑さ/創発的複雑性
; 同上 [追記] |
Page 305, 17行目 |
偶発的複雑さ/創発的複雑性
; 同上 [追記] |
Page 306, 21行目 |
できました/見せることができました
; 原文参照.構造を変えたのではなく、エレガンスの度合いを変えた |
Page 312, 下から2行目 |
イテレーションのルール/ループの法則
; 第8章の正誤表にあわせる |
Page 317, 訳注 |
; 訳注 GDC Vault で公開されている https://gdcvault.com/ |
Page 322, 下から3行目 |
マップ/環境
; 原文はenvironment. 次ページでは「マップ」以外の例もでてくる.[追記] |
Page 325, 1行目 |
10の法則/パズルデザインの10の原則
; これらはパズルの不変の法則ではなく、無数にあるパズルデザインのコツを10個選んだに過ぎません.以下10の「法則」は「原則」に変更することが望ましいですが、多すぎて困難な場合はこの文章だけでも修正すべきです. |
Page 336, 2行目 |
法則/原則 |
Page 342, 6行目 |
抽象的な概念が/抽象化が |
Page 342, 脚注1 |
ダイエジェティック/ノンダイエジェティック
; 【最重要】 原文が間違っています.
ちなみに原文ではギリシャ語でダイエジェティック,と書いていますが,現代フランス語の映画研究用語が元になっています.
[追記] |
Page 345, 19行目 |
ゲームデザイン/デザイン
; ここではゲームデザインではなくマッピングのデザインについて述べている |
Page 346, 7行目 |
タフテ/タフティ
; 国内にも広く紹介されている著名人です |
Page 353, 脚注 |
作っています/作りました |
Page 356, 11行目 |
たいていのゲームは/なぜならたいていのゲームは |
Page 360, 6行目 |
書式の使用を検討する/多次元処理を見直す
; 原文は Review Use of Dimensions. 本章で使われている情報チャネルは情報通信用語です.そして現代の情報通信では、情報チャネルで信号を送るときに1次元信号だけでなく多次元信号処理を行っています.本節ではそうした情報処理にもとづくインタフェースデザインについて説明されており、次元を書式に翻訳するのはわかりやすくしているように見えて大学教科書としては逆効果です.参考資料 http://www.ieice-hbkb.org/files/01/01gun_09hen_07m.pdf |
Page 379, 20行目 |
カリフォルニアのディズニーランド/ディズニーランド
; アラジンVRは脚注にあるようにフロリダのディズニーワールドをはじめ、各地のディズニークエストに設置されていたのでカリフォルニアだけではありません. |
訳注 |
; Aladdin VR訳注は最初に出てくるp.302に移した方がよいでしょう.日本語文献としては、謝辞にも登場するランディ・パウシュ『最後の授業』に開発から論文化までの話があります. |
脚注 |
本書執筆時点/本書初版の刊行時点
; この脚注は初版から変わっていません.ディズニーはその後DisneyQuestの開発を止めました.https://www.polygon.com/features/2018/10/18/17888722/disneyquest-disney-vr-closed |
Page 383, 19行目 |
内在的/内発的
; ここは心理学用語「内発的動機づけ」を踏まえています. |
Page 384, 23行目 |
ビジュアルのことです/アートワークのことです
; 【最重要】視覚の話ではありません.もとのコンセプトにまちがった説明を加えて読者を混乱させます. |
Page 421, 5行目 |
ビジュアル、技術、ゲームプレイ/アートワーク,テクノロジー,ゲームメカニクス
; ゲーム4大要素の表記を統一.これは原著の表記がぶれている.[追記] |
Page 426, 4行目 |
ここまでの章/前章 |
Page 441, 14行目 |
新しい仕組み/新しいシステム
; 単なる仕組みではなく、アルゴリズムからストーリーにおよぶシステム全体の変更を指している |
Page 452, 下から2行目 |
「全種類捕まえよう!」/「ゲットだぜ!(Gotta catch’em all!)」
; 無理に訳さず日英決め台詞を併記してよいと思います. |
Page 452, 下から2行目 |
アイコン的性質/アイコンとしての質
; 原文ではiconic qualities.§21.3でnameless qualityを「質」と訳しているのに統一させた.「特質」でもよい[追記] |
Page 479, 9行目 |
社会的地位を利用する/人間関係を意識する
; インプロではstatusは一般的な日本語で使われる社会的地位ではなく、場面ごとに変わるものです.日本語の社会的地位はその場にいる人によって変わったりしませんよね.そのため社会的地位よりも「人間関係」「上下関係」「社会的ステータス」といった訳が考えられます【影響度: 中】 |
20行目 |
社会的地位/社会的ステータス
; 前項参照 |
24行目 |
やりとりの責任者は誰かを交渉しています/その場を仕切っているのは誰かをうかがっています
; 【最重要】人類が会話能力を身につける前から備えていた能力でできること、即興劇で行われることを指しています.これは責任者が誰かという高度な概念よりももっと原初的な訳を検討した方がよいでしょう |
24行目 |
社会的地位/社会的ステータス |
25行目 |
社会的地位/社会的ステータス |
26行目 |
社会的地位/社会的ステータス |
Page 480, 下から7行目 |
社会的地位/社会的ステータス |
Page 482, 21行目 |
活用/使え
; 前節でスターウォーズキャラクターの例が出たので、スターウォーズの言い回しを使っている.この節と次の節はスターウォーズ風に「フォースを使え」っぽく訳すとよい |
Page 483, 23行目 |
表情/フェイス
; 前節と同じくスターウォーズ「フォースを使え」のように訳してはどうか |
Page 490, 下から3行目 |
『マンガ学―マンガによるマンガのためのマンガ理論 』/『マンガ学 マンガによるマンガのためのマンガ理論 完全新訳版』復刊ドットコム 2020[追記]
; 本書出版後に新訳がでました
|
Page 493 1行目 |
機能的空間/関数空間
; 【最重要】 ここにでてくる「12章であつかった空間」とは,数学的な抽象化された空間=関数空間です.抽象的で具体性に欠けているので肉付けが必要だと説明していますが、機能的空間と訳すと機能的だから肉付けが必要だという間違った文章になります. |
Page 494, 16行目 |
機能的空間/関数空間 |
Page 496, 訳注3 |
; Zorkは14章ですでに言及されているので、訳注をこのページから動かしたくない場合は「14章でも言及」と追記するとよい |
訳注4 |
ボッチェ/ボッチャ
; リオパラリンピックで日本チームがメダルをとった時や、東京パラリピック報道でもボッチャと紹介されている【影響度: 小】本文・訳注・索引の修正 |
Page 498, 10行目 |
生涯を捧げました/生涯をかけています
; 過去形だと死んだみたいです.現在形で |
脚注: |
(鹿島出版会刊)/
; 原著のページ数を書いているのに邦訳の出版社名をいれるのは読者にとって余計です.p.547のように出版社名は巻末の参考文献を見ればわかる. |
Page 499, 下から4行目 |
イテレーションのルール/ループの法則
; 第8章の正誤表にあわせる.ここでのruleとはローカルルールではなくゲームを超えた普遍的な法則を指している. |
Page 500, 21行目 |
基本的な品質を抽出/基本的な特質を抽出[追記]
; 意味が通りにくい
|
Page 501, 8行目 |
スポア/Spore
; ウィル・ライトのSporeは日本語版タイトルもアルファベットです. |
Page 503, 脚注 |
(鹿島出版会刊)/
; 原著のページ数を書いているのに邦訳の出版社名をいれるのは読者にとって余計です.出版社名は巻末の参考文献を見ればわかる. |
Page 504, 14行目 |
特有の奇習/独特の癖
; 21.4.2節にも同じ表現があり、訳語を統一する |
Page 513, 章題 |
ビジュアル/アートワーク
; 【最重要】5.2章と同じく、この章でもサウンドの話がはいっているので、この章でのビジュアルという語が出るたびに混乱を招いています.できれば全部、最低限でも視覚以外の五感で説明している箇所は修正しないと混乱します. |
Page 516, 20行目 |
ゲームシステム/ゲームメカニクス
; 【最重要】ゲームシステムは通常ではゲームの全体を指すので、この文章の意味が通じなくなっています.5.2章でも指摘しましたが、ゲームシステム全体とゲームメカニクスと区別している本書の書き方ではゲームメカニクスをゲームシステムと訳さない方が混乱を招きません. |
Page 522, 21行目 |
サウンドを利用する/オーディオを使え[追記]
;原文は「Use Audio」.サウンドにはゲーム音楽や効果音や演奏スタイルなど幅広い意味を持つため,オーディオをサウンドに訳す理由がない. |
Page 523, 4行目 |
カイル・ギャブラー/Kyle Gabler
; p.102, 147, 353 ではKyle Gablerというアルファベット表記なので表記統一.もしもカタカナにしたい場合の発音は「ゲイブラー」が近い. |
Page 524, 3行目 |
プログラマーのチーム/エンジニアリングチーム [追記]
; 原文はengineering team. プログラマだけでなくシステムエンジニアも含むと考えられる |
Page 524, 5行目 |
プログラマーがアートを/エンジニアがアートを [追記]
; 原文はengineers. プログラマだけでなくシステムエンジニアも含むと考えられる |
Page 526, 1行目 |
1つの例外を除けば,残りの全宇宙はすべて.../全宇宙は他者によって成り立っていますが,ささやかな例外があることを忘れないで[追記]
; oneは数詞の1ではなく,無数にあるものを指していると考えられる. |
Page 527, 1行目 |
人は孤独じゃない/われわれは孤独ではない[追記]
; 映画『未知との遭遇』のキャッチコピー&エンディングを引用している.当時の日本語訳「宇宙にいるのはわれわれだけではない」を部分的に生かしては |
Page 573, 1行目 |
ゲームデザインドキュメント(GDD)/ゲームデザインドキュメント(GDD)の神話[追記]
;原文はThe Myth of the Game Design Document.通念を批判しているので省略すべきではない |
Page 575, 6行目 |
種類に合わせて、それぞれ特殊なドキュメントが必要です/それぞれの種類に応じた特有のドキュメントが必要です[追記]
;特殊では意味が通じない |
Page 575, 図26-2 |
プログラム/エンジニアリング[追記]
;原文はEngineering.システムエンジニアの仕事をプログラマの仕事として説明するのは無理がある |
Page 576, 3行目 |
GDD(Game Design Document=ゲームデザインドキュメント)/詳細デザインドキュメント[追記]
;原文はDetailed design document.見間違えではないか.GDDの神話を機能ごとに分解したものをGDDと訳すのはおかしい. |
Page 576, 18行目 |
GDDの適切な形式を選択することが重要です/あなたのデザインドキュメントの適切な形式を見つけることが重要です[追記]
;原文表記に従う |
Page 577, 10行目 |
プログラマーチーム/エンジニアリングチーム[追記]
;原文はengineering team.図26-2と同様にプログラマ職の仕事にするのは無理がある |
Page 577, 11行目 |
プログラムチーム/エンジニアリングチーム[追記]
;原文はengineering team.図26-2と同様 |
Page 577, 18行目 |
デジタルゲームのプログラムで難易度の高い作業/デジタルゲームのエンジニアリングで難易度の高い作業[追記]
;原文はengineering.図26-2と同様にプログラミングではない作業をプログラムと呼ぶのは無理がある |
Page 592, 12行目 |
ライセンスゲーム/版権ゲーム
; 国内では「版権ゲーム」という場合の方が多いと考えられる. |
Page 627, 4行目 |
Susannah Rosenthal/スザンナ・ローゼンタール
; 一人だけ名前がアルファベット表記なので統一. |
Page 628, 13行目 |
今後の関係性/今後のつき合い
; この章ではこのあとクライアントとの関係を超えた生涯の友情を獲得する話まででてくるので、請負関係を想像させない単語の方がよいかも. |
Page 637, 3行目 |
プレゼンテーション/訳注 原著では「pitch」
; 本章は「ゲーム開発資金を得る」プレゼンの話をすると書かれている.なので講演などの一般的なプレゼンではなく、セールスピッチの話だとわかるように訳すべき.
【影響度: 小】しかし正誤表の範囲を超えるので脚注で説明するのが現実的か.これからのゲーム開発者は世界市場に出て行く必要があり、定番教科書で世界の標準語を学ぶという観点からもピッチという言葉をどこかに入れるべき. |
13行目 |
インディーズゲーム開発者/インディーゲーム開発者
;原文はindie devs , インディーゲームはゲーム販売でも一般的なカテゴリ.訳注で説明してもよい |
Page 657, 下から1行目 |
知的な/意味のある
; 原文は meaningful |
Page 664, 下から10行目 |
DARK SOULS/ダークソウル
; 国産ゲームなので英語タイトルにする必要はない【影響度: 小】本文・索引の修正 |
Page 669, 下から3行目 |
インディーズゲーム開発者/インディーゲーム開発者
;原文は「independent developers」.p.637同様カテゴリー名のインディーゲームを用いる |
Page 672, 下から4行目 |
/『私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか―ロジャー・コーマン自伝』
; 邦訳あり |
Page 675, 15行目 |
感情のコントロール/感情のメンテナンス[追記]
; 原文はEmotional Maintenance. 感情を維持したりリラックスさせるなどコントロール以外の動作も説明している.【影響度:小】章題および目次の修正. |
Page 680, 17行目 |
人間関係の仕組み/複雑な関係性の仕組み[追記]
; 人間関係についての記述はない.p.681では複雑な関係性の仕組みと訳しているので統一. |
Page 680, 18行目 |
理論上/まちがいなく[追記]
; 原文はarguably. 理論にもとづいているというよりもむしろ根拠があるという意味に近い |
Page 681, 下から1行目 |
主要都市/大都市
; 原文はa major city |
Page 682, 18行目 |
パレスチナの大統領/パレスチナ暫定自治政府の議長
; 日本政府はパレスチナ国を承認しておらず,暫定自治政府の議長と呼んでいる |
Page 684, 下から4行目 |
変化型ゲーム/行動を変えるゲーム
; ゲームが変化するような誤解を与える.ちなみに教育工学でこの用語は「変容を起こすゲーム」や「行動変容デザイン」として紹介されている https://anotherway.jp/archives/20181124.html 【影響度:小】修正箇所が多いため脚注で原文説明するだけの対応も考えられる |
Page 687, 8行目 |
Papers Please/Papers, Please
; 【最重要】これは原著の間違いでコンマが必要です https://papersplea.se/ |
8行目 |
1種類の変化/1種類の変化だけ
; 原文はonly one type of transformation |
下から4行目 |
SME/SME(Subject Matter Expert)
; SMEは国内教育工学では英語そのままで使う場合が多いので日本語訳にも略さず英語のフルスペルもつけた方がわかりやすい |
訳注3 |
Papers Please/Papers, Please
; 同上 |
Page 688, 1行目 |
非公式/形式を決めずに行う
; その下の科学的テストに対して科学的手続きではない調査のことを指している |
Page 690, 7行目 |
ディズニークエスト用ゲーム/DisneyQuestのライド
; 表記を統一 |
Page 697, 章題 |
ある種の責任が/必ず責任が
; 【最重要】「ある種の」は a certain だが、原文はCertain Responsibilities .最新の第3版ではこの形容詞は無くなっている【影響度:小】章題および目次の修正. |
Page 699, 脚注 |
/この番組の日本語訳はありません.[追記] この後に製作されたミスター・ロジャースの映画『ミスター・ロジャースのご近所さんになろう』『幸せへのまわり道』は日本語版があります.本発言は本章末の参考文献にも記載されています.
|
Page 701, 20行目 |
コミュニケーションの安全措置/通話の防御手段
; 意味がよくわからない |
Page 704, 最終行 |
; リンク切れ.本章の冒頭にも登場するフレッド・ロジャースによる議会証言はネット上に公開されている[追記]
|
Page 711, 訳註1 |
; 意味不明.著者が意図しなかったことも読者は引き出してくれるかもしれない,それは著者も参考にさせてもらいたいと述べている.[追記]
|
Page 711, 10行目 |
カード型にしたレンズの束/レンズのカードデッキ; 意味が通りにくいので.[追記]
|
Page 711, 10行目 |
artofgamedesign.com / deck.artofgamedesign.com ; 第3版出版に伴うアドレス変更.[追記]
|
Page 713, 8-9行目 |
/クリストファー・ アレグザンダー『ザ・ネイチャー・オブ・オーダー:建築の美学と世界の本質 ― 生命の現象』(鹿島出版会, 2013)
; 邦訳あり |
下から1-2行目 |
/ロジェ・カイヨワ著、多田道太郎、塚崎幹夫訳『遊びと人間』講談社学術文庫, 講談社
; 邦訳あり |
Page 714, 7行目 |
/クロフォード著、多摩豊訳 『バランス・オブ・パワー デザイナーズ・ノート』ビジネス・アスキー, 1989.5
; 邦訳あり |
12行目 |
フロー邦題/
; これは本文で引用されている『Flow』とは別の共著書です.第3版では2冊とも別々にリストに入っています. |
下から6行目 |
;フラートン原著は改訂4版 (2018)が出ているので追記するとよい |
Page 715, 15-16行目 |
/ホイジンガ『ホモ・ルーデンス: 文化のもつ遊びの要素についてのある定義づけの試み』 里見元一郎訳. 講談社学術文庫 2018., 『ホモ・ルーデンス』高橋英夫訳, 中公文庫版 2019.
; オランダ語原著および英語訳からの邦訳あり |
19行目 |
/ジョンストン 『インプロ (IMPRO): 自由な行動表現 (パフォーマンス)』而立書房2012.
; 20章には邦訳情報があるが、参考文献には含まれていない. |
Page 713, 21行目 |
Picture This/細谷由依子訳『絵には何が描かれているのか: 絵本から学ぶイメージとデザインの基本原則』フィルムアート(2019.11近刊)
; p.445にでてくる.本書出版後に翻訳された |
Page 716, 8行目 |
/マクラウド 『マンガ学―マンガによるマンガのためのマンガ理論 』美術出版社 1998. 椎名ゆかり訳『マンガ学 マンガによるマンガのためのマンガ理論 完全新訳版』復刊ドットコム 2020[追記] |
Page 717, 6-8行目 |
; 『ルールズ・オブ・プレイ』はSBクリエイティブ版(2011)が絶版になり、ニューゲームズオーダー(2019-)が刊行中 |
10行目 |
/ジヨーヂ・サンタヤナ『美識論』鷲尾浩訳 冬夏社, 1921. 春秋社, 1936.
; 邦訳あり |
下から7行目 |
; ボグラー 17章には翻訳情報があるが参考文献にはない.なお原著は第3版が2007年にでて10年以上たっているので、そちらも記載した方がよい. |
Page 721, 中段 |
; 索引でのGDDの記載ページが2箇所しかなく少ない.
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Page 729, 中断 |
理想郷 620/理想郷 453, 456, 620, 621, 622, 702 [追記]
; 索引での「理想郷」の記載ページが少ない.「理想郷のレンズ」の間違いではないか |
Page 729, 中断 |
/理想郷のレンズ 622 [追記]
; 索引での「理想郷のレンズ」がない. |
Page 729, 後段 |
レベルデザイン 510/レベルデザイン 138,151,432,502,510
; 索引での「レベルデザイン」の記載ページが少ない |
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2024-3-30 9:34
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IGDA日本アカデミック・ブログ
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ゲームデベロッパーが地球温暖化に取り組む理由: 2022-2024
主筆の山根です.私事ですが,この4年間はゲーム開発者の専門職大学の立ち上げに参画しました.そのためこの4年間は学術論文よりも,翻訳・対談・一般書を主にやってきましたが,最初の卒業生を送り出したことで,2024年度からはゲームの高度専門家人材育成を大学から日本全国へと広げていきたいと考えています.今回はその次世代ゲーム開発者を待っている問題の一つとして,2022年から起こっているゲームデベロッパーの環境問題への取り組みを,GDCなどの国際的な変化を中心に紹介します.
GDC(Game Developers Conference)は世界最大のゲーム開発者のカンファレンスで(2024年だけで講演者1,000人,730セッションに達する),その動向は国内各社が注目しており,開催後の情報交換も盛んに行われている.たとえば本ブログの本家である「NPO法人IGDA日本」でも,日本からの参加者による帰国報告会を開催してきた(昨年の様子),また過去には開発者向けだけでなく,学生向け報告会やSIG-Audio(2012から 2023まで継続中)など専門部会ごとの報告会も開催してきた.世界中のゲーム開発者が注目するイベントだといえる.
さて,そのGDC主催者が近年力を入れているのがゲーム産業のサステナビリティへの取り組みに関するセッションだ.昨年のGDC23でも,環境問題セッションが連日開催され,GDC主催者からの公式ニュースでも報じられた.以下に関連する公式英語ニュースを並べてみる.
こうしてGDC23では,気候変動ゲームや温室効果ガス排出量を減らすゲーム開発について連日セッションがあり,しかも教育サミット,ワークショップ,デザイントラック,ラウンドテーブルと異なるアプローチで展開された.講演者の顔ぶれも,大手スタジオUbisoftからインディーゲームスタジオまで幅広い立場での参加が報告されている.そうした講演がネットで無料公開されたのだからインパクトは大きい.しかし,ここまで立て続けに配信されると「うまくいきすぎる」「これは本当に各社独自の取り組みなのか?もしかして誰か(たとえば石油業界に敵対する勢力)が後ろから手をまわして仕組まれた運動なのではないか?」という陰謀論めいた疑念も湧いても不思議ではない.だがこの運動の背景やキーパーソンはGDC23終了後の海外ゲームメディアの報道によって明らかになっている.この記事にもとづいて背景を紹介したい.
この解説記事は日本語訳もされており,David Lumb「ゲーム業界の目覚め: ゲームが気候変動のためにできること」(CNET News, 2023年05月30日訳)として読むことができる.GDC23での同時多発発表を担った,ゲーム業界と国連機関とが連携した「Playing for the Planet Alliance」,IGDAに新しくできた気候変動SIG(専門部会)のキーパーソンに出てきて参考になった.なお本アカデミック・ブログの観点から興味深かったのは,記事の中でアカデミックなゲーム研究者が発言しているところだ.このままでは温室効果ガス削減の「目標は達成できない」,と指摘するスウェーデンのウプサラ大学のPatrick Prax准教授が登場するが,筆者は以前から彼の名前は知っていた.ICD-11にgaming disorderの項目が立てられることになったときの公開論争で共同声明に加わった一人だ.彼はゲーミング障害と地球温暖化という異なる問題で積極的に発言しているが,それができるのは,彼が日常的に心理学や自然科学の専門家と交流しつつゲームを研究していることを意味している.これは専門職大学や単科大学ではなく,総合大学で学際研究をやっているゲームデザイン研究者の強みだろう(個人ベースでやっている日本の研究の弱いところでもある).
GDC23から見える日本の上場企業の課題
こうしたキーパーソンの活躍によりGDC23では気候変動についての講演やワークショップが連日開かれたが,開催当時は筆者も自分のこととは考えられず,他人事としてしかとらえられなかった.2023年時点では恥ずかしながら「世界的なゲーム企業に勤めながらグローバル問題を講演するのはすごいなあ」「カリフォルニアは山火事が続いているから旬の話題ではやっているのだろうなあ」「北欧はエコロジー意識高いなあ」といった漠然とした印象しか持っていなかった.気候変動が日本の産業にとっても重要な問題だと実感したのは2024年になってから,日本の上場企業の取り組みを知ってからのことだ.
2024年,金融庁は東京証券取引所プライム上場企業を対象に温暖化ガス排出量の開示の義務づけを目指している.このニュースで,ようやくGDC23で大手スタジオの現場トップが排出ガス削減に貢献しようとゲーム産業に呼びかける講演をしていたのか理解できた.日本のゲーム産業も大手企業は東証プライムに上場しており(gamebiz記事参照),国際的な投資家の評価基準を受けいれるためにも地球温暖化対策への貢献を計量的に示す義務を避けて通ることはできないだろう.東証プライム上場をとりやめるという選択肢もあるが,ゲーム業界ではそれはないだろう.かつてビデオゲーム産業の歴史が浅く社会的な評価が高くなかった時代,東証1部に上場することがゲーム会社にとって社会的信用のステータスだった時期がある.個人的には東証プライム上場もこの再現になり,ゲーム会社は積極的に温暖化ガス排出量規制に率先して取り組んで社会的信用を高めようとするるだろうと予想している.
ゲーム業界団体の変化
ここまではUbisoftやIGDA気候変動SIGの個別事例を見てきたが,ゲーム産業を代表する業界団体の取り組みはどうだろうか.これまで「ゲームは脳に悪い」と決めつけられてきた歴史を持つビデオゲーム業界は,今後「ゲームは環境に悪い」と叩かれるのは容易に予想できるので,ゲーム業界として具体的な代表例を示す取り組みが重要になる.この点でもっともデータを活用した情報発信を行っているのは,ヨーロッパ各国のゲーム産業団体があつまったVideo Games Europeだ.GDC23でも登壇した国連プロジェクトPlaying for the Planetとも協力し,年次報告書では任天堂やUbisoftやXboxの地球温暖化ガス排出量からゲームを使って世界をよりよくする試みまで,実例がわかりやすく報告されている.ヨーロッパのゲーム業界団体は,ゲーム産業は地球温暖化に貢献できると主張している.この中には日本企業の海外法人も含まれており,この取り組みを日本国内でも展開することはゲーム産業の社会的信用を担う上で今後の重要課題になるだろう. こうした企業団体が参加することで,国連プロジェクトPlaying for the Planetは初心者にも参考になるウェブサイトをつくっている,プロのゲーム開発者やIGDA気候変動SIGによるゲームデザインといったGDCで発表された取り組みだけでなく,多数のゲーム活用の手引きの集積地になっている.こうした初心者向けのウェブサイトはこれまで業界向け情報を共有してきたゲーム業界だけでなく,より広い層に働きかける活動機関との協力で可能になる.そして情報共有からさらに進んで,気候変動ゲームジャムの開催もはじまった.いまはまだ英語だけだが,こうして参加の障壁も低くなっている.
シリアスゲーム参入の変化
ここまで見たように,上場企業の評価に温暖化ガス排出量が使われることで,ゲーム開発とサステナビリティの関係も大きく変化しはじめている.私自身も,GDC23では「Ubisoftの現場リーダーが気候変動ゲームのデザインを講演している,意識高いなあ」と思うだけだったが,いまでは「Ubisoftは開発者が社会に向けてサステナビリティに取り組むのを企業として後押ししているのだなあ」という違った見方をするようになった.つまり,これまでは「大企業は手を出さない」と思われていた領域に大企業が取り組むことを理解できるようになった.この変化は,いちはやく環境問題に取り組んできたインディーゲームやシリアスゲームのシーンにも変化をもたらすかもしれない.
これまでシリアスゲームは「大企業がやらない分野」だからこそ,スモールビジネスや大学が大企業を出し抜ける分野だと言われてきた.たとえば十数年前の計算機学会ACMの会報特集序文 「ゲーム学の創造」(CACM日本語版 Vol.7, No.2, 2007)では,ゲーム企業の経営者や株主代表者は,娯楽以外の儲からないゲームをつくることに反対していると指摘している.だからこそ,コンピュータ分野の学者は社会のためのゲームをつくるという社会的な責任を担っているのだと主張している.この主張はのちに「インディーゲームは,大企業がやらないテーマを追求できる」という形で,インディーゲームシーンともつながっていく.(そうしたゲーム開発者間の自己主張が一般にも知られるようになったのがテレビドラマ『アトムの童 』におけるシリアスゲーム回だろう.)だが,ここまで見てきたように,シリアスゲームの中でも地球環境問題については,もはや「大企業や株主代表は社会問題解決に取り組むインセンティブがない」とは言えなくなっている.そしてプロのゲーム開発者による気候変動ゲームを開発する手引きやワークショップも継続して開かれるようになり,大企業,大学,シリアスゲーム,インディーゲームのシーンが重なる領域が生まれている.
そしてGDC24以後の世界へ
ここまで,トップ企業のゲーム開発者が地球温暖化対策に取り組みはじめた背景を紹介した.これはGDCや有志によるIGDA気候変動SIGを舞台にして発展してきたために日本語での紹介記事は限られていたが,業界団体や国連プロジェクトをはじめ産学民のゲーム開発者コミュニティを横断するグローバルな運動に成長したことがわかった.日本ではまだこの運動は知られておらず,SDGsはゲーム開発者の問題ではなくゲーム会社の経営者の問題でしょうという見方が根強い.(たとえば日本版GDCとも言えるCEDEC2024では,ビジネス&プロデュース分野の話題にはなっているが,GDCのように複数の分野で活動が進んでいるわけではない.) 筆者はIGDA日本でも日本国内でのゲーム開発者の取り組みに貢献したいと考えているので,日本国内で情報共有を希望する方はぜひコンタクトしたり本記事で紹介したコミュニティに参加してほしい.
今月3月に開催されたGDC2024での環境問題セッションは以下のとおり.GDC23では(冒頭でも触れたように)開催後1ヶ月程度で講演動画がYouTubeで公開されたが,同様にGDC24でも4月に講演が公開されることを期待している.
以上
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2024-1-20 9:14
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IGDA日本アカデミック・ブログ
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Global Game Jam 2024 プレビュー: オフィスで,学校で,民家で,病院でゲーム開発
あけましておめでとうございます.
2024年1月の「令和6年能登半島地震」で被災された方々にお見舞い申し上げます.北陸地域は個人ゲーム開発に縁がある地域で,国内でもいちはやくゲームジャムを開催した石川県のGlobal Game Jam 2010 JAIST(北陸先端科学技術大学院大学)会場や,富山県魚津市の「UOZUゲームジャム」「デジタルからくり装置作りワークショップ」,名物にちなんだ『カニノケンカ』eスポーツイベントで知られる富山県射水市の「ToyamaGamersDay」と,ゲーム関係者がいくつもの足跡を残しており,無事を祈っています.
本記事では,1月末のGlobal Game Jam2024を展望します.
コロナ禍から復活したGlobal Game Jam国内会場
世界同時多発ゲーム開発イベント,Global Game Jamが今年も開催される.
Global Game JamはIGDA Education SIGが立ち上げたという歴史的経緯から,IGDA日本支部では日本語サイトをホストするとともに,本アカデミックSIGブログではGlobal Game Jamの情報を紹介してきた.その本ブログでは昨年のGGJ23報告で「対面会場が帰ってきた」と書いたが,今年はさらに全国各地の会場が充実しているので本ブログでも紹介したい.
GGJ24までの日程
GGJ24の日程を以下に示す(米国太平洋時間).
- 6 November 2023: サイト登録受付開始
- 4 December 2023: 参加者のサイト登録受付開始
- 15 January 2024: サイト登録受付終了(予定)
- 15 January - 19 January 2024: GGJ 直前週間(本部イベントが予定されている)
- 20 January 2024: 全世界同時テーマ発表(Twitch配信)
- 22 January 2024: GGJ開始.(会場ごとにこの週で48時間を使ってゲーム開発する)
- 28 January 2024 - 正午(現地時間)に参加者のサイト登録受付終了
- 28 January 2024 - 夕方5時(現地時間)までにゲームアップロード終了
参加心得
GGJでは,誰もが安心してゲーム開発ができる場を目指している.そのためにインクルージョン・ポリシーと行動規範を定めており,セクシズム,レイシズム,人種差別を含むあらゆる排除を容認していない.それらを含むゲームは削除される.また,開発中に許容されない行動の対象となったり,そのような行動を目撃したり,それらに関する懸念事項があったりした場合は通報することができる.そして会場運営者は許容されない行動をとったメンバーを排除することができる.
こうした場作りのコードにみられるように,GGJは,初対面のメンバーとでも安心してゲーム開発ができることを強く意識している.こうしたコードは国内のゲームジャムにはあまり見られないので,忘れないようにしてほしい.
国内会場の紹介
以下では,国内の各会場を紹介する.IGDA日本の 公式日本語情報とは別に,一言紹介を追加する.
- 沖縄会場
- IGDAの学生チャプターであるIGDA琉球大学が主催する.学生主体だと数年でメンバーの入れ替わりが起こるが,その困難を乗り越えてきた.
- 奥多摩会場
- 奥多摩会場は秘境での開発をコンセプトとして今年で第3回を迎える.3回目ながら経験も豊富で,昨年のGGJ23ではチームの一つがGGJ終了後もボードゲームの開発を続け,Kickstarterで製品版の出資者を募って達成している.秘境の古民家でゲームを開発してグローバルに購入者を募るというギャップがすごい.
- 吉祥寺(ぴっくる)会場
- 主催は学生チーム対抗ゲームジャム2023を開催した有限会社ぴっくる.会場はオンラインセッションと武蔵野公会堂での週末オフライン開発とで構成される.まだ承認直後で,詳しい説明はこれから.
- 鹿児島会場
- 鹿児島のゲーム開発会社,アプリファクトリーはるniが主催する会場.本記事の執筆時点ではまだ承認直後で詳しい説明はこれからのようだ.
- 名古屋 名古ゲ部会場
- 名古ゲ部(旧名:名古屋ゲーム制作部)が主催するゲームジャム.GGJではあまり見られない一人での開発もOK.会場にはレトロPCも持ち込まれるようだ.
- ヒューマンアカデミー会場(秋葉原)
- 総合学園ヒューマンアカデミー秋葉原校を会場に,第二言語英語も受け入れ,見学やテストプレイでの参加も歓迎するオープンな会場.
- 福岡会場
- 福岡会場は,過去には市長が開発中の会場を訪れるなどオープンな雰囲気だったが,
今回は基本的にオンラインでDiscord上で作業を行い,最終日だけは福岡市天神のエンジニアカフェで行うという,事前に48時間スケジュールを立てていない会場.
- 熊本会場
- 熊本会場は,事前にUnity勉強会を開いて資料も公開するなど,今年のGGJに向けて力をいれているようだ.
- Let's Games! Tokyo(六本木会場)
- 以前はCode Chrysalis名義で開催されていた六本木会場は日本語&英語の両方で参加説明を書いている国際的な会場で,インディーゲーム開発者の集まるTokyo Indiesでも主催者が日本語と英語の両方で参加募集を呼びかけている(11月のTokyo Indies動画(01:36:40-01:42:05) https://www.twitch.tv/videos/1977976479 )
- NekoLogic & C2 京都会場 [NEW]
- 1月になって承認された京都会場は英語表記のみ(日本語も受け入れ可能),インディーゲームスタジオが主催するインターナショナルな会場だ.
- 札幌会場
- 札幌は夏にSapporo Game Jam,冬にGlobal Game Jamを開催する日本屈指のゲームジャム熱狂地帯であり,GGJ24でも日本で1,2を争う参加者が集まると予想される.Global Game Jam 2011で北海道大学の学生がはじめた会場が地域社会に根付いてゲームジャムコミュニティが続いているのは素晴らしい.
昨年のGGJ2023では,高評価を得たプロトタイプがボードゲーム『ぼうけんのしょはきえてしまった!』として製品化された.
- 仙台会場
- Global Game Jamの歴史で断続的に開催されてきた仙台会場だが,今回は企業オフィスで開催され,しかも札幌会場の事務局をつとめた企業が仙台で会場提供をする,という広域(mega-region)展開の形態をとっているのが注目される.IT産業は地域に閉じない広域産業の例として挙げられるが,ゲームがそれをリードしていくかもしれない.
- 福島会場 [NEW]
- 久しぶりの開催となる福島会場は,郡山市のWiZ専門学校で開催される.過去には東北地方唯一のGlobal Game Jam会場を開催した会場でもあり,東北地方でもゲームジャム会場が復活したことを印象づけている.
- MyDearest 浅草橋会場 [NEW]
- VRノベルゲームで知られるゲームスタジオMyDearestが会場となる浅草橋会場は,これまでにも「VR、XR、LookingGlass、ちょっと変わった普通?のゲーム」などポリシーを明確にしたり,NeosVRを使ってバーチャルリアリティー空間での開催に挑戦したりと,挑戦的な参加者募集を行ってきた.そしてGGJ24ではついにMyDearestメンバーのみの社内GGJ会場として参加している.会場時間も10:00 - 19:00と普通の会社勤務の時間帯だ.社員限定でGlobal Game Jamをやる場合,通常の社内ゲームジャムでは得られない海外ゲーマーへのプロモーションの経験を積んだり,海外会場とのグローバル開発体験が積めるが,どのような経験を目指しているのか,公開されるプロの作品を楽しみにしたい.
- 瀬戸内会場 in 香川
- 上記の札幌〜仙台会場について述べたように,Global Game Jam会場によって広域産業のつながりが見えることもある.そしてGlobal Game Jamの広域展開と言えばこの瀬戸内会場だろう.まず岡山Unity勉強会が岡山会場をたちあげ,広島Unity勉強会,そして四国の讃岐GameNと連携してきた.コロナ禍からいちはやくゲームジャム会場を開き(参考情報: IGDA日本ライトニングトーク),岡山Unity勉強会は開催100回を超え,これまでもゲームジャム事前勉強会を共同開催して資料も公開してきた(2022, 2023).
瀬戸内会場は開催形態もユニークで,GGJ20では真宗興正派 善照寺というお寺で開催されたり,地元香川県高松市の商店街で開かれたイベントにGGJ22発の作品が出展されるなど,地域社会に根ざしたGGJ会場の形を提示してきた.そして今年のGGJ24では,「GGJの日本会場では初めて「総合病院」で開催決定!2024年に医学とゲームの最先端が交わる場所が、この「香川県」で産まれます」という国内ゲームジャムの常識を塗りかえるコンセプトで瀬戸内地方内外から参加者を募集している.
- 瀬戸内会場 in 広島
- 上記の瀬戸内会場 in 香川は定員30名と限られており,広島にサテライト会場が開設されている.広島Unity勉強会を中心としながらも,小規模でも広域でのゲームジャムのもりあがりが期待される.
- 湘北短期大学(厚木)
- 湘北短期大学会場はGGJの国内会場の中でも古株の会場で,ゲームジャムの短期ゲーム開発を学校教育とうまく組み合わせてきた.これはこれはゲーム開発を教育にとりいれるだけでなく,施設利用を許可してくれる大学組織,そして会場責任者として毎年常駐する教員が勤め続けている大学でないとできないことだ.
- 東京工科大学(八王子)
- 最後に紹介する東京工科大学会場(八王子)は,Global Game Jamの国内会場の中でも最多の開催数を誇るゲームジャム拠点だ(参考資料: 大学プレスリリース「メディア学部が「グローバルゲームジャム」に14年連続参加」).とりわけ最初の年は,学生有志が開催前から特集番組配信を行い,それを見た水口さん平林さんが来校してゲリラ深夜番組を配信するというUSTEAMのライブランキングでトップ10位内に入るメディアイベントになっていたのは忘れ難い.今年も会場配信には注目したい.
東京工科大学会場は参加報告も多く,GTMF 2011で大前さんが,CEDEC 2012で後藤さん湊さん石川さんが,SEGA Tech Blogで石畑さんが,それぞれGGJ東京工科大学会場(および夏の福島ゲームジャム)で挑戦した試みとその成果を社内外に共有している.
国内会場の先に
ここまで,GGJ日本語情報サイトにはない補足情報を紹介した.参加する国内会場選びの参考にしてほしい.これらの国内会場に参加する以外にも,過去の台北会場や最近の京都コンピュータ学院(KCG)のように,日本から(日本語が通じる)海外会場に参加してグローバル開発に挑戦することも可能だ. 公式ウェブサイトには各種情報がまとめられているが,日本語では Official GGJ Discord の「Game Jam Discussion」から「日本語」のサーバに接続すると日本語での情報交換をすることもできる.
また,Xのハッシュタグ#GGJ, #GGJJP, #GGJ24 をつけた日本語ツイートは ツイートまとめサイトでも誰でも編集できるかたちで随時まとめている.
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2023-10-14 7:40
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IGDA日本アカデミック・ブログ
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ゲーム研究の重要論文を一望する: Video Games and Gaming Culture (2016) の試み
アカデミック・ブログ主筆の山根です.
本記事では、人文科学・社会科学分野の大手学術出版社、ラウトレッジ (Routledge)が出版した全4巻の論文集『ビデオゲームとゲーミング文化』を紹介ます.簡単な紹介のあと、収録論文90本にオンライン版・日本語訳があれば追記し、最後に特徴と活用法についても私見を述べます.
紹介
Mark J. P. Wolf 編『ビデオゲームとゲーミング文化』 Video Games and Gaming Culture(ハードカバー4巻本)
本書は、各分野の重要論文を収録して出版する Crtitial Concepts(重要概念)シリーズの「Critical Concepts in Media and Cultural Studies」の一冊(4巻本)である.編集しているのは、これまでにもゲーム研究の論文集をいくつも編集しているベテラン研究者Wolfで、本記事執筆時点ではゲーム研究の重要論文集成の決定版と言える.
論文集の役割
毎年多くの論文が発表され、それをもとにゲームの大学教科書が次々とアップデートされている.だから過去の論文を再録することにあまり意味を感じない人も多いだろう.たとえば2018年から2019年にかけても『Game Engine Architecture』 第3版、『Game Design Workshop』 第4版、『The Art of Game Design: A Book of Lenses』 第3版が予告されており、ここ最近のゲーム研究の成果が反映され効率的に学べるはずだ(ちなみにこうした大学教科書を出しているCRC Pressも、Routledgeと同じTaylor & Francis Groupの系列企業だ).
最新教科書よりも効率は悪いが、論文集が役立つ場合もある.たとえば教科書に載っている重要なアイデアは誰がいつ発表したのかを調べ、それとは異なる自分のアイデアを発表する場合である.また、教科書に載っているアイデアがなぜ提唱されたのか、もっと言えば、なぜその学問が必要になったのかを知ることにもつながる.
目次
日本に輸入するとかなりの金額になるので、簡単には購入できない.そのため購入の検討材料として、本論集の収録作品やページ数も書店や出版社で公開されている.
これを見ると選ばれた論文90本が10の部門にまとめられている.目次からはわからないが、少なくない論文が公開オンラインジャーナルで発表されていたり、著者自身が原稿をオンライン公開しているので、以下にそれらを紹介しよう.
収録論文90本リスト
第1巻: 基礎
Part
1: Defining Video Game Studies
- 1.
Katie Salen
and Eric Zimmerman, “Chapter 7: Defining Games”, Rules of Play: Game Design Fundamentals,
(MIT Press, 2003), pages 71-83.
邦訳『ルールズ・オブ・プレイ
: ゲームデザインの基礎』
-
2.
Miguel Sicart,
"Defining Game Mechanics", Game
Studies: The International Journal of Computer Game Research,
Vol. 8, Issue 2, December 2008, available at http://gamestudies.org/0802/articles/sicart
.
- 3. Markuu
Eskelinen,
"The Gaming Situation",
Game Studies: The International Journal of Computer Game Research,
Volume 1, Issue 1, July 2001, available at http://www.gamestudies.org/0101/eskelinen/
.
- 4.
Gonzalo Frasca,
"Simulation versus Narrative: Introduction to Ludology", in Mark J.
P. Wolf and Bernard Perron
(editors), The
Video Game Theory Reader, (Routledge, 2003), pages
221-235.
http://ludology.org/articles/VGT_final.pdf 未邦訳だが同著者の「LUDOLOGY MEETS NARRATOLOGY」は星野訳が公開されている
- 5.
Juul, Jesper, "Games Telling Stories? A Brief Note on Games and
Narratives", in Game Studies: The International Journal of Computer Game Research, Volume
1, Issue 1, July 2001. Reprinted in Joost
Raessens
and Jeffrey Goldstein (editors), Handbook
for Video Game Studies, MIT Press, 2005), pages
219-226.
http://www.gamestudies.org/0101/juul-gts/
- 6. Souvik
Muhkerjee,
"Chapter One - Introduction: Videogames and Storytelling", Video Games and Storytelling:
Reading Games and Playing Books,
(Palgrave McMillan, 2015), pages 1-20.
- 7.
Henry Jenkins, "Games, The New Lively Art", in Joost Raessens
and Jeffrey Goldstein (editors), Handbook
for Video Game Studies, (MIT Press, 2005), pages 175-189.
- 8.
Eric Zimmerman, "Manifesto for a Ludic Century", Kotaku.com,
2013, available at http://kotaku.com/manifesto-the-21st-century-will-be-defined-by-games-1275355204 .
Part
2: Game Studies Classics
- 9.
Johan Huizinga, “Chapter I: Nature and the Significance of Play as a Cultural
Phenomenon”, Homo Ludens:
A Study of the Play-Element in Culture,
(Original Dutch edition, 1938; New York: Routledge, 1949), pages 1-27.
邦訳はホイジンガ『ホモ・ルーデンス
: 文化のもつ遊びの要素についてのある定義づけの試み』
- 10.
Johan Huizinga, "Chapter XII: The Play-Element in Contemporary
Civilization", Homo Ludens:
A Study of the Play-Element in Culture,
(Original Dutch edition, 1938; Routledge, 1949), pages 195-213.
邦訳『ホモ・ルーデンス
』
- 11.
Roger Caillois,
"The Definition of Play" and "The Classification of Games",
Man, Play and Games,
(Librairie
Gallimard, 1958), pp. 3-11; 11-37.
邦訳はロジェ=カイヨワ『遊びと人間』
- 12.
Clifford Geertz, “Deep Play: Notes on the Balinese Cockfight”, Daedalus: journal of the American
Academy of Arts and Sciences,
Vol. 101, No. 1, Myth,
Symbol, and Culture (Winter, 1972), pages 1-37.
原文オンライン版は http://hypergeertz.jku.at/GeertzTexts/Deep_Play.htm 、ギアツの他の著作は邦訳あり
- 13.
Brian Sutton-Smith, “Play and Ambiguity”, The
Ambiguity of Play, (Harvard University Press, 1997),
pages 1-17.
未訳だがブライアン・サットン=スミスの「遊びの逆は仕事ではない。抑うつだ」という定義は国内でも知られている.
- 14. Chip Morningstar and F. Randall Farmer, “The Lessons of Lucasfilm’s Habitat”,
in Michael Benedikt
(editor), Cyberspace:
First Steps, (MIT Press, 1990), pages
273-301. Reprinted in Noah Wardrip-Fruin and Nick Montfort (editors), New Media Reader (MIT Press, 2003).
原文オンライン版は
http://www.fudco.com/chip/lessons.html
その邦訳は http://homepage3.nifty.com/~tezuka-k/Habingo/LucasHabi.html
(Internet Archiveなどでみつかる)
- 15.
Richard Bartle, “Hearts, Clubs, Diamonds, Spades: Players Who Suit MUDs”, Journal of MUD Research,
Vol. 1 (1), 1996. Reprinted in Katie Salen
and Eric Zimmerman (editors),
A Rules of Play Anthology
(MIT Press, 2005).
http://mud.co.uk/richard/hcds.htm
- 16.
Don Carson, “Environmental
Storytelling: Creating Immersive 3D Worlds Using Lessons Learned From the Theme
Park Industry”,
Gamasutra,
March 1, 2000, available at
http://www.gamasutra.com/features/20000301/carson_pfv.htm
.
Part
3: History and Historiographical Concerns
- 17.
Steven D. Bristow, "The History of Video Games", IEEE Transactions on Consumer Electronics,
February 1977, (1), pages 58?68.
- 18.
Carl Therrien, "Video Games Caught Up in History: Accessibility,
Teleological Distortion, and Other Methodological Issues", in Mark J. P.
Wolf (editor), Before
the Crash: Early Video Game History,
(Detroit, Michigan: Wayne State University Press, 2012), pages 9-29.
- 19.
Kevin Schut,
"Strategic Simulations and Our Past: The Bias of Computer Games in the
Presentation of History", Games
and Culture, 2007, Vol. 2, No.3, pages
213-235.
- 20.
David H. Ahl,
"Mainframe Games and Simulations", in Mark J. P. Wolf (editor ), The Video Game Explosion: A History from
PONG to PlayStation and Beyond, (Westport, Connecticut: Greenwood
Press, 2007), pages 31-34.
- 21.
Henry Lowood, “Video Games in Computer Space: The Complex History of Pong”, IEEE Annals in the History of Computing,
July-Sept. 2009, pages 5-19.
同著者による特集序文 Editor’s
Introduction は無料公開されている
https://www.computer.org/csdl/mags/an/2009/03/index.html
- 22.
Mark J. P. Wolf, "BattleZone
and the Origins of First-Person Shooting Games", in Gerald Voorhees,
Joshua Call, and Katie Whitlock (editors), Guns,
Grenades and Grunts: First Person Shooter Games,
(Continuum, 2012), pages 25-40.
第2巻: デザインと理論
Part
4: Video Game Design and Formal Aspects
- 23.
Greg Costikyan,
“I Have No Words & I Must Design”, Interactive
Fantasy: The Journal of Role-Playing and Story-Making Systems,
Issue #2, 1994.
邦訳は『言葉ではなく、デザインのみが、ゲームを語ってくれる---- コスティキャンのゲーム論 ---- 』http://www004.upp.so-net.ne.jp/babahide/library/design_j.html (追記: 2023改訂版『言葉は無く、デザインはせねばならず: ゲームのための批評的語彙に向けて』https://www.newgamesorder.jp/etc/readings/IhaveNoWords2002jp)
- 24.
Church, Doug, “Formal Abstract Design Tools”, Game Developer
magazine, August 1999.
オンライン版は
https://www.gdcvault.com/gdmag
- 25.
Marc LeBlanc, "Tools for Creating Dramatic Game Dynamics", Game
Developer’s Conference (GDC),1999. Reprinted in The Game Design Reader: A Rules of Play Anthology (MIT Press, 2005)
- 26.
Robin Hunicke,
Marc LeBlanc, and Robert Zubek,
“MDA: A Formal Approach to Game Design and Game Research”, 19th National
Conference of Artificial Intelligence, San Jose, California, 2004.
共著者の一人がオンライン公開している http://users.cs.northwestern.edu/~hunicke/pubs/MDA.pdf 一部日本語訳(翻訳:ケネス・チャン)は http://goo.gl/Wojlq (追記2022: 日本語訳公開されました.ロビン・ハニキ、マーク・ルブラン、ロバート・ズベック「MDA:ゲームデザインとゲームリサーチへの形式的アプローチ」松永伸司訳、9bit、2022年 https://9bit.99ing.net/Entry/110/)
- 27.
Karen Collins, “An Introduction to the Participatory and Non-Linear Aspects of
Video Games Audio”, in Stan Hawkins and John Richardson (editors), Essays on Sound and Vision,
(Helsinki, Finland: Helsinki University Press, 2007), pages 263-298.
編者により論集全部がオンライン公開されている
- 28.
Karen Collins, "In the Loop: Creativity and Constraint in 8-bit Video Game
Audio", Twentieth-Century
Music 4/2, 2008, (Cambridge University Press,
2008), pages 209?227.
著者により公開されている
- 29.
Ian Bogost and
Nick Monfort,
"Chapter 4: Pac-Man", Racing
the Beam: The Atari Video Computer System,
(MIT Press, 2009), pages 65-79.
- 30.
Henry Jenkins, "Game Design as Narrative Architecture" in Noah Wardrip-Fruin
and Pat Harrigan, editors, First
Person: New Media as Story, Performance, and Game,
(MIT Press, 2004), pages 118-130.
- 31.
Mark J. P. Wolf, "Theorizing Navigable Space in Video Games", in
Stephan Günzel,
Michael Liebe, and Dieter Mersch
(editors), DIGAREC
Keynote-Lectures 2009/10, (Potsdam, Germany:
Potsdam University Press, 2011), pages 18-48. Available at https://publishup.uni-potsdam.de/frontdoor/index/index/docId/5043
- 32.
Alexander R. Galloway, “Gamic Action, Four Moments”, Gaming: Essays on Algorithmic Culture,
(University of Minnesota Press, 2006), pages 1-38.
邦訳は「ゲーム的行為、四つのモメント」訳・解題│松永伸司、『ゲンロン8:
ゲームの時代』
- 33.
Rune Klevjer,
"In Defense of Cut-Scenes", in Frans Mäyrä
(editor), Proceedings
of Computer Games and Digital Cultures Conference,
(Tampere University Press, 2002), pages 191-202.
- 34.
Juul, Jesper, "Fear of Failure? The Many Meanings of Difficulty in Video
Games", in Bernard Perron
and Mark J. P. Wolf (editors), The
Video Game Theory Reader 2, (Routledge, 2008), pages 237-252.
Part
5: Video Game Theory, Methodology, and Analysis
- 35.
Bernard DeKoven,
"Changing the Game", The
Well-Played Game (New York: Doubleday, 1978), pp.
39-59.
- 36.
David Myers, "Computer Game Semiotics", Play & Culture: The official journal of the Association for the Study of Play,
4(4), 1991, pages 334-345.
- 37.
Lars Konzack,
“Computer Game Criticism: A Method for Computer Game Analysis”, in Frans Mäyrä
(editor), Proceedings
of Computer Games and Digital Cultures Conference,
(Tampere University Press, 2002), pages 89-100.
原文オンライン版は http://www.digra.org/digital-library/publications/computer-game-criticism-a-method-for-computer-game-analysis/
- 38. Espen
Aarseth,
"Playing Research: Methodological Approaches to Game Analysis",
Digital Art and Culture conference, Melbourne, Australia, May 19-23, 2003, and
also published in Fine
Art Forum, Volume 17, Issue 8, August 2003,
and also available online at http://hypertext.rmit.edu.au/dac/papers/Aarseth.pdf .
- 39.
Roberto Dillon, "Towards the Definition of a Framework and Grammar for
Game Analysis and Design", International
Journal of Computer and Information Technology,
Volume 3, Issue 2, March 2014, pages 188-193.
著者により公開されている
- 40.
David Myers, "Bombs, Barbarians, and Backstories: Meaning-making within
Sid Meier’s Civilization",
in Matteo Bittanti
(editor), Ludologica. Videogames d’Autore: Civilization and its Discontents.
Virtual History. Real Fantasies, (Milan, Italy: Edizioni
Unicopli,
Costa and Nolan, 2005), original vesion
available at http://www.loyno.edu/%7Edmyers/F99%20classes/Myers_BombsBarbarians_DRAFT.rft
.
- 41.
Thomas H. Apperley,
“Genre and Game Studies”, Simulation
& Gaming, 2006, Vol. 37 No. 1, 6-23.
著者オンライン公開版あり
- 42.
Will Brooker, "Camera-Eye, CG-Eye: Videogames and the
"Cinematic"", Cinema
Journal, Vol. 48, No. 3 (Spring, 2009),
pages 122-128.
- 43.
Brett Camper, "Color-Cycled Space Fumes in the Pixel Particle Shockwave:
The Technical Aesthetics of Defender and the Williams Arcade Platform,
1980?82", in Mark J. P. Wolf (editor), Before
the Crash: Early Video Game History,
(Detroit, Michigan: Wayne State University Press, 2012), pages 168-188.
- 44.
Ian Bogost,
“Chapter 1: Procedural Rhetoric”,
Persuasive Games: The Expressive Power of Video Games,
(MIT Press, 2010), pages 1-64.
この章だけサンプル公開されている
https://mitpress.mit.edu/books/persuasive-games
第3巻: プレイとプレイヤー
Part
6: Embodiment and Identity
- 45.
Torben Grodal,
"Stories for Eye, Ear, and Muscles: Video Games, Media, and Embodied
Experiences" in Mark J. P. Wolf and Bernard Perron
(editors), The
Video Game Theory Reader, (Routledge, 2003), pages 129-155.
- 46.
Andreas Gregersen
and Torben Grodal,
"Embodiment and Interface", in Bernard Perron
and Mark J. P. Wolf (editors), The
Video Game Theory Reader 2, (Routledge, 2008), pages 65-83.
- 47.
James Newman, "The Myth of the Ergodic Videogame: Some Thoughts on
Player-character Relationships in Videogames", Game Studies: The International Journal
of Computer Game Research, Volume 2, Issue 1, July 2002,
available at http://www.gamestudies.org/0102/newman/
.
- 48.
Bob Rehak,
“Playing at Being: Psychoanalysis and the Avatar”, in Mark J. P. Wolf and
Bernard Perron
(editors), The
Video Game Theory Reader, (Routledge, 2003), pages
103-127.
著者オンライン公開版あり
- 49.
Helen W. Kennedy, "Lara Croft: Feminist Icon or Cyberbimbo?:
On the Limits of Textual Analysis", Game
Studies: The International Journal of Computer Game Research,
Volume 2, Issue 2, December 2002, available at http://www.gamestudies.org/0202/kennedy/
.
- 50.
Jennifer Jenson and Suzanne de Castell, “Theorizing Gender and Digital
Gameplay: Oversights, Accidents and Surprises”, Eludamos: Journal for Computer Game Culture,
2008, 2 (1), pages 15-25.
原文はオンライン公開
http://eludamos.org/eludamos/index.php/eludamos/article/view/26
- 51.
Anna Everett, "Serious Play: Playing with Race in Contemporary Gaming
Culture", in Joost Raessens
and Jeffrey Goldstein (editors), Handbook
for Video Game Studies, (MIT Press, 2005), pages 311-325.
- 52.
Anna Everett and S. Craig Watkins, (2007), “The Power of Play: The Portrayal
and Performance of Race in Video Games”, in Katie Salen
Tekinbaş
(editor), The
Ecology of Games: Connecting Youth, Games, and Learning,
(MIT Press, 2007), pages 141-164.
オンライン公開版あり
https://mitpress.mit.edu/books/ecology-games
- 53.
Anna Everett, "Race", in Mark J. P. Wolf and Bernard Perron
(editors), The
Routledge Companion to Video Game Studies,
(Routledge, 2014), pages 396-406.
Part
7: Play, Control, and The Magic Circle
- 54.
T. L. Taylor, “The Assemblage of Play”, Games
and Culture, Vol. 4, No. 4, 2009, pages
331-339.
著者オンライン公開版あり
- 55.
Bernard Perron,
"Coming to Play at Frightening Yourself: Welcome to the World of Horror
Games", Aesthetics of Play: A Conference on Computer Game Aesthetics,
University of Bergen, Norway, 2005; available at http://www.aestheticsofplay.org/perron.php
.
- 56. Espen
Aarseth,
"I Fought the Law: Transgressive Play and the Implied Player", Situated Play: Proceedings of DiGRA 2007
Conference, Digital Games Research
Association (DiGRA), 東京大学にて開催, 2007, pages 130-133,
available at http://www.digra.org/dl/db/07313.03489.pdf
.
- 57.
Torben Grodal,
"Video Games and the Pleasures of Control", in Dolf
Zillmann
and Peter Vorderer
(editors), Media
Entertainment: The Psychology of its Appeal,
(Mahwah, New Jersey: Lawrence Erlbaum Associates Publishers, 2000), pages
197-213.
- 58.
Alexander R. Galloway, "Allegories of Control", Gaming: Essays on Algorithmic Culture,
(University of Minnesota Press, 2006), pages 85-106.
- 59.
Katie Salen
and Eric Zimmerman, "Chapter 9: The Magic Circle", Rules of Play: Game Design Fundamentals,
(MIT Press, 2003), pages 93-99.
邦訳『ルールズ・オブ・プレイ : ゲームデザインの基礎』
- 60.
Mia Consalvo,
“There is No Magic Circle”, Games
and Culture, 2009, Volume 4, Number 4;
408-417.
著者オンライン公開版あり
https://www.academia.edu/654444/There_is_no_magic_circle
- 61.
Eric Zimmerman, "Jerked Around by the Magic Circle - Clearing the Air 10
Years Later", Gamasutra.com,
2012, available at
http://www.gamasutra.com/view/feature/135063/jerked_around_by_the_magic_circle_.php
.
- 62.
Laura Ermi
and Franz Mäyrä,
"Fundamental Components of Gameplay Experience: Analysing
Immersion", in Stephan Günzel,
Michael Liebe, and Dieter Mersch
(editors), DIGAREC
Keynote-Lectures 2009/10, (Potsdam, Germany: Potsdam
University Press, 2011), pages 88-113, available at http://pub.ub.uni-potsdam.de/volltexte/2011/4983/
[urn:nbn:de:kobv:517-opus-49831].
- 63.
Piotr Kubiński,
“Immersion vs. Emersive
Effects in Videogames”, in Dawn Stobbart
and Monica Evans (editors), Engaging
with Videogames: Play, Theory and Practice,
(Oxford, England: Inter-Disciplinary Press, 2014), pages 133-14, [e-book].
著者オンライン公開版あり
Part
8: Threat, Aggression, and Violence
- 64.
Julian Dibbell,
“A Rape in Cyberspace: How an Evil Clown, a Haitian Trickster Spirit, Two
Wizards, and a Cast of Dozens Turned a Database into a Society”, The Village Voice,
December 23, 1993, pages 36-42.
邦訳は「サイバースペースにおけるレイプ--邪悪な道化師,ハイチのぺてん師の霊,2人の魔法使い,そして数十人の役者たちがデータベースを社会に転じた経緯」『Bit』30(3),(4), 1998.
- 65.
Gonzalo Frasca,
“Ephemeral Games: Is It Barbaric to Design Videogames after Auschwitz?”, Cybertext Yearbook 2000,
University of Jyväskayla,
pages 172-182.
原文オンライン版はhttp://www.ludology.org/articles/ephemeralFRASCA.pdf
- 66.
Craig A. Anderson and Karen E. Dill, "Video Games and Aggressive Thoughts,
Feelings, and Behavior in the Laboratory and in Life", Journal of Personality and Social
Psychology, April 2000, Volume 78(4), pages
772-790.
- 67.
Craig A. Anderson and Brad J. Bushman, "Effects of Violent Video Games on
Aggressive Behavior, Aggressive Cognition, Aggressive Affect, Physiological
Arousal, and Prosocial Behavior: A Meta-Analytic Review of the Scientific
Literature", Psychological
Science, September 2001, Volume 12, No. 5,
pages 353-359.
- 68.
Craig A. Anderson, Akiko Shibuya, Nobuko Ihori,
Edward L. Swing, Brad J. Bushman, Akira Sakamoto, Hannah R. Rothstein, and Muniba
Saleem, (2010), “Violent Video Game Effects on Aggression, Empathy, and
Prosocial Behavior in Eastern and Western Countries: A Meta-Analytic Review”, Psychological Bulletin,
Vol. 136, No. 2, 2010, American Psychological Association, pages 151?173.
著者によるオンライン公開版あり.未邦訳だが、第2著者(渋谷)は共著「各学術領域の視座からみたデジタルゲーム研究論文」が日本デジタルゲーム学会『デジタルゲーム学研究』8巻1・2号合併号(2016)http://digrajapan.org/?page_id=3254
を分担執筆している他、日本デジタルゲーム学会第7回年次大会(2017年3月)の企画セッション「ゲーム研究のトップ会議、国際学術出版への道」予稿がオンライン公開されている.http://digrajapan.org/conf2016/
また第6著者(坂元)はCESAのゲーム研究者インタビューが読める.https://www.cesa.or.jp/efforts/interview/researcher/sakamoto01.html
- 69.
Bernard Perron,
“Sign of a Threat: The Effects of Warning Systems in Survival Horror Games”, COSIGN 2004 Proceedings,
(Art Academy, University of Split (Croatia), 2004), pages 132-141.
著者オンライン公開版あり.
- 70.
Andrew K. Przybylski, Richard M. Ryan, and C. Scott Rigby, “The Motivating Role
of Violence in Video Games”, Personality
and Social Psychology Bulletin, Vol. 35, No. 2, February 2009,
pages 243-259.
著者オンライン公開版あり.
第4巻: 文化的コンテキスト VOLUME
4: CULTURAL CONTEXTS
Part
9: Video Games and Education
- 71.
Mark Griffiths, "The Educational Benefits of Videogames", Education and Health,
Vol. 20, No. 3, 2002, pages 47-51.
著者オンライン公開版あり
- 72.
James Paul Gee, "What Video Games Have to Teach Us about Learning and
Literacy", Computers
in Entertainment (CIE) - Theoretical and Practical Computer Applications in
Entertainment, Volume 1, Issue 1, (ACM, October
2003). [DOI: 10.1145/950566.950595]
同名書籍のダイジェスト版
- 73.
Kurt Squire, “Video Games in Education”, International
Journal of Intelligent Simulations and Gaming,
Vol. 2, No. 1, 2003, pages 49?62.
著者オンライン公開版あり
- 74.
Kurt Squire, "From Content to Context: Videogames as Designed
Experience", Educational
Researcher, Vol. 35, No. 8, (November 2006),
pages 19-29.
著者オンライン公開版あり
- 75.
Michele D. Dickey, "Game Design and Learning: A Conjectural Analysis of
How Massively Multiple Online Role-Playing Games (MMORPGs) Foster Intrinsic
Motivation", Educational
Technology Research and Development,
Vol. 55, No. 3 (June 2007), pages 253-273.
著者オンライン公開版あり
- 76.
David Williamson Shaffer, Kurt R. Squire, Richard Halverson, and James P. Gee,
"Video Games and the Future of Learning", The Phi Delta Kappan,
Vol. 87, No. 2, (October 2005), pages 104-111.
著者オンライン公開版あり
Part
10: Video Games and Culture
- 77.
Adrienne Shaw, "What Is Video Game Culture? Cultural Studies and Game
Studies", Games
and Culture, 2010, Vol. 5, No. 4, pages
403-424, originally published on-line May 7, 2010.
- 78.
Celia Pearce, “Productive Play: Game Culture From the Bottom Up”, Games and Culture,
Vol. 1, No.1, January 2006, pages 17-24.
著者オンライン公開版あり
- 79. Heikki
Tyni and
Olli Sotamaa,
"Material Culture and Angry Birds", Proceedings of Nordic DiGRA 2014
Conference, Digital Games Research
Association DiGRA, 2014. http://www.digra.org/digital-library/forums/11-digra-nordic-2014/
- 80.
Mary Fuller and Henry Jenkins, “Nintendo® and New World Travel Writing: A
Dialogue”, in Steven G. Jones (editor),
Cybersociety: Computer-Mediated Communication and
Community, (Sage Publications, 1995), pages
57-72.
https://web.stanford.edu/class/history34q/readings/Cyberspace/FullerJenkins_Nintendo.html
- 81.
Ted Friedman, “Civilization
and its Discontents”, in Greg M. Smith (editor), On a Silver Platter: CD-ROMs and the
Promises of a New Technology, (New York: NYU Press, 1999),
pages 132-150.
http://www.duke.edu/~tlove/civ.htm
(Internet Archiveなど参照)
- 82.
David Myers, “Social Play”, Play
Redux: The Form of Computer Games,
(Ann Arbor, Michigan: University of Michigan Press, 2010), pages 116-130.
オンライン公開版あり
https://www.press.umich.edu/1611960/play_redux/
- 83.
Mia Consalvo,
"Chapter 4: Gaining Advantage: How Videogame Players Define and Negotiate
Cheating", Cheating:
Gaining Advantage in Videogames, (MIT Press, 2009), pages 83-105.
- 84.
Gareth R. Schott and Kirsty R. Horrell,
"Girl Gamers and their Relationship with the Gaming Culture", Convergence: The International Journal of Research into New Media Technologies,
December 2000, Volume 6, Number 4, pages 36-53.
共著者オンライン公開版あり.
- 85.
Mark J. P. Wolf, “Introduction” (抜粋), in Mark J. P. Wolf (editor), Video Games Around the World,
(MIT Press, 2015), pages 1-12.
著者紹介文がオンライン公開されている
https://mitpress.mit.edu/blog/video-games-around-world
- 86.
F. Ted Tschang,
“Balancing the Tensions between Rationalization and Creativity in the Video
Games Industry”, Organization
Science, Vol. 18, No. 6, Innovation at and
across Multiple Levels of Analysis (November -December, 2007), pages
989-1005.
著者オンライン公開版あり
- 87.
Mia Consalvo,
“Convergence and Globalization in the Japanese Videogame Industry”, Cinema Journal,
Vol. 48, No. 3 (Spring, 2009), pages 135-141. Reprinted
in Patrick W. Galbraith and Jason G. Karlin (editor) Media
Convergence In Japan, Kinema Club, 2016, pages
90-98.
再録された論集がオンライン公開されている
https://archive.org/details/MediaConvergenceInJapan
- 88.
Simon Gottschalk, "Videology:
Video-Games as Postmodern Sites/Sights of Ideological Reproduction", Symbolic Interaction,
Vol. 18, No. 1 (Spring 1995), pages 1-18.
著者オンライン公開版あり
- 89.
Trevor Elkington, "Too Many Cooks: Media Convergence and Self-Defeating
Adaptations", in Bernard Perron
and Mark J. P. Wolf (editors), The
Video Game Theory Reader 2, (Routledge, 2008), pages 213-235.
- 90.
James Newman, Best
Before: Videogames, Supersession and Obsolescence
(抜粋), (Routledge, 2012), pages 149-160.
INDEX
総索引
論文集の傾向と使い勝手
これら90本の重要論文(一部は書籍の抜粋)を集めた本書を従来の論集と比べると、もちろん過去最大である.ざっと眺めてみたところ、個人的には組織学会やゲームサウンドデザインの論文が収録されているのが目についた.だが、それでもカバーしていない分野もある.たとえば過去のゲームデザイン論文を集めた The Game Design Reader A Rules of Play Anthology に比べると、ゲーム内経済のような社会科学系が薄い印象がある.おそらく経済学の学会で発表されており、ゲーム研究という新しい分野の一部とは言い難いという位置づけなのだろう.
「カイヨワやバートルはもうゲームデザインの教科書に載っているからそれで十分でしょう」、という意見もあるかもしれないが、井上が 述べているように、日本ではカイヨワが言っていない図式があたかもカイヨワが言ったような誤解が広まっているため、原文に当たることが必須である.また、バートルの図式もYeeをはじめとする社会心理的計量的なユーザ研究が加えられているため、その後の研究の出発点として位置づけることに意義がある.
各巻についている数ページの序文は簡潔ながら、著者が前著の考えを修正したとか、単独で読むのではなく前後の作品と並べている意図が説明してあり、これも読んでおいた方がいい.
そして便利だったのだが、4巻の末尾についている総索引だ.なんと 索引だけで50ページもあり、ゲームタイトルやゲームデザイナの名前で重要論文を検索できるのは非常にありがたい.
さらに続くゲーム研究のために
本書の序文には「stand the test of time」という表現がでてくくる.ある論考が、時の試練に耐え、後世に残るものはわずかだということだ.学問の世界ではたとえ第一人者であっても次の世代に乗り越えられ、過去のものになる.その厳しさについても考えさせられた.
ゲーム研究が世界各地で進められ、国境を超えて議論されるようになったことで、英語でどのような研究があり、それに対してどういう貢献ができるかを英語で説明するのは必須になっている.たとえ日本で大変素晴らしい研究をして日本語で報告したとしても、世界から見るとその研究は存在していないに等しい.すると日本の過去の議論に対してもこうした論集を英語出版する意義はあるかもしれない.また、英語圏ですでに行われている議論を日本国内だけで再発明することも避けたい.本論集がそうした国境を超えた研究のきっかけになることを願っている.
謝辞: 岡山理科大学総合情報学部情報科学科ゲームシステムデザイン研究室のゼミ生の協力により、本記事をまとめることができました.
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2023-9-9 2:59
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IGDA日本アカデミック・ブログ
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2022年アカデミック・レビュー
主筆の山根です.これまでゲーム研究や高等教育で大きな出来事があった年は年間レビュー記事を書いていましたが,このところ本ブログではICD-11論争や香川県条例といったリアルタイムの社会問題にリソースを割いていたためにアカデミックなふりかえりが止まっていました.そこで,ここ2, 3年間をまとめてゲームのアカデミックな話題をふりかってみたいと思います. 2020年から2022年にかけて,ゲーム研究の出版は国内外でもりあがりました.
ゲームの学術出版動向: 欧米編(2020-2022)
ゲーム研究書を次々と出版してきたMIT Pressは,相変わらず良質な本を出している.研究者にとって重要なのはトップジャーナル論文誌だが,そういった研究者も学術書籍なしには研究が進まない状況をつくりだしたのはすごい. しかも手当たり次第に乱発するのではなく,第一線の研究者を編集人に配置したシリーズ化路線を進めて突出している.
たとえば,
第一人者による手軽な読み物集「Playful Thinking」シリーズ(日本語では『プレイ・マターズ: 遊び心の哲学』(サンプル公開あり )が訳されている),
Atari以来のプラットフォームに注目した研究を連発する「Platform Studies」シリーズ,
世界各地のゲーム史を発掘する「Game Histories」シリーズ,
コーディングから社会現象まで,ソフトウェア文化を語る「 Software Studies 」シリーズと,シリーズ作はどれもクオリティが高い.これは第一人世代の研究者たちが編集人となって世界中からの投稿を呼びかけているためで,次世代の新しい書き手を発掘するサイクルがうまくまわっている.
こうしたMIT出版やラウトレッジといった大手出版社が第一人者を巻き込んで学術書を連発する一方で,新しい分野の研究書を出版する新勢力として台頭してきた出版社もある.その代表として,Oxford University Pressが印象的だった.
これまでGames User Research(2018)のようなユーザ調査分析に続けて,ゲームのデータサイエンス本Game Data Science(2021)を出したことで,理工系に強い印象を持っていた.だが,ユタ大学で哲学を教えるC. Thi Nguyenの論集Games: Agency As Art(2020)を出版し,それが2022年1月のアメリカ哲学会(APA)大会でAPA学術出版賞を受賞したことで,総合的な学問としてのゲーム研究の出版社として存在感を増している.
学術出版状況: 国内編
国内でもゲームの学術研究の出版物は近年次々と出版されており,新しい出版社も加わった.数年前とはずいぶん状況が変わっている.
特に,学術系の出版社である福村出版がゲームの学術書を次々と出版したのが目立った.
(なお,筆者自身も3番目の本の監訳に加わったが,出版社側の積極的な取り組みなしには出版できなかった.その経緯はIGDA日本のライトニングトークで公表している.)
日本語圏では,MIT Pressの様にゲーム学術書を連発することはできない.第一人者を編集人に任命して,世界中から書き手を募るような大規模プロジェクトには,ゲーム研究者の層が厚く,長期的な研究を可能にする研究職ポストが必要とされるからだ.だが日本語圏では,ゲーム研究グループをつくるには研究者層が薄く,ゲームの研究職もわずかなので同じレベルのことはできない.そのかわり,日本では商業誌が学術出版の機能を一部果たしており,研究グループを頼むことなくライターが独力でクオリティの高い記事を商業誌に掲載するという現象も起きている.たとえば三才ブックスのムックや雑誌に真面目な研究が載っていたりするのはその一例だろう.
進む産学連携: SNS時代のプレプリント投稿,データセット公開
WHOがICD-11でゲーミング障害を収載した件での英語圏の論争は,香川県条例の提案理由にもなり,過去にも本ブログでとりあげた(2020.2022).これが英語圏で注目を集めた理由としては,論争がオープンアクセスジャーナルで行われ,英語論文がオンライン公開されていたというアクセスしやすさの影響が大きい.つまりこれまでは論文誌に書いても専門家にしか読んでもらえなかったのに対して,オープンアクセスジャーナルでの論争が広くSNSからリンクされるようになった.それだけでなく,まだ審査段階の論文(プレプリントと呼ばれる)が注目を集め,論文査読を通過する前から国際ニュースになるという珍事も起こった.それがオクスフォード大学インターネット研究所のシュビルスキー教授のグループの研究「Video game play is positively correlated with well-being
」だ(日本語記事).ちなみに論文はその後,英国王立協会(The Royal Society)による初めてのオープンアクセス誌Royal Society Open Scienceに掲載されている.
これまでゲーム研究の論争は論文誌以外のメディアで起こることが多かったのだが,誰でもアクセスできる論文で展開される論争という,論文とウェブSNSとの両方の長所を生かした論争の時代がゲーム研究においてもはじまったと言える.シュビルスキーはその後もプレイデータにもとづくゲーム影響論を提唱しており,論文だけでなくゲーム会社から提供されたデータセットも公開する実践を行なっている.たとえば,『あつまれどうぶつの森』(北米版)『Apex Legends』『Eve Online』『Forza Horizon 4』『グランツーリスモSPORT』『アウトライダーズ』『ザ クルー2」と異なる企業の異なるジャンルのゲームタイトルについて各社から提供を募り,データセットもレポジトリで公開している(日本語報道).
シュビルスキーは来るGDC23でも,「Video Games and Science in a World with Gaming Addiction」で講演予定であり,ゲームには悪い影響があるのかいい影響があるのかという論争を超えてオープンデータにもとづく分析を切り開きつつある.
進む産学連携: 日本発のトップカンファレンス論文(12月)
20年以上にわたって産学連携が唱えられてきたが,ゲーム産業の産学連携は一般的なIT分野とは異なる性質を持っている.研究志向の産学連携と人材育成志向の産学連携の二つがかけ離れており,産学がそれぞれ違った夢を見る同床異夢に陥ることが多い.その結果,大学でなければできないような独自性のないプロジェクトや,企業戦略とは無縁のプロジェクトに陥ることも多い.こうした反省から,次世代人材育成志向にフォーカスしたり,研究志向であっても開発現場により近いところで研究したり,あるいは海外の成功例を積極的にとりいれるようになっているのが近年の傾向だと言える.(本ブログも次世代人材育成と海外事例紹介が大きな柱になっている.)
こうした中で,今年は海外事例だけでなく日本国内事例も目につくようになった.大学の先端的な研究環境と企業の開発現場の問題解決という距離の離れた二つの方向のどちらも生かしたプロジェクトが出てきている.その代表例が,人工知能のトップカンファレンス「AAAI-23」に採択されたKLabと九州大学の共著論文だろう(九州大学発表,Klab発表).12月の発表には研究者コメントも掲載されており,研究と人材育成の異なるゴールを同時に追求したこと,スーパーコンピュータといった大学環境の必然性についてコメントされている.これらはまさに上記のゲーム産学連携の特色が出ている.また,採択された英語論文も完成度が高く,過去のGDCやトップカンファレンスの達成をふまえつつ,ラブライブの素材を生かした,ゲーム愛がある英語論文になっている(2ページ目で言及されているスクスタのスクリーンショットがいきなり1ページの本文トップに登場したり,謝辞にはスクールアイドルやラブライバーも登場する).
ゲーム外交に取り組む海外使節団と受け入れ体制(12月)
12月にベルギー王国のワロン地域政府から経済ミッションが来日した.「ミッション」とはもともとは伝道とか布教の意味だが,この経済ミッションでは王室から大学まで数百人の要人が来日した.その全容は記者会見記事に詳しいが,アカデミック領域でも高等教育研究機関の代表が来日して,日本を代表する大学で両国の学長がサインする国際調印式や大学間交流が行われた.東京大学(d.lab)や東京外国語大学はそれぞれ日本を代表する大学として調印式を行なっているが,デジタルゲーム教育研究でも以下の国際交流が行われた.
こうして見ると国を代表する大学の学長クラスの外交に目を奪われるが,ゲーム分野では他の輸出産業と異なり,2カ国の学生限定のゲームジャムが開催された.つまりゲーム分野では次世代を視野にいれた長期的な取り組みとして,大学トップダウンと学生ボトムアップの両方で2国間産学連携事業を進めている.その様子はレポート記事「ベルギー王女も発表授与式に参加した国際学生オンラインゲームジャムが示す未来 」やつぶやき非公式まとめ で知ることができる.国や大使館がゲーム人材育成を支援することを意外と思うかもしれないが,これは短期的な事業は産業界にまかせて,企業や職業訓練校が推進できない長期的な事業を国がやる,という得意分野に特化しているように見える.そしてレポートによれば,この2カ国間ゲームジャムを草の根ボランティアでやりきったのはすごい.しかしこのやり方で他の国々が日本にゲーム外交を申し込んでくるたびにボランティアで対応するのはあきらかに無理がある.
ゲーム先進国には,海外から「ゲームを学びたい」という留学生を受け入れる仕組みがあるが,そのために国際教育事業を進めるのは先進国の政府機関の仕事だ.
たとえばビデオゲーム発祥の地アメリカではゲーム外交( game diplomacy)は国務省とNPO法人Games for Changeが他国間に対して展開している.それに比べて日本にはゲーム大国としての外交戦略は存在せず,国際交流基金が日本ゲーム産業史のオンラインセミナーを開いた程度だ.ゲームジャム外交についてはボランティアが活躍したが,持続可能な長期戦略に向けて日本政府・地方自治体も先進国のゲーム外交への取り組みを調べて,市町村や産学官の壁を超えたオールジャパンの備えをしておく必要がありそうだ.
おわりに
上述したように,ゲーム研究では,学術出版を通じて,第一世代が編集人になって次世代を起用する世代継承が国境を超えて進行している.日本語圏だけではそのような研究者層は形成できないが,新たな国内出版社が参入したり,日本発の産学共著のトップカンファレンス論文が出たことは今後につながるニュースだった.
また,ゲーム人材育成においては海外使節団を迎えるという事業を(一部はボランティアで)実現できたという飛躍の年でもあった.今後は,持続可能な体制づくりが課題になるだろう.
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2023-3-28 7:34
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IGDA日本アカデミック・ブログ
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2021アカデミック・レビュー: ゲーム学における最大の論争(上)
アカデミック・ブログ主筆の山根です.あけましておめでとうございます. 本サイトはゲーム研究・ゲーム教育について情報発信を続けてきましたが,2021年の更新は停滞していました.これはコロナ禍によってIGDA日本の勉強会(および懇親会)が開けなくなったことも大きいですが,本アカデミックSIGにとっては,執筆以外の活動が増えた1年でした.具体的には,「gaming disorder」(ゲーム症,ゲーム障害,ゲーミング障害,執筆時点で公式日本語訳は未定です)についてウェブでの情報発信よりも直接的な社会的活動に終始した1年でした.2021年を振り返るこの機会に,ゲーム研究で最も問題となった概念の一つであるこの議論の経緯をまとめてみます.
2021年,IGDA日本アカデミックSIGの名前を出しての著述活動は以下の通りです.
(この他の仕事として,ゲーム開発者初年次教育と『eスポーツの科学』もありますが,それらは単独での仕事ではないので省略します.)ただしこれらの論争の中では,情報源を示してもその発表場所や学会の意義については説明してこなかったので,それら英語情報をどう信用すればいいのかわからないところがありました.そこで,以下では,これまでの現場での発言では紹介してこなかった論争シーン全体を筆者の視点からふりかえってみます.
香川県条例の論争を構成した多様な参加者
香川県のネット・ゲーム依存症対策条例が2020年4月に施行されましたが,本ブログはその背後にあった論争を紹介し,さらにゲーム開発者への無理解をのりこえるために2020年1-2月のパブリックコメント期間に香川県でゲームジャムを開催すると記事にしました.そしてその後パブリックコメントの水増し疑惑で条例の成立過程が全国的ニュースになり,この問題に議論や透明性が欠けていたことが多くの方々に知られるところとなりました.
こうして地方議会の問題が全国的な注目を集めるまでには,複数の異なる問題意識を持った参加者が関わっています.コンテンツ文化研究会による情報公開や勉強会,地元メディアやネットメディアが行った調査報道,それ以前から繰り返し警告されてきたゲームの悪影響報道への警戒.こうした異なる視点が香川県条例に持ち込まれていましたが,当方の立場としてはICD-11をめぐる産学の国際的な論争を念頭に置いて議論に参加していました.この国際的な議論についてもこれまで国内での説明が無かったので,以下に整理してみます.
学会での議論
gaming disorderの論争でもっともよく知られているのは,第一線の研究者による共同声明とそれに続く誌上討論(ディスカッションペーパー)でしょう.以下に論争の主な記事とそのまとめを紹介します.
これらのgaming disorder論争とその余波を見ると,以下の点が特長的です: (1)オープンアクセスジャーナル(記事が無料公開されるオンライン論文誌)で論争することで世界中に公開されていた.(2)論争のどちら側も単独著者ではなく,国際的なオールスター研究者の共同執筆体制ができている.(3)gaming disorderに慎重な立場のディスカッションペーパーが出たら,米国ゲーム業界団体ESAが速報する体制ができていた.
これらの学術論争は当時の日本の学会メディアでは伝えられることはありませんでした.(これは研究コミュニティがこの論争を意図的に無視したわけではなく,後述するように日本では国内ゲーム関連学会の国際化機能が弱く,それに対してオンラインコミュニティの個人的な伝達の方が伝播力が強く学会よりも先に広まってしまうためです.)唯一の例外が,この論争に参加した共著者の一人,久里浜医療センターの樋口院長の学会誌の報告で,そこではWHO採択前に起こったことして,「世界のゲーム業界がこの件に気付いたのです。様々な方法を使って、業界がこのゲーム障害収載の阻止に動いています」と報告されていました.これを読んだときは「アカデミックな大論争を無かったことにするのか?」と思いましたが,確かに特長(3)を相手側から見ると,世界各地のオールスター研究者が共同声明を出し,それをゲーム業界団体が即座に利用するというのは連携が上手すぎてあやしい.世界各地の研究者がゲーム業界団体の手先になって共著論文を書いて,それがゲーム業界の批判キャンペーンの根拠として使われているような印象を抱いても不思議ではないでしょう.しかし,各地の第一人者の問題提起をゲーム産業の策謀であると考えるのは現実的ではないでしょう.むしろゲーム業界が英語論文を正しく活用しているのならそれは傾聴に値するのではないかと本論では考えます.
さて,このように多くのの分野にまたがる国際的な議論が行われましたが,結局のところ学者の間で決着がついていない状態でICD-11草案が採択されました.このことは地球規模の混乱を起こすのではないか,そしてICD-11の公式日本語訳ができて有効になる前に,いちはやく独自解釈の予防法を施行した香川県条例は,そのトップランナーだったのだと筆者は考えています.
ゲーム・エンタテインメント専門家コミュニティでの議論
gaming disorderをめぐる国際的な論争は,上記の誌上討論だけではありません.海外のゲーム開発者の勉強会やゲーム教育の専門家コミュニティでも解説・現状分析・提言が行われてきました.主な英語勉強会・ゲーム開発者団体・日本語情報を列挙します.
これらの学会討論以外の場で行われたコミュニケーションの特長としては,(1)英語圏ではゲーム業界団体(ゲーム会社の団体である)ESAとは別に,ゲーム開発者の勉強会やコミュニティでも問題提起が行われている,(2)声明を出すのも業界団体(大企業の代表)だけでなく,ゲーム開発者教育のHEVGA,ゲーム開発者団体のIGDAといった関連団体が学者の論争を参考にした声明を出している,(3)心理学博士が数多くGDCで講演し,それが無料公開されることで心理学の最前線とゲーム開発者コミュニティがつながっている,(4)研究者の講演の内容も,論争紹介にとどまらず,「なぜ娯楽の中でゲームが叩かれるのか」といった論争相手の分析やパニックを起こす現代社会の分析,職業倫理やデータ活用といった今後の提案まで話題をひろげている,ということがいえます.
そして日本との最大の違いは,GDC17講演に見られるように,大手ゲーム開発会社が報酬心理学の博士人材をリクルートしており,脳神経科学でどこまで解明されて,どこまでが仮説段階や誇大広告なのかという知見や,ゲーム企業が今後の解明に協力できるのではないかという提言までも業界内外で(ライバル企業だけでなく)公開できることでしょう.
企業団体と開発者コミュニティとの両輪でまわすゲーム論陣
この1年で「日本のゲーム業界は海外のゲーム業界のように情報発信すべき」という意見をよく聞きました.ESA CanadaがWHOとコラボするとか,ESAがワシントンオフィスを構えるといった社会活動は確かに素晴らしい.しかし本稿でここまで見たように,ESAはgaming disorderについて独力で批判を展開したわけではなくオープンアクセス論文に依存しています. ですから,重要論文とそれをフォローできる人材がいなければ,業界団体だけの活動では折り目正しい批判ができないでしょう.また,ESAだけでなく勉強会や教育団体の活動が社会的な理解を深めたり日本語での紹介に繋がったことも見逃せません.業界のトップだけではなく,関連業界も含むゲーム開発者コミュニティ全体で最新知識にもとづくゲームの探求を進めていくことが重要でしょう.
次の記事では,後編として,ゲーム開発者コミュニティのボトムアップの社会活動から学んだことについてまとめます.アメリカで業界団体ESAができる以前にゲーム開発者はモラルパニックにどのように立ち向かったのか,ヒトの脳の仕組みが解明できていない状況で教科書は報酬の心理学についてどう教えるべきか.これらのアメリカのゲーム産業の経験は現代日本にとっても参考になると考えています.
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2016-4-27 1:26
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y_miyakeのゲームAI千夜一夜
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人工知能のための哲学塾 (第零夜+全五夜)の全資料
人工知能のための哲学塾 (第零夜+全五夜)の全資料です。ご活用ください。
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2015-6-27 1:27
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y_miyakeのゲームAI千夜一夜
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WEB+DB に坂上卓史さんの「ゲームルールの作り方」
http://gihyo.jp/magazine/wdpress/archive/2015/vol87 今月号の WEB+DB には坂上卓史さんの「ゲームルールの作り方」が掲載されています。 坂上さんは現役のアナログゲームのデザイナーで、デジタルゲームとアナログゲームの違いや、ゲームでキーとなる概念(おそらく自分でみつけるだけで数年は要するような)を平易に解説されています。 前半はコンセプトとキーワードですが、これだけでも、さまざまな着想が得られるでしょう。後半は一転して、実践的な内容で、ゲームコンセプトの作成、ゲームデザインの作成、そしてテストプレイを含めて完成へ至るまでの道のりを書かれています。 欲を言えば、第一章は「競り」「ブラフ」「交渉」「生産」などのキーワードを散りばめているので、具体的に代表的なゲームと写真があれば良かったと思うのですが、出すとそれぞれのゲームを説明しないといけないし、おそらく誌面やいろんな都合で省略せざるを得なかったのでしょう。 第二、三章は圧巻で、ご自身のリリースされた「ART OF WAR」というカードゲームを題材に、実際のゲームデザインの過程をつぶさに解説されています。このような実践的な過程、かつその製作者自体が記述される例は少なく、たいへん貴重な記述となっています。 また過程だけでなく、陥りがちな罠などに対する注意や、押さえなければならないポイントが明確に記述されていて、全体として実践的価値の高い記事となっています。一読されることをお薦めします。
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2015-6-4 2:36
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IGDA日本IF
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IGDAスカラーシップ for CEDEC2015 & TGS2015
申し込み https://goo.gl/tlZafZ
締め切り 7月6日(月)
概要
国際ゲーム開発者協会(IGDA)では、ゲームディベロッパーズカンファレンス(GDC)やE3といった世界の主要ゲームイベントに対して、スカラーシップ(奨学生)プログラムを実施し、幅広い層を対象に参加サポートを行っております。
今年も一般社団法人コンピュータエンタテインメント協会(CESA)のご協力を受け、国内においてもコンピュータエンタテインメントデベロッパーズカンファレンス(CEDEC)、東京ゲームショウ(TGS)において、同様のプログラムを開催できる運びとなりました。
IGDA日本はIGDAの協力のもとで全世界のスカラーシップ志望者に対して募集を行い、選抜を実施します。合格者にはCEDECのレギュラーパスか、東京ゲームショウの参加権を授与いたします。また、協賛企業によるスタジオツアーなどを計画中です。
CEDECは日本最大級のゲーム開発者向け技術カンファレンスで、東京ゲームショウはアジアNo.1をめざすゲーム見本市です。これらのイベントに参加し、同世代の奨学生と交流することを通して、たくさんの刺激を受けていただければ幸いです。
■コース1:CEDEC
8月25日(火) スタジオツアー
8月26日(水) CEDEC参加
8月27日(木) CEDEC参加/デベロッパーズナイトパーティ参加
8月28日(金) CEDEC参加
■コース2:東京ゲームショウ
9月16日(水) スタジオツアー
9月17日(木) 東京ゲームショウ ビジネスデイ参加
9月18日(金) 東京ゲームショウ ビジネスデイ参加
センスオブワンダーナイト参加/懇親会参加
9月19日(土) 東京ゲームショウ 一般公開日参加 インディーズゲームコーナー参加
9月20日(日)(東京ゲームショウ 一般公開日)自由参加
*スケジュールは都合により予告なく変更される可能性があります。
東京ゲームショウ一般公開日は、9月19日(土)分のみチケットを進呈します。
■参加特典
スカラーシップに合格した奨学生は、CEDECのレギュラーパスか、東京ゲームショウの参加権が支給されます。
都内のゲーム開発スタジオ数社を訪問し、ゲーム開発風景の見学や、開発者との交流やディスカッションを行います。
■スタジオツアー協賛企業 2015
CEDEC コース
株式会社Aiming
ジープラ株式会社
株式会社たゆたう
TGSコース
株式会社Aiming
株式会社ディー・エヌ・エー
株式会社ランド・ホー
■募集国籍
全世界からイベントごとに9名ずつ、合計18名の奨学生を募集します。
■備考
・CEDECと東京ゲームショウの双方を、同一人物が応募することはできません。
・過去のCEDEC&TGSスカラーシップ合格者は応募できません。
・会場までの交通費、宿泊費、食事など、滞在に必要な出費は自己負担となります。
・スタジオツアーは諸事情によりキャンセルになる場合があります。その際もパスと参加権はご提供いたします。
・すべての参加者は参加後、日本語または英語による体験レポートを提出いただきます。体験レポートはウェブサイトで掲示されます(例はこちら)
・すべての参加者は参加後、アンケートに協力いただきます。アンケートは協賛企業・団体に送付されます。
募集要項
スカラーシップの希望者は、以下の条件を満たすことが必要です。
・日本語での日常会話(海外からの参加申し込みにおいても日本語での日常会話力が求められます)
・18歳以上の専門学校生・短大生・大学生・大学院生
・将来日本のゲーム業界に進みたいという強い意識を持っていること
以上の条件を満たす応募希望者は、
?アンケートフォームから必要項目を記入してください。
?学生証のコピーをスキャンまたはデジタルカメラなどで撮影の上、info@igda.jp までメールしてください。その際にメールの件名を必ず「スカラーシップ2015申し込みの件」とし、本文に名前・学校名・応募コース(CEDECまたはTGSのいずれか)を明記してください。
締め切り:7月6日(月)
メンター募集
IGDA日本ではスカラーシップ実施にあたり、ゲーム業界の開発者の方々に、学生のフォローアップをボランティアで行うメンター(師匠・先輩)を募集します。私たちはメンターの方々に対して、学生と共に行動しながら、ゲーム開発についての質問を受けたり、キャリアについて助言を行ったり、業界内の人脈を紹介するなどして、学生に対する刺激を与えていただくことを期待しています。
メンター希望者はスカラーシップ期間中(CEDEC:8月26日-28日/TGS:9月17日-20日)、少なくとも1日(1時間以上)、会場で奨学生に時間を割いていただきます。
メンターご希望の方は、以下の項目をそえて7月31日(金)までに、メールにてご応募ください。
・名前
・社名
・役職
・業界歴
・最近の主なタイトル
・携帯電話番号
・メールアドレス
・Facebookの登録アドレス
・スカラーシップにどの程度時間を割いて頂けるか
*メンターにはCEDEC、東京ゲームショウのパスは支給されません。ご注意ください。
協賛企業募集
IGDA日本ではスカラーシップ実施にあたり、スタジオツアーにご協賛いただける企業様を募集します。詳細はメールにてお問い合わせください。
すべての問い合わせ先はこちら
IGDA日本代表 小野憲史(info@igda.jp)
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2015-6-4 2:30
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IGDA日本IF
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IGDA Scholarship: CEDEC2015 & TGS2015
Apply here: https://goo.gl/x1RYVD
Application Deadline: July 6 (Mon) *Japan local time
Overview
The IGDA scholarships programs provides opportunities for students to attend major game development conferences around the world, including GDC and E3.
Here at IGDA Japan, we are pleased to introduce a scholarship program for CEDEC (Computer Entertainment Developers Conference) and TGS(Tokyo Game Show). thanks to the generous cooperation of CESA(Computer Entertainment Supplier's Association).
Applications are now open till July 6 . Chosen applicants will be given a game
studio tour along with the choice of either a CEDEC Regular Pass, or a TGS Business Day Ticket for free. Both CEDEC and TGS are one of the biggest game developers' conferences, in Japan and Asia respectively. Our goal is for the chosen scholars to find both the conferences and their time with other scholars fruitful.
Course 1: CEDEC
August 25 (Tue) Studio Tour / Convivial Gathering
August 26 (Wed) CEDEC
August 27 (Thur) CEDEC / Developers Night party
August 28 (Fri) CEDEC
Course 2: Tokyo Game Show
September 16 (Wed) Studio Tour / Convivial Gathering
September 17 (Tur) Tokyo Game Show (Business day)
September 18 (Fri) Tokyo Game Show (Business day) & "Sense of Wonder Night"
September 19 (Sat) Tokyo Game Show (Public day)& "Indie Game Corner"
September 20 (Sun) (Tokyo Game Show (Public day))
NOTE:
- Each schedules is subjected to change without announcement.
- A One day ticket for a Public Day(Sep.19) at TGS will be given to every scholars.
Scholarship Details
- Either a CEDEC Regular Pass or a TGS Business Day Ticket will be provided.
- Scholars will be given a tour of a game studio in Tokyo area, where they will get the opportunity to the studio in action and talk with its developers.
- A relevant industry professional will also be assigned to the scholars as a mentor during the event period.
Studios Tour in 2015
CEDEC course
- Aiming Inc.
- GeePlus,Inc.
- TAYUTAU K.K.
TGS course
- Aiming Inc.
- LAND HO! CO., LTD.
- DeNA Co.,Ltd.
How many students are participating?
A total of 18 applicants will be chosen, 9 for each event.
Notes:
- Scholars can only choose one conference (either CEDEC or TGS)
- former scholars for CEDEC and TGS scholarship can't send any applications. Other scholars (GDC, E3...) will be acceptable.
- Associated costs such as travel fare, accommodations, and meals are NOT covered by the scholarship program
- The studio tour is subject to cancellation based on the studio’s schedule. However, scholars will still be able to attend the conference they chose.
- Every scholars have to write a report in English or Japanese after programs. They will be uploaded on website ( check them).
- Every scholars have to cooperate with our survey. It will be send to studios which cooperate tours.
How To Apply
Please carefully read through the conditions below before filling out the application form. A link to the application can be found at the top of this entry.
Prerequisites (applicants must fulfil the following conditions)
- daily conversation skill in Japanese (This program is open for international students but Japanese speakers should have priority for selection)
- Applicants must be 18 years old or older
- Applicants must be a currently enrolled student in a vocational school or college, or a recent graduate
- Applicants must be fully interested in working in the Japanese game industry
- Applicants must be a IGDA member (registration can be done, an IGDA membership number is required as part of the application form)
Deadline: July 6(Mon) *Japan local time
Mentors wanted!
IGDA Japan is currently looking for game industry professionals who wish to provide an exciting and fruitful experience for chosen applicants of the scholarship program. Mentors will accompany the scholars during the period, helping them with career advice, introductions to other professionals, or with any questions the scholars may have. Please be aware that mentors are asked to accompany the scholars for at least one hour a day during the event (either during CEDEC: August 26 - 28, or during TGS: September 17 - 19).
If you wish to become a mentor for the CEDEC2014 & TGS2014 scholarship program, please email us (contact information at the bottom) with the following details by July 31st (Fri):
- Your name
- Company name
- Job title
- Experience in the game industry
- Latest title you worked on
- Mobile number
- Facebook link (if applicable)
- Estimated time you can accommodate for the scholars during the event
*Please note that mentors will NOT be provided with a CEDEC or TGS pass
Is your studio ready for a student tour?
IGDA Japan is currently looking for game development companies who are interested in giving chosen applicants a tour of their studio. For more details, please contact us at the email address below.
Contact
For all queries regarding the program, please contact Kenji Ono (IGDA Japan Chairman) at info@igda.jp .
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Translation
IGDA日本活動予定
2015年
3月21日(土) GDC2015報告会
4月12日(日) HDIfes #04
4月24日(金) IGDS2015
twitter #igdaj #fgj15 #gdc15j #ggj15j
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